〔解 説〕
1 事案の概要
控訴人は,A外9名を被告として提起した別件訴訟において,別件訴訟係属裁判所に対し,調査嘱託の目的をAに対して訴状副本及び期日の呼出状等を送達するため等と調査嘱託を必要とする経緯を記載して,被控訴人を嘱託先として,Aが使用していた携帯電話番号について,契約締結時か...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 抗告人(債権者)は,相手方(債務者)に対する執行力ある判決正本に基づき,大規模な金融機関である第三債務者に対して相手方が有する預金債権につき債権差押命令及び転付命令を申し立てた。同申立ては,差し押さえるべき債権の表示について,第三債務者の店舗を支店名で特定...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告会社における痩身薬の企画製造等に従事していた被告人が,業として,医薬品製造業等の許可なく,ダイエット目的の箱入りカプセル剤であるセルナーゼを製造したとして,被告会社及び被告人個人が,薬事法13条1項違反の罪(無許可製造)に問われた事案である。本件の主...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
(1) Xは,平成16年8月から平成17年3月にかけて,Y会社との間で,医療保険,生命保険の各契約(本件各保険契約)を締結した。本件各保険契約の約款(本件約款)では「契約者が保険料を払込期月(月単位の契約応当日の属する月の初日から末日まで)の翌月末日までに支払...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告らにおいて,被告が経営する産科診療所の分娩介助により長女を出産したが,長女は,その後の診療上の過誤により大動脈弁狭窄症を見落とされ,その結果,出生後1か月余りで死亡したと主張し,被告に対して債務不履行ないし不法行為による損害賠償を請求した事案である。...
〔解 説〕
1 本件は,弁護人が恐喝被告事件で上告中の被告人の身柄を他の刑事施設に移送する旨の職権発動を促す申立てをした事案であり,職権発動をする場合の判断主体が問題となった。
弁護人の申立ての理由は,概要,次のとおりである。
被告人は,前刑で本件当時の勾留場所でもある宮崎刑務所服役中,...
1 商標法4条1項6号の適用を受ける標章は「著名なもの」に限られると解すべきであり,告示されたことのみを理由として「著名なもの」とすることはできない 2 商標法4条1項6号の「著名」とは,指定商品・役務に係る一商圏以上の範囲の取引者,需要者に広く認識されていることを要する 3 本願商標と日南市章を全体として対比すると,本願商標の図形部分と日南市章は外観において類似するものの,当該図形部分は「日」という漢字の古代書体に由来するありふれた図形であって出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められず,本願商標が「ダイワ」の称呼を生じ,「ダイワ」ないし「大和」の企業名としての観念を生じるから,全体として類似するとはいえないとした事例
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,Y1に対し,受託保証による事前求償権に基づき,1億1206万9760円のうち2000万円の支払を求めるとともに,Y1及びY2に対し,受託保証による事前求償権に基づき,1950万5123円のうち1950万円の支払を求めた。Yらは,民法461条1項の規定に基づ...
〔解 説〕
1 Aは,Y独立行政法人B(以下「Y1」という。)の開設する医療機関であるBに入院及び通院して治療を受けていた。Y1は,平成18年6月16日,児童相談所に対し,原告らがAに適切な栄養を与えておらず,また,必要な治療等を受けさせていないとして,児童福祉法25条に基づく通告(以下「本...
ホテル事業用建物の賃貸借契約につき,通常損 耗の範囲に含まれるか否かにかかわらず,賃借 人は同建物の損傷箇所の原状回復として更新又 は交換する義務を負う旨の特約が明確に合意さ れたとはいえないとされた事例
1 FX 取扱業者である被告がインターネット 上のFX取引画面上にレートを表示する行為は, 各顧客の申込みに対する個別の承諾の意思表示 ではなく,交叉申し込みの意思表示であり,各 顧客と被告の各申込みの意思表示が合致する限 度で,決済取引が成立する
2 被告が市場レートからかけ離れた誤レート を FX取引画面上に表示して各顧客に提示した 場合には意思表示について錯誤無効が認められ るところ,当該誤レートの提示につき,被告に おいて通常期待される注意を著しく欠いている 状態にあったと認められない場合には,被告に 重過失は認められず,当該決済取引は無効となる
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,美容目的で,脂肪溶解剤を皮膚又は皮下脂肪層に注射する治療(以下「メソセラピー」という。)を受けた原告らが,施術後に,非結核性抗酸菌感染症を発症し,後遺障害が残ったとして,施術を行った被告(医師)に対して,債務不履行又は不法行為に基づき,損害賠償を請求した...
〔解 説〕
1 事案の概要と裁判所の判断
本件は,被告人が,2回にわたり,いずれも13歳未満の被害児童を公園の公衆トイレに誘い込んでトイレ内に監禁し,その間,被害児童に対してわいせつ行為をするとともに,その姿態を携帯電話で撮影,記録したという事案である。
被告人の各被害児童に対する行為は...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件の概要は次のようなものである。すなわち,米国に登記上の本社があるが,イタリアに有力な営業拠点があり同国で相当額の売上を上げている株式会社(本件債務者)ついて,イタリア営業所の従業員及び税務当局がイタリアのボローニャ倒産裁判所に申立てをして破産手続が開始された...
〔解 説〕
1 本件は,被告人が,共犯者と共謀の上,営利の目的で,覚せい剤599.5gを隠し入れたボストンバッグを持ってイギリスから航空機で日本に来て覚せい剤を輸入するとともに,税関検査を通過して関税法上の輸入してはならない貨物である覚せい剤を日本に輸入しようとしたが,税関職員に発見されたた...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,傷害,強盗,建造物侵入,窃盗の各共同正犯で起訴された被告人に関し,いわゆる承継的共同正犯と呼ばれる場合の傷害罪の成立範囲が問題となった事案である。その職権判示に係る事案の概要は,先行者2名が,被害者2名に対し,こもごも暴行を加え,更に場所を移して同様に暴...
「北斎」との筆書風の漢字と葛飾北斎が用いた 落款と同様の形状をした図形からなる本願商標 が,商標法 4 条 1 項 7 号にいう「公の秩序又は 善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当 するとした審決を取り消した事例
〔解 説〕
1 本件は,いわゆる東京電力女性社員殺害事件の再審判決である。
被告人は,平成9年6月に本件強盗殺人罪で起訴され,平成12年4月に第1審で無罪判決(東京地判平12.4.14判タ1029号120頁)を受けたが,検察官から控訴の申立てがあり,その後,同年12月に控訴審で破棄有罪の無...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告(市)が設置する小学校の第5学年に在学していたX1(女子児童)とその両親であるX2及びX3が,被告に対し,被告主催の林間学舎に参加していたX1が,補助参加人の経営する民宿の2階の部屋内で,他の児童ら数人と鬼ごっこをして遊んでいたときに,上記部屋の出窓...
〔解 説〕
1 事案の概要と本件契約条項について
本件は,適格消費者団体である原告が,不動産賃貸業を営む事業者である被告に対し,被告の使用する賃貸借契約書の条項(本件契約条項)が消費者契約法(以下「法」という。)9条各号又は10条に該当するとして,法12条3項に基づき,同契約書による意思表...