《解 説》
1 本件公訴事実の概要は,次のとおりである。産婦人科医師である被告人が,入院中の妊娠37週の患者A子(当時31歳)の分娩介助を行うに当たり,A子に陣痛の発来が認められなかったため,陣痛誘発剤を投与したところ,胎児に徐脈傾向が見られ胎児仮死が懸念されたため,分娩を早めるべく,急速...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,J大学助教授Xが,関節リウマチ疾患や全身性エリテマトーデスを自然発症するマウスのうち6種類のマウス(本件各マウス)が自己の研究成果であると主張して,同マウスについて学会発表したJ大学教授Y1及び同大学助手Y2に対し,損害賠償及び謝罪広告の掲載を請求する...
《解 説》
Xの夫Aは,某日午後7時34分ころ,窃盗の現行犯として逮捕されて交番に連行され,同日午後8時29分ころ,覚せい剤取締法違反により重ねて現行犯逮捕された。Aは同日午後8時45分ころ,Yの設置する警察署に引致され,弁解録取を受けた後,翌日午前1時過ぎまで取調べを受けた。その後,Aの...
《解 説》
Xが代表取締役であるA社は火災に遭い,損害保険会社であるB社に対して火災保険契約に基づく保険金の支払を求める訴え(別件訴訟)を提起した。B社は,同火災はXの放火によるものであると主張して保険金の支払義務を争った。B社の訴訟代理人はY1社(代表取締役Y2)の作成した調査報告書を書...
《解 説》
1 本件は,X(原告,控訴人)が,Y(被告,被控訴人)に対し,民法770条1項5号に基づき離婚を求めた事案である。
2 事案の概要は次のとおりである。
Xが妻であるYのXに対する言動及び9年以上に渡る別居の継続等を理由に,婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして離婚を求めた...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,「多関節搬送装置,その制御方法及び半導体製造装置」について特許権を有する原告が,被告が製造販売する多関節搬送装置が上記特許発明の技術的範囲に属するとして,その製造等の差止め,損害賠償金の支払等を求めた事案である。
本件各特許発明に係る特許は,特許庁の...
《解 説》
1 本件の事案の概要は次のとおりである。Xら及びYらは約36戸で構成される集落の構成員である。同集落においては毎年岩魚つかみ取り大会が開催されていたが,Xが同大会からの脱会を申し出たのをきっかけに,Xら11名を含む15名が同大会から脱会する旨記載した文書を集落の区長であるY1に...
《解 説》
1 本件は,機械メーカーであるXが,①主位的請求として,ゲーム機等を販売する米国の会社であるAの意向を受けて開発,製造した商品を順次XからY,YからAに継続的に販売する旨の契約が成立したと主張して,Yに対し,同契約の債務不履行に基づき商品の開発,製造に要した費用,得べかりし利益...
《解 説》
1 本件は,市立小学校の音楽専科の教諭であるXが,入学式の国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うことを内容とする校長の職務命令(以下「本件職務命令」という。)に従わなかったことを理由にYから戒告処分を受けたため,本件職務命令が思想及び良心の自由を保障した憲法19条に違反する...
《解 説》
1 本件は,奈良県斑鳩町の住民であるXが,斑鳩町が土地の無償譲渡及び補助金の交付という異なる制度に基づき実質的には補助金交付の限度額を濳脱する経済的支出をしたことは違法であるなどと主張して,主位的及び予備的に,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,Y(斑鳩町長)が斑鳩町...
《解 説》
1 インターネット上のホームページにおいて,ある団体が秘密厳守をうたって,ポルノ被害等を受けた女性からの被害情報を募集していたが,1審被告(控訴人兼附帯被控訴人)はその主催者の一人として,同ホームページ上にその経歴(肩書)に弁護士であるとして氏名を明示していた。1審原告(被控訴...
《解 説》
1 本件の事案の概要と争点は,「第1事案の概要と争点」のとおりである。①は専ら事実認定に関する争点であり,法律上の争点は②である。争点②について,本判決は,治療中止を適法とする根拠とされている患者の自己決定権と医師の治療義務の限界という2つのアプローチについて検討し,いずれのア...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。
経済産業省(当時の通商産業省)が,ゼロ・エミッション構想(ある産業から出る廃棄物を別の分野の原料として活用し,あらゆる廃棄物をゼロにするという資源循環型社会の形成を目指す構想)を推進すべく,平成9年度からエコタウン事業を創設したため,...
《解 説》
1 本件は,弁護士であるYに妻との離婚訴訟を委任したXが,Yの弁護過誤により不利な和解を強制されたなどとして,Yに対し,債務不履行又は不法行為に基づいて,損害賠償金1150万円の支払を求めた事案である。
弁護過誤の内容は,次のようなものである。銀行支店長の職にあったXが,離婚...
《解 説》
1 本件は,滋賀県栗東市が,道路建設事業費(新幹線高架下の既存道路の拡幅工事費)のための財源に充てるとして,約43億円の地方債の起債を予定したところ,同市の住民であるXらが,起債は実質的には私企業であるJR東海が所有管理する予定の東海道新幹線新駅(仮称・びわこ栗東駅)建設に要す...
ホテルを経営する会社に勤務し、 ホテルの機械室、ボイラー室等において設備係の従業員として業務に従事していた者が悪性胸膜中皮腫によって死亡した場合、会社側に安全配慮義務違反が認められないとされた事例(札幌地裁平19.3.2判決)