〔解 説〕
1 事案の概要
原告は,航空会社において機長を務めるパイロットであったが,いわゆるバブル経済の時代に不動産投資で失敗し,所有不動産には評価額を上回る債務の抵当権が設定されていた。かつて原告は,妻との離婚事件を被告の弁護士に委任し,離婚は成立したが,その際,妻の連帯保証につき,今...
〔解 説〕
1 本件は,睡眠薬等を摂取させて数時間にわたり意識障害等を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為につき傷害罪の成否が争われた事件において,その成立を肯定したものである。
2 事案の概要は,大学病院の医師である被告人が,同病院内において,①フルニトラゼパムを含有する睡眠薬の粉末を...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xの母A(大正4年生)は,平成16年10月15日,公正証書により,Aを委任者,司法書士であるYを受任者として任意後見契約を締結するとともに,Aの財産の管理等の事務を委任する財産管理委任契約(以下「本件契約」という。)を締結し,Yに対して郵便貯金通帳,所有不動産の...
〔解 説〕
1 本件は,原告らが,発明の名称を「電子レンジのマイクロ波を利用し,陶磁器に熱交換の機能性を持たせ,調理,加熱,解凍を行う技術」とする発明について,特許出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判を請求し(不服2010─7186号事件),特許庁が,「本件審判の請...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,最高裁が,知財高裁の控訴審判決を破棄して,差し戻した事件に関する第2次控訴審判決である。本判決に至る経緯は,概要,次のとおりである。
(1)第1審
放送事業者であるXら(第1審原告。被控訴人)は,Y(第1審被告。控訴人)が,インターネット通信による親子...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,株式会社ヒューザー(以下「ヒューザー」という。)が分譲したマンション(以下「本件マンション」という。)の区分所有権を購入したXらが,本件マンションには耐震強度不足の瑕疵があるとして,建築確認を行った指定確認検査機関であるY1に対し,Y1が構造計算書の問題...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原審における損害賠償等請求事件と,独立当事者参加申立事件とからなるが,各事件の概要は,それぞれ,以下のとおりである。
まず,損害賠償等請求事件であるが,X1(個人)において,Y(株式会社みずほ銀行)から購入したMMF(マネー・マネージメント・ファンド)...
〔解 説〕
1 事案の概要
原告ら(控訴人ら)は,地上波テレビジョン放送を行っている放送事業者であり,被告(被控訴人)は,「まねきTV」という名称で,被告と契約を締結した者(利用者)がインターネット回線を通じてテレビ番組を視聴することができるようにするサービス(本件サービス)を提供している...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,大手のタクシー会社であるXが,損害保険会社であるYに対し,(1)Yとの間で締結した自動車保険フリート契約における成績計算期間を3年とする特約について,これを1年に短縮することができたにもかかわらず,短縮できない旨誤信して契約を継続して締結したXの錯誤によ...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,岐阜県多治見市で開業している弁護士であるところ,平成19年3月8日,破産手続開始決定を受けた陶磁器の製造販売等を業とするA社の破産管財人に選任された。
Xは,A社の破産管財人として,平成19年9月4日,裁判所の許可を得て,A社の在庫タイルを産業廃棄物とし...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人宅の目の前でサバイバルゲームをしていたと述べる男子中学生甲の胸ぐらを被告人がつかんだという暴行の事案である。
事実認定上の争点は,①被告人が甲の胸ぐらをつかんだかどうか,②甲が被告人宅にエアガンでBB弾を撃ち込んだか,被告人宅にエアガンを向けただ...
〔解 説〕
1 本件は,Xらが,Xらを被写体とする14枚の写真を無断で週刊誌に掲載したYに対し,Xらの肖像が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利が侵害されたと主張して,不法行為に基づく損害賠償を求める事案である。
2 事実関係の概要は,以下のとおりである。
Xらは,昭和50年代に,「ピ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人が,実母である被害者(V)に対し,頭部を拳骨又は他の鈍体で多数回殴打するなどして死亡させた傷害致死,その死体をA川に遺棄した死体遺棄,及び,Vの死後,V名義のキャッシュカードを使用して14回にわたり銀行から現金を引き出した窃盗の事案である。
弁護...
〔解 説〕
1 本件は,被告人Aが,代表者を務めていた被告人株式会社Bの業務に関し,従業員らと共謀の上,法務大臣の許可を受けずに,消費者金融業者から長期間支払が遅滞するなどした不良債権を廉価で大量に購入し,6名の債務者に対して支払を請求し,合計142万円を回収して,債権管理回収業を営んだとい...
〔解 説〕
1 事案の概要
第1事件のうち,本訴は,信託銀行であるX1(第1事件本訴原告,反訴被告)が,信託受託者として所有権を有する建物(以下「本件建物」という。)について,損害保険業を営むY(第1事件本訴及び第2事件被告,第1事件反訴原告)との間で保険金額1億円の賠償責任保険契約を締結...
〔解 説〕
1 本件は,Xが,フッ素に汚染されていたことを知らずに購入した本件土地の土壌汚染の除去のため多額の費用を負担することになったなどとして,被告国に対しては国家賠償法1条1項に基づく損害賠償又は憲法29条3項に基づく損失補償を,被告石川県及び被告羽咋市に対しては国家賠償法1条1項に基...
〔解 説〕
1 本件は,いわゆる形式的競売の一つである民法258条2項所定の競売を命ずる判決に基づく換価のための不動産競売(以下「共有物分割のための不動産競売」という。)の手続において,いわゆる無剰余取消しについて定めた民事執行法63条が準用されるかが問題となった事案である。
2 事実関係...
〔解 説〕
1 事案の概要
株式会社Zは,平成21年9月1日,新設会社を設立する会社分割を行い,新たに設立された新設会社Xに一切の事業を承継させた。
そこで,分割前の会社に貸金債権を有するYは,会社分割は詐害行為に当たるとして,詐害行為取消権に基づき,会社分割の取消しを求めるとともに,価...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,発明の名称を「電池式警報器」とする被告らの特許に対する原告の特許無効審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした審決の取消しを求める事案である。
本件審決の理由は,要するに,本件発明は,①引用例1に記載された発明と周知技術に基づいて当業者が容...