〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,高知県の西部に位置する黒潮町において,町議会議員が私的に発行する広報紙に町政執行を批判した記事(本件記事)を掲載したことに端を発する紛争である。すなわち,①本訴は,普通地方公共団体(町)であるX(原告・反訴被告)が,本件記事によって町自体の名誉等が毀損さ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告運転の自動車と原告運転の自転車とが衝突した交通事故(以下「本件事故」という。)により,原告が脳脊髄液減少症を発症したとして,損害の賠償と遅延損害金を請求する事案である。
2 説 明
(1) 脳脊髄液減少症ないし低髄圧症候群とは,硬膜から髄液が漏れ出...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,保険者が,被保険者を団体信用生命保険契約に追加加入させるに当たり,当該被保険者に告知義務違反に該当する事実があったことを知らなかったことにつき,過失があったか否かが争われた事案である。
原告の父であるA(被保険者)は,B社(保険契約者)から住宅購入資金...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,南房総国定公園内の土地(本件各土地)の開発分譲事業を行っていたXが,本件各土地は実際には自然公園法所定の普通地域内の土地であるにもかかわらず,千葉県(Y)の担当者において第2種特別地域内の土地であることを前提とする誤った違法な行政指導がされ,そのために,...
〔解 説〕
第1 事案の概要
1 前提事実
X(第1審原告・控訴人兼被控訴人)は,釣りを題材とした携帯電話機用インターネット・ゲームである「釣り★スタ」(原告作品)を製作し,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を提供するインターネット・ウェブサイトの携帯電話機向け「GREE」...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件本訴は,本訴原告(反訴被告)が,自己を被害者とする別件医療過誤につき訴訟提起前の交渉及び第1審の訴訟追行をいずれも弁護士である本訴被告ら(反訴原告ら)に委任したところ,直接的には別件訴訟の証拠調べ直前に本訴原告が本訴被告らに対し打合せを急きょキャンセルする旨...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,被告会社が製造する治験薬(通称リモナバント〔以下「本件治験薬」という。〕)の治験(以下「本件治験」という。)に参加し,これを服用していた被験者(以下「本件被験者」という。)が,平滑筋肉腫を発症し,死亡したことについて,本件被験者の相続人である原告ら...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,判決の効力が第三者に及ぶことが規定されている会社法838条の判決(会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する判決)について,当該第三者の関与なしにその権利を害する判決(詐害判決)がされたことを民事訴訟法338条1項3号の代理権欠缺に準じた再審事由として第...
〔解 説〕
1 事案の概要
X1及びX2は,いずれもフィリピン共和国(以下「フィリピン」)の国籍を有する未成年の男性であって兄弟であり,「日本人の配偶者等」の在留資格で本邦に在留する実母Aから呼び寄せられ,在留資格を「短期滞在」として本邦に入国し,その後,在留資格を「定住者」に変更する旨の...
商標「激馬かなぎカレー」について,剽窃に当たり公序良俗違反があるとして登録を取り消した異議の決定の判断を維持した事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,投資事業組合(本件ファンド)に出資したところ,組合の運営が適正さを欠くなどしたため損害を被ったとして,出資を募集した会社,関連会社,担当役員等を被告として,損害賠償を請求した事案である。被告らのうち,役員1名(被告C)の住所地がシンガポールであっ...
〔解 説〕
1 事案の概要及び判決の要旨
代金債権について譲渡禁止特約のある請負契約の債務者であるBは,債権者であるAがBに対する請負代金債権の一部(以下「本件請負代金債権」)を原告に譲渡したことから,譲受人である原告の善意・悪意が不明であるとして,本件請負代金債権について,供託原因を債権...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,東京都世田谷区内に所在する家屋2棟を所有するところ,東京都知事の委任に基づき世田谷都税事務所の所長(以下「本件所長」という。)が平成21年3月31日に決定した上記家屋の固定資産税等の課税標準価格に不服があったため,同年7月27日に地方税法(以下「法」という...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件で上告審の審理の対象となったのは,Xが,Aに対する強制執行として,AのYに対する建物賃貸借契約上の賃料債権を差し押さえたと主張して,Yに対し,賃料の支払を求める取立訴訟の部分である。Xによる賃料債権の差押え後に,Aが賃貸目的物である建物をYに譲渡しており,こ...
1 甲社の株券に対する乙社による公開買付けについて,乙社において甲社の株の取得・保有に関する実質的な決定を行う権限を付与されていたと認められるマネージング・オフィサーが,その親会社である丙社の取締役会において甲社の株券の公開買付けが承認されたことを認 識し了解したことにより,証券取引法(平成 18 年法律第 65 号による改正前のもの)167 条 2 項にいう業務執行決定機関による決定があった と認められた事例
2 甲社の株券に対する乙社による公開買付け の実施に関する事実が甲社に通知されたのは, 乙社と甲社との間の資本提携・強化のために締 結された基本契約の履行に密接に関連するもの であるとして,甲社の社外取締役について,証 券取引法(平成 18 年法律第 65 号による改正前のもの)167 条 1 項 4 号にいう公開買付者と契 約を締結している者が公開買付けの実施に関す る事実を当該契約の履行に関し知ったときに当 たるとされた事例
3 甲社の株券に対する乙社による公開買付け について,甲社の社外取締役の夫が,証券取引法(平成 18 年法律第 65 号による改正前のもの)167 条 3 項にいう公開買付等関係者から公開買 付けの実施に関する事実の伝達を受けた者と認 められた事例
〔解 説〕
1 本件は,前科証拠を犯人と被告人の同一性の立証に用いることができるかが問題となった事案である。
2 被告人は,東京都葛飾区内の家屋に対する住居侵入,窃盗,現住建造物等放火(以下それぞれ「本件住居侵入」,「本件窃盗」,「本件放火」という。)と北海道釧路市内の家屋に対する住居侵入...
エコルクス/ECOLUX事件
1 登録商標の指定商品又は指定役務は,第三 者との関係で当該登録商標の権利の範囲を確定 するものであるから,その用語については取引 者による通常の使用法に基づいて客観的に解釈 されるべきものである
2 指定商品「電球類及び照明器具」を前件審 判により「LED ランプを除く,電球類及び照 明器具」とされた「エコルクス/ECOLUX」 との登録商標(本件商標)についての不使用取 消審判の請求に係る審決取消請求訴訟におい て,商標権者が使用を主張した本件商品は,前 件審判の請求の登録の日に本件商標の指定商品 から消滅したものとみなされる「LED ランプ」 に該当し,同日から本件審判の請求の登録の日 までの間において,本件商標の指定商品に該当 しないとして,商標権者による本件商標の使用 を認めなかった事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,障害等級1級に該当する程度の障害の状態にあるとして国民年金法(以下「国年法」という。)による障害基礎年金の支給を受けていたXが,①厚生労働大臣が平成22年10月15日付けでXの障害の程度につき障害等級2級に該当するとしてXの障害基礎年金の額を減額する改定...