〔解 説〕
1 Xは,雇い主Aからの遺贈を内容とする遺言書の有効性等を弁護士Yに相談し,遺言執行・遺言無効確認請求事件につき,弁護士報酬は「着手金なし,報酬金Xの得た金員の20%(税込)」と合意したうえ,その処理を委任した。Yは,遺言書検認事件,Aの法定相続人からの遺言無効確認等請求事件の一...
1 美容外科クリニックでの脂肪吸引手術中 に,患者が心肺停止状態となり,蘇生後脳症と なったことについて,執刀医の麻酔管理上の注 意義務違反を認めた事例
2 執刀医が共済者に対して有する共済金支払 請求権について,執刀医に対する判決の確定を 条件に,患者による債権者代位に基づく代位行 使を認めた事例
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,交通事故により後遺障害を負った被害車両(オートバイ)の運転者であるX1及びその妻子であるX2・X3が,加害車両(タクシー)の運転者Y1及びその使用者のY2に対し,損害賠償を求める事案である(保険会社による代位請求等事件については割愛した。)。主な争点...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,成人の日本国民である原告が,後見開始の審判(民法7条)を受けて成年被後見人となったところ,公職選挙法11条1項1号が「成年被後見人は選挙権を有しない」旨規定していることから,選挙権を付与しないこととされたため,上記の公職選挙法11条1項1号の規定は,憲法...
1 顧客が配信サイトを利用してサーバーにア クセスしてわいせつ動画等のデータファイルを ダウンロードするシステムを構築し,顧客の操 作を介してそれらのデータファイルを顧客のパ ソコン等の記録媒体に存在させる行為は,刑法 175 条 1 項後段及び 2 項所定の「頒布」に含まれる
2 日本国内にあるパソコンに動画データファ イル等を送信してわいせつな電磁的記録を頒布 した行為は,刑法 1 条 1 項のいわゆる国内犯と して処罰の対象となる
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,裁判員対象事件である強盗致傷等事件の被告人が,裁判員等選任手続において,裁判員候補者1名に関し,不公平な裁判をするおそれ(裁判員法18条)があるとして,いわゆる理由あり不選任決定の請求(同法34条4項)をしたが,同請求を却下され,これに対し,地方裁判所に...
〔解 説〕
1 本件は,革労協関係者である被告人らが,福岡地裁で開かれた別件公判の傍聴券交付,警備等の業務を妨害したという威力業務妨害と,地裁所長から庁舎敷地外への退去命令を受けたのに退去しなかったという建造物不退去の事案において,第1審裁判所が事件を公判前整理手続に付したところ,公判前整理...
寄生虫治療・予防用組成物事件 名称を「ペット寄生虫の治療・予防用組成物」 とする発明について,特許法 29 条 1 項柱書の発 明に当たらず実施可能要件も充足しないとして 特許を無効とした審決を取り消した事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,過去の破産手続(以下「前件」という。)において,法定の期間内に免責許可の申立てをせず,免責を受けられなかった破産者(相手方)が,新たに破産手続開始の申立て及び免責許可の申立てをして,免責を許可する旨の決定(原決定)がされたことに対して,破産債権者である抗...
普通地方公共団体が締結した支出負担行為たる 契約が違法であっても私法上無効ではない場合 において当該契約に基づく債務の履行としてさ れた支出命令の適法性
厚生労働大臣のした原子爆弾被爆者に対する援 護に関する法律 11 条 1 項所定の認定の申請を却下する処分が違法でないとされた事例
1 商標法50 条1項にいう「登録商標と社会通 念上同一と認められる商標」は,①書体のみに 変更を加えた同一の文字からなる商標,②平仮 名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に 変更するものであって同一の称呼及び観念を生 ずる商標,③外観において同視される図形からなる商標に準ずるような,これと同程度のものをいう
2 「RHYTHM」「RHYTHM」 の商標が「rhythm」なる登録商標と社会通念上同一と認められる商標には当たらないとされた事例
〔解 説〕
1 本件は,神奈川県藤沢市内に工場を有するXが,神奈川県臨時特例企業税条例(以下「本件条例」という。)に基づき道府県の法定外普通税である臨時特例企業税(以下「特例企業税」という。)を課されたことから,本件条例は法人事業税の課税標準である所得の金額の計算につき欠損金の繰越控除を定め...
自ら出産した新生児を殺害した被告人が,その 死体をタオルで包み,ポリ袋に入れるなどして 自宅などに隠匿した死体遺棄の事案について, 葬祭義務を果たさないまま放置した不作為によ る遺棄行為を起訴したものであるから,公訴時 効の起算点は,警察官が死体を発見したときで あるという検察官の主張を排斥し,作為による 死体遺棄罪が成立するとした上,公訴時効が完 成しているとして,免訴を言い渡した事例(裁 判員裁判実施事件)
〔解 説〕
1 本件は,Yらから売買(本件各売買)により土地区画整理事業の施行地区内の土地(本件各土地)を購入したXらが,本件各売買後に土地区画整理組合の総代会の決議により賦課金を課されたため損害を被ったと主張して,Yらに対し,瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた事案である。本件の主な争点は...
自転車の走行中に生じた転倒事故の原因が,同 自転車の前輪のサスペンション部分が分離した ことにあり,同自転車には製造物責任法上の欠 陥があるとして,これを輸入した業者に対する 同法に基づく損害賠償請求が認容された事例
商標法 50 条 1 項に基づく不使用商標登録取消審 判請求において,本件商標の通常使用権者が製 造販売し,本件商標が表示された商品が,本件 審判請求の登録前 3 年以内に第三者により取引 されていたと認められることから,通常使用権 者により本件商標が指定商品に使用されていた と判断されるとして請求不成立とした審決が維 持された事例
原告らの代理人である弁理士らにされた拒絶査 定の謄本のオンライン送達が,代理人弁理士の 意思能力の欠如等により無効であるとして,請求期間経過を理由に拒絶査定不服審判請求を却 下した審決が取り消された事例
被告標章(後掲)とカタカナの標準文字で「ナーナニーナ」と一連に横書きしてなる本件 商標とが類似する等として,被控訴人(被告) による商標権侵害を肯定し,これを否定した原 判決の一部が変更された事例
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)Y(日本相撲協会)は,Y所属の幕内力士であるXを「故意による無気力相撲を行った」ことを理由として故意による無気力相撲懲罰規定に基づき引退勧告処分とし,その後,Xが同処分に従わないことから,Yの寄附行為施行細則に基づき「協会内の秩序を乱す」という理由で解雇処分...