[解 説]
1 本件は,被相続人を亡Aとする相続に際し,亡Aの妻及び子3名(以下これらの相続人4名を「相続人ら」という。)並びに生命保険金等を取得した孫6名であるXら10名が,亡Aの妻が取得する同族会社の株式の価額につき配当還元方式による評価を前提として相続人らがした当初の遺産分割の合意に基...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,名称を「筆記具のクリップ取付装置」とする考案についての実用新案権(以下,「本件実用新案権」といい,同実用新案権に係る実用新案を「本件登録実用新案」という。)を有する原告は,被告(郵便事業株式会社)の前身である日本郵政公社(以下,これと被告とを区別せず,い...
携帯電話の無線基地局用の電波塔設置を内容とするマンションの屋上の賃貸借について,建物区分所有法17 条1 項及び管理規約にいう「共用部分の変更」には当たらず,管理組合が契約を有効に締結するためには総会で普通決議の要件を満たしていれば足りるとされた事例
自動車等運転免許証の有効期間の更新に当たり,一般運転者として扱われ,優良運転者である旨の記載のない免許証を交付されて更新処分を受けた者が,当該更新処分の取消しを求める訴えの利益を有するとされた事例
《解 説》
1 本件は,発熱のみられた生後約1か月の児が,日曜日の午前6時と午前9時の2度にわたり産婦人科医の診察を受けたが症状が改善せず,午前10時に総合病院の小児科を受診,入院したものの,結局常時介護を要する状態となり,さらに約3年後死亡したという事案において,上記児(死亡後その両親が訴訟...
《解 説》
1 事案の概要
本件の第1事件は,出版社であるX1が,同じく出版社であるY1及びY1の刑事告訴を代理した弁護士Y2に対し,「X1が著作権侵害行為(著作権法113条1項2号。ZにおいてY1が編集著作権を有する書籍Ⅰを無断で複製したところ,X1はその情を知りながら当該無断複製物を頒布...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,電気通信事業等を目的とする株式会社であるXが,マンションの区分所有者によって構成された団体であるYとの間で,携帯電話の基地局のためのアンテナ及び通信機等(以下「本件設備等」という。)を設置するためにマンションの屋上の一部を賃借する契約(以下「本件契約」とい...
《解 説》
1(1)ア XはYからインターネットオークションを通じて中古エアコンを購入した(以下「本件取引」という。)が,同エアコンには室内機に,その配管が曲がっていたことなどの隠れた瑕疵があったため,売買契約を解除したとして売買代金の返還等を求め大阪簡易裁判所に本訴を提起した。
イ 原裁判...
《解 説》
1 本件は,原告が,被告がウェブサイトで被告商品の広告及び価格表を内容とする情報に被告標章1ないし3を付して提供する行為が,原告の登録商標(本件商標)に類似する商標の使用(商標法37条1号,2条3項8号)に当たり,原告の商標権を侵害すると主張して,被告に対し,商標法36条1項に...
[解 説]
本件は,被告人が,公訴事実である覚せい剤自己使用の罪による逮捕に先行して,別罪で現行犯逮捕された際,この逮捕中に採取された尿に関する鑑定書について,逮捕に重大な違法があると評価し,将来に向けて同様の違法捜査を禁圧すべき要請も高いとして,その証拠能力を否定し,被告人に無罪を言い渡し...
《解 説》
1 ①,②,③事件は,いずれも,貸金業者との間で基本契約に基づく継続的金銭消費貸借取引をしていた借主が,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還を請求する事案である。貸金業者は,過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)は,過払金発生時から消滅時効が進行す...
《解 説》
1 本件は,証券会社であるYを通じて東証1部上場株等の取引(以下「本件取引」という。)を行ったXが,Yの従業員による同取引の勧誘行為等に適合性原則違反,断定的判断の提供,説明義務違反及び過当取引の違法があったとして,不法行為(使用者責任)又は債務不履行に基づき,被告に対し,損害賠償...
《解 説》
1 本判決は,いわゆる耐震強度偽装事件に絡んで,不動産販売会社の代表取締役であった被告人が,自社が販売した分譲マンション(以下「本件マンション」という。)について,当該マンションの構造計算書が偽造されていることを知りながら,マンション住民から残代金として合計4億円余の金員を騙し取っ...
《解 説》
1 本件は,ビデオテープ等の販売を目的とする被告会社を経営する被告人が,福島県二本松市内に図書類の販売を目的として自動販売機1台を設置するに当たり,福島県青少年健全育成条例(以下「本条例」という。)所定の事項をあらかじめ届け出ず,かつ,従業員2名と共謀の上,販売の目的で,同自動販売...
《解 説》
1 本件は,ソフトウェア等開発会社のシステム・エンジニアであるXらが,雇用主であるYに対し,時間外手当及びこれに関する付加金を請求した事案である。Xらは,Yで課長代理の職位にあったが,Yでは,時間外手当支払の要否の問題を契機に職制改革を行いながら,Xらを旧職制下の課長代理のまま処遇...
第三者の土地上に存在しその土地所有権の行使を妨害している動産について,当該動産の購入代金を立替払した者が,立替払債務の担保として当該動産の所有権を留保し,買主との契約上,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有,使用する権限を有せず,その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け,これを売却してその代金を残債務の弁済に充当できるとしているときは,当該所有権留保権者は,立替払債権の上記弁済期が到来するまでは,特段の事情がない限り,当該動産の撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,上記弁済期が経過した後は,留保された所有権が担保権の性質を有するからといって,撤去義務や不法行為責任を免れることはできないとされた事例
株主代表訴訟の対象となる商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項にいう「取締役ノ責任」には,取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任も含まれるか
《解 説》
1 本件の事実関係は複雑であるが,概要は,以下のとおりである。
(1)日本興業銀行(興銀。ただし,合併等を経て,X銀行らに再編された。)をメインバンクとして不動産賃貸業等を営んでいた旭工業株式会社(旭工業。代表取締役Y2)を中核とする旭工業グループ(企業グループ)は,バブル経済期...
《解 説》
1 本件は,駐車場の所有者であるXが,駐車場賃貸借契約の解除後も自動車が駐車されていたため,自動車の購入代金を立替払して自動車の所有権を留保している信販会社であるYに対し,土地所有権に基づき,自動車の撤去,駐車場の明渡しを求めるとともに,駐車場の使用料相当損害金の支払を求めた事案で...