〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,犯行時16歳の少年の業務上過失傷害被疑事件について,検察官への事件送致までに約2年11か月を要した上,一旦は嫌疑不十分を理由に不起訴処分(家庭裁判所へ送致しない処分)とされたため,被疑者が成人に達して家庭裁判所で審判を受ける機会が失われた後,被害者か...
権利能力なき社団である同窓会の総会決議の無 効・不存在確認を求める訴え,及び同窓会の役員の地位不存在確認を求める訴えの被告適格は 同窓会に限られ,役員は被告適格を有しないと された事例
荒天時に港外避難中の船舶が防波堤に衝突した 海難事故に関し,港外避難の決断が遅れた過失 及び操船上の過失の有無について判断した事例
生命保険契約の特定疾病保障定期保険特約等に おける「この特約の責任開始期の属する日から その日を含めて 90 日以内に乳房の悪性新生物 に罹患し,医師により診断確定された」ときに は保険金の支払等がされない旨を定める条項に ついて,「90 日以内に」という文言は,「乳房 の悪性新生物に罹患し」との文言のみに係り,「医師により診断確定された」との文言には係 らないとされた事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,目黒区の区議会議員である被控訴人が,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの。)100条13項の規定に基づく条例である目黒区政務調査費の交付に関する条例(以下「本件条例」という。)の規定により,平成17年度に204万円の政務調査費の交付を受け...
原告が,被告銀行に対する第三者の預金につい て,原告を受益者とする旧信託法上の信託関係 が成立していたにもかかわらず,被告銀行が当 該第三者に対する貸付債権を自働債権とし,上 記預金債権を受働債権として相殺を行ったの は,不当利得ないし不法行為に該当する旨主張 して,その相殺によって消滅した預金債権相当 額を被告銀行に対し請求した事案について,上 記預金について,明示的な信託の合意はなく, 黙示の信託関係が認められる程度の分別管理が 行われていたとは認められないことを理由に信 託関係の成立は認められないとされた上に,原 告が受益者であると認めることもできないとし て,原告の上記請求が棄却された事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件事案の概要は,次のとおりである。Y区長は,老人福祉法32条に基づき,家庭裁判所に対し,本人(86歳)について,成年後見開始の審判を申し立てたところ,同裁判所は,これを認める審判をした(原審判)。これに対し,本人と同居している子であるXが,①本件においては,老...
血行再建のためのバイパス手術における感染防 止対策等について,カンファレンス鑑定結果等 も踏まえ,注意義務違反があるとはいえないと された事例
競業会社の取引先に対する調査依頼文書の送付 や弁護士会による照会を行ったことなどが不法行為とならないとされた事例
1 民法 915 条所定の期間が経過した後に相続 放棄に関する相談をされた司法書士において, 相続放棄申述手続に係る事務を受任したものと は認められないと判断された事例
2 民法 915 条所定の期間が経過した後に相続 放棄に関する相談をされた司法書士において, 相続放棄申述手続に係る事務を受任する意思が ないにもかかわらず,これがあるかのように装 い,相談者らが相続放棄の申述をする機会を 奪ったものとは認められないと判断された事例
1 金融機関における暴力団員等の反社会的勢力との取引拒絶規定と憲法 22 条 1 項等
2 暴力団員が金融機関の係員に対し自己が反 社会的勢力ではない旨の表明・確約をして預金 口座の開設等を申し込み預金通帳の交付を受け る行為が,詐欺罪に当たるとされた事例
1 1棟のマンションの売買に関し,同マン ションの一室で自殺があったことについて,売 主及び売主の依頼を受けた宅地建物取引業者に 調査説明義務違反がなかったとされた事例
2 売買の目的物であるマンションの一室で自 殺があったことが「瑕疵」に該当するとして, 建物価値の低下の程度や収益性の低下の程度等 を考慮して,損害額を算定した事例
特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人が その申立て後に死亡し,相続人のあることが明 らかでないとして相続財産法人が成立した場合 には,当該相続財産法人が申立人の地位を承継 したものというべきであるとして,申立人の死 亡により上記申立て事件が終了したと判断した 原審判を取り消し,原審に差し戻した事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,高校1年の柔道部員が試合前の練習で急性硬膜下血腫を発症した事故について,学校側に過失があると主張して,本人及びその両親,妹が,学校に対し,総額2億7000万円余の損害賠償を提起した事案である。X1は,平成20年4月,Y高校に入学し,同月9日,同校柔道部(...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原審が,面会交流を認めたところ,これを不服とする抗告人が原審判を取消し,面会交流の申立てを却下するよう求めて,高裁に抗告した事案である。本件の事実経過は次のとおりである。X(夫)とY(妻)は平成13年ころ婚姻し,両者の間には長女(平成17年生,以下,「未...
被告病院が開設する歯科クリニックにおいてサ イナスリフトを受けたところ上顎洞炎を発症し たことについて注意義務違反が認められた事例
重要事項について虚偽記載等のある有価証券報 告書等を提出した株式会社の取締役が,当該有 価証券報告書等の公衆縦覧後に当該株式会社の 株式を取得した一般投資家に対して,当該虚偽 記載等がなければ株式を取得しなかったであろ うと認められるとして,金融商品取引法第 24条の 4 等において準用する同法第 22 条第 1 項に 基づく損害賠償責任を負うとされた事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,Yに対し,Yから請け負った公共事業工事についての追加工事施工代金315万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたのに対し,Yが,当事者間の工事下請負契約約款による仲裁合意(あっせん又は調停による解決若しくはこれにより解決する見込みがない場合は審査...
〔解 説〕
1 本件は,選定者A及びX(以下「本件選定者ら」という。)とBとの共有に係る不動産のBの持分につき,Bが滞納していた相続税を徴収するため国税徴収法47条1項に基づく差押処分がされたことから,Xが,選定当事者として,上記処分の取消し等を求めた事案である。
2 本件の事実関係の概要...