《解 説》
1 事案の概要
本件は,クラブを経営している会社X(原告=控訴人)が,業務引継義務違反があったと主張して,不利な時期における委任の解除(民法651条2項)に基づき,代表取締役を退任した前代表者Y(被告=被控訴人)に対して,3000万円の損害賠償を請求した事案である。
原審が指摘...
《解 説》
1 本件は,暴力団組長の内妻であった被告人が,内縁の夫又はその関係者からガムテープで梱包された段ボール箱を預かり,実家で保管していたが,段ボール箱の中にけん銃4丁及びその適合実包102発が隠されていたため,けん銃加重所持罪で起訴された事案であり,1審,2審を通じ,被告人に加重所...
被相続人のいとこの子及びその配偶者である被相続人の成年後見人が特別縁故者に当たるとして相続財産の一部分与をした原審判を変更し,分与額を増額した事例
《解 説》
1 本件は,弁護士である原告(X)が,競売入札妨害被疑事件で勾留中の被疑者(A)の弁護人として弁護活動をしていたところ,Aの取調べに当たっていた検察官副検事(Y2)において,被疑者と弁護人との間の信頼関係を破壊することを企図した言動があり,これにより弁護権を侵害されたとして,被...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,都民税等の減額更正により生じた過納金の還付を受けたXが,その際に支払われた還付加算金は起算日を誤って算定されており,正当な金額の一部しか支払われていないと主張して,Y(東京都)に対し,還付加算金の残額等の支払を求めた事案である。
2 事実関係等の概要...
[解 説]
1 Xは,和食料理店の経営者であるところ,平成17年4月25日から同年10月26日までの間に,商品取引員であるY1社に委託して商品先物取引を行ったが,596万円余の損失を被った。
そこで,Xは,Y1社の従業員には,違法勧誘,説明義務違反などの不法行為があったとし,Y1社とその従...
《解 説》
1 本件は,貨物船(本船)を所有,運航するX(香港所在の海運業者)が,本船と他の貨物船との衝突事故(本件衝突事故)に関する共同海損について,貨物の保険者であるY(損保会社)が荷受人Aの共同海損分担金支払義務を保証したとして,Yに対し,同保証債務の履行としてAが負担すべき同分担金の一...
《解 説》
1 本件は,被告人(女性,当時22歳)が,同棲中の男性(当時18歳)に対し,包丁でその背部を1回突き刺したという事案である。その事実自体には争いがなかったが,検察官は,被告人は,殺意をもって,うつ伏せで眠っていた被害者の背中を包丁で突き刺したと主張し,一方,弁護人は,布団の上に...
《解 説》
1 Xは,Yに対し,開発後の新型浄水器の特許を受ける権利をXYの共有とし,共同でその特許出願をするとの約定の下で,新型浄水器の開発業務を委託し,Yがその新製品の開発を完成させたが,量産のための金型製作代金の金額をめぐって両者の協議が難航し,上記開発委託契約が合意解除された。その...
《解 説》
1 本件は,Y5県立A高校の生徒であったBが同校の授業として実施されたカヌー実習の最中にカヌーの転覆事故により溺死したところ,Bの相続人(親)であるXらが,Bの死亡は,A高校からカヌー実習での生徒らへの指導を委託されたY1(株式会社)のカヌーインストラクターであるY2(Y1の代...
国有財産特別措置法5 条1 項5 号に基づき,土地の一括譲与を受けた地方公共団体が時効完成後の譲受人として,登記の欠缺を主張することが信義誠実の原則に反するとして制限された事例
《解 説》
1 本件は,自宅敷地の道路に面した幅約2.7メートルの部分(以下「係争部分」という。)が自己の所有地であると主張するXが,これを争う東京都の特別区であるYに対して,Xの所有であることの確認を求めた事案である。Xは,係争部分は,もともとAが国から払い下げを受けた土地(以下「甲土地...
《解 説》
1 Yら(テレビ局)は,硬貨の外観を有する奇術の道具でギミックコインと呼ばれるものの製造をした者が警視庁により貨幣損傷等取締法違反(日本国政府発行の貨幣を奇術用コインに加工して損傷したというもの。)として逮捕された事件を,テレビジョン放送によって報道した。この報道に関し,Xら(...
1 再生債務者は民法177 条「第三者」に当たるか 2 再生手続開始前に登記を経なかった根抵当権者による,(1)再生債務者に対する根抵当権設定登記手続,(2)監督委員に対するその登記手続への同意の各請求がいずれも棄却された事例
[解 説]
1 本件は,A(当時63歳の男性)が,肝臓がんの治療のため,Yが開設する病院で平成16年4月13日にラジオ波焼灼術(RFA)の,同年4月20日に経皮的エタノール注入療法(PEIT)の各治療を受けたが,感染症になって容態が悪化し,同年6月4日に多臓器不全で死亡したことについて,Aの...
《解 説》
本件は,「酒の楽市」の屋号で酒類ディスカウント店を展開しているY1(株式会社前田)の民事再生手続に関し,再生手続開始前に登記していなかった根抵当権者X(商工中金)が,再生手続開始後に根抵当権設定登記手続を請求した事案である。Xは,再生債務者Y1に対し,根抵当権設定契約または根抵...
《解 説》
1 枚方市職員給与条例(昭和23年枚方市条例第103号。平成13年枚方市条例第37号による改正後,平成17年枚方市条例第18号による改正前のもの。以下「本件給与条例」という。)は,「非常勤職員」(54条1項)に対し,「特別報酬」(54条2項)を,①6月1日及び12月1日に在職す...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,民事執行法190条2項に基づいて執行裁判所がした動産競売の開始の許可に係る決定書正本を有する金銭債権の債権者において,当該正本が民事執行法197条1項所定の債務名義の正本に当たるとして,財産開示手続の申立てを行ったところ,これを却下した原決定に対し,上...