《解 説》
一 本件は、国外移送略取と器物損壊の事案であるが、判示事項と関係があるのは、国外移送略取の点であり、日本人である妻と別居中のオランダ国籍の被告人が、妻が監護養育していた二歳四か月の子を自分の母国であるオランダに連れ去るため入院中の病院から連れ出した行為が、同罪に問われたものであ...
《解 説》
本件は、いわゆる業際研事件のうち、元国会議員秘書で業際研を実質的に経営していた被告人に対する第一審判決である(なお、法人税法違反事件については、株式会社である業際研自体も共同被告人として起訴され、一緒に判決を受けている)。
業際研事件では、三つの地方公共団体を舞台とした競売入...
《解 説》
1 Xは,広告会社の営業部副部長代理の地位にあったが,平成10年8月,Y1(会社)の経営するフィットネスサロンの会員として入会し,同年10月,Y1の委任を受けて医療類似行為を業としているY2(会社)の治療室内において,Y2の社員であるマッサージ師Y3から整体アジャストメント・頸...
《解 説》
1 本件は,大学病院の耳鼻咽喉科において,右顎下部の悪性軟部腫瘍の一種である滑膜肉腫に罹患した患者に対し,抗がん剤である硫酸ビンクリスチン,アクチノマイシンD及びシクロホスファミドの3剤を投与する化学療法(VAC療法)を実施するに当たり,2ミリグラムを限度に週1回の間隔で投与す...
《解 説》
1 A社は,平成11年8月ころ,取引銀行及び主要リース会社に対して,支払猶予及び延払い等を内容とする再建計画を提示し,大部分の債権者から,事実上の了解を得た。A社のサブ銀行であるY1銀行は,無担保で2億8000万円を融資していたが,上記再建計画を事実上了承するにあたり,手形の譲...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、平成一三年三月に都立豊島病院において発生した、呼吸回路が閉塞して生後三か月の乳児が死亡した事故について、組み合せて使用された各医療器具の製造・輸入販売企業二社の製造物責任と呼吸回路を接続した医師を雇用していた東京都の使用者責任が問われた事件の第一審判決...
《解 説》
1 本件は,知的障害者である原告らが,勤務していた会社の経営者である被告Aから暴力行為等を受けたこと,適正な賃金が支払われないなどの劣悪な労働条件等の下で労働を強いられたこと,障害基礎年金を横領されたこと等につき,被告Aのこれらの行為が不法行為等にあたるとして,被告Aに対し損害...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,市バスに乗車中の乗客が,市バスが直進道路を進行中に急停車した衝撃により,市バス車内に転倒し,運転席近くにあるパイプに頭部を強くぶつけ,頸椎損傷の傷害を負った事故について,市バス運転手及び市交通局に対し,その損害賠償を請求した事件である。
責任原因(民...
《解 説》
1 X1は,平成7年8月5日,Yの開設するA病院で診察を受けたところ,妊娠しており分娩予定日は平成8年3月23日と診断されたので,その後A病院に通院して定期検診・診療を受けていたが,同年3月24日,陣痛が発来したので,同病院に入院し,同日,X2を出産したが,X2に重度の脳性麻痺...
《解 説》
一 本件は、郵便局に所属する保険外務員が簡易保険の契約者に加えた損害が民法七一五条一項にいう「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」に当たるか否かが争点となった事案である。
二 Aは、S郵便局保険課に所属する保険外務員であり、簡易保険の勧誘や保険料の集金等を通じて、...
《解 説》
一 本件は、証券会社の外務員のした行為が証券取引法(平一〇法一〇七号改正前。以下特に断らない限り同じ。)六四条一項にいう「その有価証券の売買その他の取引」に当たるかどうかが争点となった事案である。
二 Aは、証券会社であるYに所属していた証券外務員であったが、自己の担当する顧...
《解 説》
1 Xは,平成10年6月当時,明石市立A小学校5年に在学中であったが,同月1日,学校における行事としてプール清掃作業が行われた際,両腕を負傷したので,近所の病院で診察を受けたところ,プール掃除に使用した塩素系剤による接触性皮膚炎等と診断された。
そこで,Xは,Y1(明石市)に...
《解 説》
1 静岡県の住民であるXらは,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)242条の2第1項4号前段に基づき,県に代位して,県知事及び県職員の地位にある者らに対し,違法公金支出返還請求の訴え(前訴)を提起したが,裁判所の勧告により,同訴訟の被告らが県に金員を...
《解 説》
1 本件は,当時の高知県副知事A,同商工労働部長B,同商工政策課長Cが,共謀の上,自己保身の目的をもって,貸付けを担当する公務員の任務に背き,県議会の議決を得ないままに,400名余りの従業員を擁して同和対策事業の一環として縫製業を営む協業組合に対し,平成8年9月から同年12月に...
《解 説》
1 Xは,平成8年7月4日,下腹部痛が出現したとの主訴により,Yの経営するA病院の救急外来を受診したところ,急性虫垂炎の疑いがあると診断され,経過観察をするため,A病院に入院した。
翌7月5日,Xには強度の腹膜刺激症状が見られたため,A病院の医師は,急性腹症として緊急手術をす...