《解 説》
一 本件は、外資系企業の従業員に付与されたストックオプションの権利行使利益に対する課税のあり方が争われた事案である。
すなわち、Xは、外資系企業の日本法人であるA社の従業員であるところ、その親会社である米国法人・B社から、四回にわたり、B社の普通株式を付与時における米国NAS...
《解 説》
1 X1は,平成11年10月当時,山口県立A高校2年に在籍しながら,ガソリンスタンドでアルバイトをしていたが,私立B高校の生徒Y3がX1に恐喝された旨同高校に報告し,B高校がその旨A高校に連絡したため,A高校の教諭から事情の聴取を受けた。
X1は,上記事情聴取の際,恐喝事件へ...
《解 説》
1 Xは,20世紀を代表する日本の経済人を取り上げた日本経済新聞の連載記事の一環として,住友財閥の基礎を築いた伊庭貞剛を取り上げた記事(X記事)を掲載した。他方,Y1は,古河財閥の創設者古河市兵衛の伝記である「運鈍根の男 古河市兵衛の生涯」(Y書籍)を執筆し,Y2がこれを発行し...
《解 説》
一 本件は、高級腕時計の詐欺事件に絡んで、腕時計の購入代金を立替払いした信販会社が、時計を配送した業者、時計の受取先として場所を提供した業者に対し、損害賠償請求をした事案である。Aは、秘書代行業(顧客に代わって電話を受けたり転送したり、宅配荷物を受領する等を行う仕事)を利用して...
《解 説》
一 事案の内容
本件は、女性用衣料品等のカタログ販売を行っているXが、同じく女性用衣料品等のカタログ販売を行っているYに対し、Yカタログに掲載、販売された商品のうち一二点は、X商品を模倣したものであり、Yの行為は不正競争防止法二条一項三号所定の不正競争行為に該当すると主張して...
《解 説》
本件は、アルツハイマー型痴呆を患う夫である被害者(当時七四歳)との生活に疲れて前途を悲観した被告人(当時七四歳)が、夫を殺害した上自殺しようと決意し、その左胸部を洋包丁で二回突き刺したものの、同人に抵抗されて同包丁を取り上げられ、その後三時間を超えて、救命措置を講じない一方、更...
《解 説》
一 事案の概要及び前提となる事実関係
1 昭和二七年の改正以前の公職選挙法で認められていた在宅投票制度(疾病等のために歩行が著しく困難な選挙人について、投票所に行かずに在宅で投票用紙に投票の記載をして投票することを認める制度)においては、選挙人の自書(自署)ではなく、代理人が...
《解 説》
1 本件は,Z株式会社を退職した従業員のXら10名が,Z社を含む10数社はY株式会社を中心会社とするグループ会社を構成していたことを前提に,中心会社であるY社において,Z社の法人格の否認,さらに,Y社の重畳的債務引受を理由として,Xらに対して退職金を支払うべき責任があると主張し...
《解 説》
一 本件は、婚姻関係が破綻して妻のZと別居し、夫婦間の子A(小学生)・B(保育園児)を監護養育していた夫のXが、Zにおいて、A・BをXに無断で通学・通園中の小学校・保育園から連れ去ったところ、カウンセラー業を営むYにおいて、Zから相談を受けてこれに協力したことを前提に、その連れ...
《解 説》
一 本件は、職務発明をした従業員Xから会社Yに対して、特許法三五条三項に基づき、特許を受ける権利を会社に承継させたことについての相当の対価を請求した事案である。
Xは、光ディスクの分野の技術を専門とし、Y在職中のXによる職務発明は、主として光ディスクの分野に関するもので、本件...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xは,大学卒業後,S電機に勤務していたが同社を平成7年定年退職後は駐輪場に勤務していたものであり,平成11年当時64歳であった。Xは,平成10年9月,Y証券に口座を開設し,同証券の外務員であるSを担当者として,同12年3月まで株式取引を行っ...
《解 説》
一1 滋賀県は、琵琶湖の水質の悪化等を受け、その保全活動の一環として、生物の生息場所であり湖辺の水質保全にも役立つ働きを有している湖辺のヨシ群落の保全を進めることとし、平成四年三月三〇日、滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例を制定した。同条例は、琵琶湖やその周辺地域のうち、...
《解 説》
原告は,一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬及び最終処理処分業務,採石業等を目的とする株式会社であり,平成8年ころから,その所有に係る土地において,採石業を行うことを計画し,開発事業届出書提出に伴う被告(高知県知事)の指導を充足した上,平成12年5月8日,採石法33条の定める採取計...
《解 説》
1 本件は,平成11年11月7日に松本市内で発生した被告らによる集団リンチによって息子を殺害されたとして,その家族が,被告らに対し,逸失利益,慰謝料等及び懲罰的損害賠償として,総額3億5800万円余の支払を求めた事案である。
2 本判決は,犯行前日から犯行当日までの被告らの行...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 沖縄県内の暴力団組織である三代目甲会(主流派)と沖縄甲会(反主流派)との間で対立抗争が勃発し,両組織の組員が相互に相手方組織の組員又は関係者を殺傷するなどの抗争行為を繰り返していた中で,三代目甲会乙一家のもと組員であったAは,平成2年11月23日,乙一...
《解 説》
一 本件は、Y1の製造、販売にかかる化粧品(N化粧品)の販売会社(販社)であったXが、Y1と締結したN化粧品の販社販売業務委託契約(本件委託契約)を解除された(本件解除)ことについて、それが私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)一九条で禁止されている不公正な...
《解 説》
一 事案の概要
1 事実経過
被控訴人(一九二四年七月生れ)は、韓国在住の韓国人であるが、旧日本陸軍に召集され、昭和二〇年八月広島で原子爆弾に被爆した。被控訴人は、平成一〇年五月治療目的で来日し、大阪府知事から原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」とい...
《解 説》
一 本件は、原告が福井刑務所において受刑中、(1)作業中に隣席受刑者と雑談していたところ、同刑務所職員から頭部を殴られる暴行を受けたとして、国家賠償法に基づき一〇万円の慰謝料の支払を求めるとともに、(2)実弟に宛てた信書(以下「本件信書」という。)の中で、同刑務所職員の中には受...