《解 説》
1 本件の事案は,フィリピン国籍を有する母と日本国籍を有する父との間に出生し,日本で育った各原告が,出生後に父から認知を受けたことを理由にして国籍取得届を提出したところ,国籍法3条1項の要件を備えていないとして,日本国籍の取得が認められなかったため,父母の婚姻と嫡出子であること...
《解 説》
1 訴外Aは,平成4年1月2日,訴外Bを同乗させて,自動車を運転中,道路の擁壁に衝突させる交通事故を起こし,Bに重傷を負わせたため,Bは,Yの開設するC病院に入院して治療を受けたが,四肢麻痺,両眼失明の後遺障害が残った。
X(保険会社)は,事故車について自動車保険契約を締結し...
《解 説》
1 本件は,Yの株主であるXが,Yの役員に不正行為の疑いがあり,その調査をする必要があることを理由に,Yに対し,商法293条ノ6第1項に基づき,Yの会計帳簿及び会計資料(以下「会計帳簿等」という。)の閲覧謄写を請求した事案である。
Yは,Xの会計帳簿等閲覧謄写請求の理由を記載...
《解 説》
1 本件は,法務省が外務省を通じて外国公機関に照会を行った際の依頼文書,これを受けて外務省が外国公機関に交付した照会文書及び同機関が外務省に交付した回答文書の各写しについて文書提出命令が申し立てられ,差戻前原審がいずれも提出命令を発したので,相手方らが許可抗告を申し立て,差戻前...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,いわゆる回線交換方式による直収電話サービスを提供していたXが,Y1との資本提携交渉に関して,同サービスに関する営業秘密をY1ほか2社に開示したところ,Y1ほか2社が,同営業秘密をY1の100パーセント子会社であるY2に不正に開示し,Y2がその営業秘密を...
《解 説》
1 本件は,新国立劇場を管理運営するY財団法人との間で期間1年の出演基本契約を締結・更新し,新国立劇場合唱団のメンバーとしてYの主宰するオペラ公演等に出演していたXが,平成15年2月,Yから次シーズンの出演基本契約を締結しないとの通知を受けたため,出演基本契約は労働契約であり,...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,西大阪高速鉄道株式会社(以下「西大阪鉄道」という。)の西大阪延伸線(西九条駅から近鉄難波駅)計画予定地の近隣住民等である原告ら(99名)が,同延伸線計画は,列車走行により周辺住民に受忍限度を超える騒音被害を生じさせるものであって,同延伸線工事施行認可(...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,マンションの販売等を業としている会社が国立市内に位置する「大学通り」と称される公道沿いに地上14階建てのマンション(本件建物)を建築したところ,その付近に土地を有する住民や学校法人らが原告となり,本件建物の建築により受忍限度を超える被害を受け,...
《解 説》
1 自動車損害賠償保障法(以下「法」という。)16条の3第1項は,保険会社が被保険者に対して保険金を支払うとき又は保険会社が法16条1項の規定により被害者に対して直接損害賠償額を支払うときは,死亡,後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める「支払基準」に従ってこ...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 原告らは,いずれも著名な詩人,作家,学者等又はその承継人であり,小学生用国語教科書に掲載された著作物の著作権者である。
被告らは,いずれも小学生用の大手副教材製作販売会社であり,長年にわたり,全国の小学生向けに,国語教科書に準拠した副教材として小学生...
《解 説》
1 Xは,AとのコンビBの一員としてタレント活動するほか,個人としても多数のテレビ番組等への出演,著作活動等幅広く芸能活動をしている著名なタレントである。
Y1は,「FLASH」という写真週刊誌を発行する出版社であり,Y2は,同誌の編集人であるところ,Yらは,平成17年3月1...
1 日本国法人Xが,台湾法人Y 1及び米国法人Y 2に対して提起した債務不履行,製造物責任,不法行為等に基づく損害賠償請求訴訟について,不法行為地の裁判籍等を認めた上で,日本の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情は認められないとして,日本の国際裁判管轄を認めた事例(①事件) 2 米国法人Y ’1及び甲が日本国法人であるX ’らを被告として不法行為等に基づく損害賠償等請求訴訟を米国の裁判所に提起した後に,X ’らがY ’1及びY ’2(甲の破産管財人)を被告として日本の裁判所に提起した上記損害賠償等債務の不存在確認訴訟について,普通裁判籍,不法行為地の裁判籍等を認めた上で,日本の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情は認められないとして,日本の国際裁判管轄を認め,併せて,民訴法142条の「裁判所」は外国の裁判所を含まないというべきであるとした事例(②事件) 2 国際裁判管轄の決定基準 「我が国の民訴法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは,原則として,我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき,被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが,我が国で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には我が国の国際裁判管轄を否定すべきである。」(最二小判昭56.10.16〔マレーシア航空事件〕民集35巻7号1224頁,最二小判平9.11.11民集51巻10号4055頁) 3 国際的二重起訴について,民訴法142条(重複する訴えの提起の禁止)と同一の効果を認めることの可否(②事件中間判決,消極)
《解 説》
1 本件は,X社(日本法人)がY1社(台湾法人)の製作した部品(光モジュール)をX社の製品(メディアコンバータ)に搭載して我が国で販売したところ,この部品の欠陥により,上記製品に故障が生じ,損害を被ったと主張して,X社からY1社に対し,瑕疵担保責任,債務不履行責任,製造物責任な...
《解 説》
1 本件は,暴力団組長である被告人が,配下の組員らと共謀の上,(1)みかじめ料を支払わない会社が経営するパチンコ店において,けん銃から弾丸を発射して店の天井を損壊するなどし,(2)けん銃5丁をそれらに適合する実包168発及びそれらに適合しないけん銃用実包2発と共に保管して所持し...