《解 説》
1 本件は,市立小学校の音楽専科の教諭であるXが,入学式の国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うことを内容とする校長の職務命令(以下「本件職務命令」という。)に従わなかったことを理由にYから戒告処分を受けたため,本件職務命令が思想及び良心の自由を保障した憲法19条に違反する...
《解 説》
1 本件は,奈良県斑鳩町の住民であるXが,斑鳩町が土地の無償譲渡及び補助金の交付という異なる制度に基づき実質的には補助金交付の限度額を濳脱する経済的支出をしたことは違法であるなどと主張して,主位的及び予備的に,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,Y(斑鳩町長)が斑鳩町...
《解 説》
1 インターネット上のホームページにおいて,ある団体が秘密厳守をうたって,ポルノ被害等を受けた女性からの被害情報を募集していたが,1審被告(控訴人兼附帯被控訴人)はその主催者の一人として,同ホームページ上にその経歴(肩書)に弁護士であるとして氏名を明示していた。1審原告(被控訴...
《解 説》
1 本件の事案の概要と争点は,「第1事案の概要と争点」のとおりである。①は専ら事実認定に関する争点であり,法律上の争点は②である。争点②について,本判決は,治療中止を適法とする根拠とされている患者の自己決定権と医師の治療義務の限界という2つのアプローチについて検討し,いずれのア...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。
経済産業省(当時の通商産業省)が,ゼロ・エミッション構想(ある産業から出る廃棄物を別の分野の原料として活用し,あらゆる廃棄物をゼロにするという資源循環型社会の形成を目指す構想)を推進すべく,平成9年度からエコタウン事業を創設したため,...
《解 説》
1 本件は,弁護士であるYに妻との離婚訴訟を委任したXが,Yの弁護過誤により不利な和解を強制されたなどとして,Yに対し,債務不履行又は不法行為に基づいて,損害賠償金1150万円の支払を求めた事案である。
弁護過誤の内容は,次のようなものである。銀行支店長の職にあったXが,離婚...
《解 説》
1 本件は,滋賀県栗東市が,道路建設事業費(新幹線高架下の既存道路の拡幅工事費)のための財源に充てるとして,約43億円の地方債の起債を予定したところ,同市の住民であるXらが,起債は実質的には私企業であるJR東海が所有管理する予定の東海道新幹線新駅(仮称・びわこ栗東駅)建設に要す...
ホテルを経営する会社に勤務し、 ホテルの機械室、ボイラー室等において設備係の従業員として業務に従事していた者が悪性胸膜中皮腫によって死亡した場合、会社側に安全配慮義務違反が認められないとされた事例(札幌地裁平19.3.2判決)
《解 説》
1 事案の概要
本件は,厚生年金保険の被保険者であった叔父との間で内縁関係にあった姪が,厚生年金保険法(以下「法」という。)に基づき遺族厚生年金の支給を受けることのできる配偶者に当たるか否かが争われた事案である。
(1) Xは,祖父の勧めにより,父の弟に当たる叔父Aと夫婦と...
《解 説》
1 本件は,上場株式を取得したXらが,名義書換手続をする前に同株式について株式分割がされ,株主名簿上の株主Yに増加した新株が交付されてしまい,Yが上記新株を売却処分したことについて,上記新株の売却代金相当額の不当利得返還等を請求した事案である。
2 事実経過の概要は,次のとお...
《解 説》
1 Xは,Y所属の行政書士であるところ,戸籍謄本・住民票の写し等の職務上請求書の不正使用事件の発覚を受けて,日本行政書士会連合会の決定に基づき行われていた職務上請求書の様式変更の手続において,Yに対して未使用分を含む旧様式の職務上請求書綴りを提出して新様式のものへの差替えを請求...
《解 説》
1 事案の概要
北海道市営競馬組合が行うばんえい競馬の競争馬は,通称「ばん馬」と呼ばれている。本件は,ばん馬であるAが,喘鳴症に罹患していたので,Aの馬主であるXが,Yの運営する診療所で喉頭形成術を受けさせたところ,診療所のB獣医師がXの所有する競争馬に針を残置するなどしたた...
《解 説》
1 本件は,被告人が,①大阪市内の銀行支店駐車場において,現金を強取する目的で,現金輸送車の警備員に対し,死亡させるかもしれないと認識しながらあえてけん銃を発射し命中させ,現金500万円を強取したものの,警備員を殺害するには至らなかったという強盗殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法...
《解 説》
1 Y1社は,平成16年6月,「崩壊したごみリサイクル 御殿場RDF処理の実態」と題する書籍(以下「本件書籍」という。)を出版したが,その中で,「官僚出身の元御殿場市長であったXは,工学部に籍を置いた経験と,RDFに詳しい大学の先輩から情報を集めて,自らRDFの将来性について,...
《解 説》
1 Xは,商品取引所における商品取引を行う商品取引員Aに対し,商品取引所法(平成16年法律第43号による改正前のもの。以下「法」という。)97条1項に基づき,委託保証金を預託し,商品先物取引を委託していた。ところが,Aが,監督庁により営業停止処分を受けて,各商品取引所で違約(決...
《解 説》
1 事案の概要
原告は,セフジニルという化学物質の新規結晶(粉末X線回折パターンにおいて一定の回折角にピークを示すことを特徴とするA型結晶)に係る特許権を有している。原告は,セフジニルを有効成分とする抗生物質「セフゾンカプセル100㎎」を製造販売している。
原告が従前有して...