《解 説》
一 本件は、売買を原因としてY名義の所有権移転登記が経由されている土地建物につき、Xが、Yの兄でありXの父である亡Aが二〇年間にわたり居住して占有を継続したことによって、その所有権を時効取得したと主張して、Yに対して、取得時効を原因とする所有権移転登記手続を求めた事案である。
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《解 説》
一 本件は、他の共同相続人からその相続分の贈与を受けたX(共同相続人の一人)が相続財産である本件農地(既に法定相続分の持分割合による相続登記がされたもの)について「相続分の贈与」を原因とする持分全部移転登記を申請したところ、Y(登記官)が農地法三条一項の許可(以下、単に「許可」...
《解 説》
一 本件の経過は次のとおりである。
Aが死亡し、妻B、長男C、次男YがAを相続した。Aは死亡当時、BCと同居していた。CはYに対し、Aの遺産分割に関する協議を申し入れて意見を交換したが、当事者同士では解決が困難と判断し、弁護士であるXにAの遺産分割に関する交渉を委任した。Xは...
《解 説》
一 本件は、貸金業者であるXが、借主であるYに対し、貸金残金を請求したところ、Yが利息制限法所定の制限利息を超える約定利息支払部分は元本に充当されるべきであり残債務は存在しないと主張したのに対し、Xが約定利息支払部分について貸金業の規制等に関する法律(貸金業法)四三条一項のみな...
《解 説》
一 Xは、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反容疑で逮捕され、大阪府曽根崎警察署の代用監獄に勾留されていた被疑者A及び大阪府旭警察署の代用監獄に勾留されていた被疑者Bの弁護人であった者である。検察官は、A及びBが勾留されていた各警察署長あてに接見指定のあり得る旨を記載した「接見等の指...
《解 説》
本件は、いわゆる脱税請負人グループに属する被告人が、同グループの者や納税義務者らと共謀で行った所得税法違反及び法人税法違反並びに自己の所得税を免れた所得税法違反、滞納法人税額の減額を依頼してきた者に対する詐欺及び偽造に係る納税証明書を行使した有印公文書偽造・同行使の各事案である...
《解 説》
一 本件は、太平洋戦争中、日本政府が昭和一七年一一月に行った「華人労務者内地移入に関する件」と題する閣議決定により、中国山東省の住民である被害者が、被告の行為によって北海道に強制連行されたうえ、過酷な強制労働を強いられ、これに耐えかねて逃走し、その後一三年の長期にわたって北海道...
《解 説》
1 X(昭和10年生)は,平成9年10月,上腹部痛を訴え,救急車でYの経営する「中央病院」に搬入され,同年11月,中央病院で,腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下「本件手術」という。)を受けたが,術後,創部感染を併発し,発熱や創部の化膿が継続したため,入院の継続を余儀なくされ,平成10年1...
《解 説》
本件は、保険医療機関等が作成し、保険者である京都市が保有する国民健康保険に係る診療報酬明細書(いわゆる「レセプト」)の記載に誤りがあったことから、原審原告(被控訴人)が、京都市個人情報保護条例(本件条例)に基づく個人情報の訂正請求を行ったところ、原審被告(控訴人)が非訂正決定処...
《解 説》
一 本件は、南アフリカ人である被告人が、共犯者から南アフリカ・日本間の往復航空券を受領し、その往路部分を使用して、日本国内に大麻草約一二キログラムを密輸入した(関税法違反は未遂)という事案である。
検察官は、共犯者から受領した往復航空券は、いわゆる麻薬特例法二条三項に定める「...
《解 説》
一 本件は、りんご生産等の事業を営むことを目的として設立された民法上の組合(本件組合)の組合員Xが、専従者として組合のりんご生産作業に従事し、組合から労務費名目で支払を受けた金員につき、これを給与所得に係る収入であるとして所得税の再修正申告をしたところ、Y税務署長がこれを事業所...
《解 説》
一 X1は、X2が設置するA大学の教養部の教授でその副学長を兼任している。Y1はその編集・発行する週刊誌に、「連続キャンペーン」として、合計六回にわたり、①「日本に潜む金正日直属の『超大物スパイ』」「総聯議長も恐れる闇の男」、②「金正日の”直属スパイ“仮面は『大学副学長』!」「...
《解 説》
一 本件は、法人税の更正処分に対する取消請求訴訟であるが、唯一の争点はプリペイドカードの売上げを収益として計上すべき事業年度はいつか(プリカ販売の時か現実の商品との引換えの時か)という点である。
二 商品券等の会計処理の方法については、従来から預り金として処理するという説が有...
《解 説》
一 本件は,相続税の更正処分に対する取消請求訴訟であるが,争点は原告の相続した土地の評価であって,その前提として生産緑地法の解釈を巡る争いがある。
二 農地が生産緑地に指定されると,指定の日から三〇年間は建築や宅地造成等につき強い制限が付されることとなる。このため,生産緑地の...
《解 説》
一1 X(原告・控訴人)は、平成元年、Aから、群馬県吾妻郡嬬恋村内に地上三〇階、地下一階建てのリゾートマンション(高さ一〇一・二メートル、以下「本件建築物」という。)の建築について、建築確認申請手続や関係官庁との折衝等の業務を委託され、嬬恋村と事前折衝を行ったが、同村の指導要綱...
《解 説》
一 本件は、パソコン通信を開設し運営していた被告人が、パソコン通信のホストコンピュータのハードディスクにわいせつな画像データを記憶、蔵置させて、不特定多数の会員にわいせつな画像データが閲覧可能な状態を設定し、わいせつ物を公然陳列したとして、起訴された事案である。
被告人は、一...
《解 説》
本判決は、共犯者らと共謀して韓国から大量の覚せい剤を密輸入し、あるいは密輸入しようとしたとする覚せい剤取締法違反、関税法違反等被告事件で懲役一六年の判決を受け服役を終えた被告人に対して、再審で無罪(一部無罪)を言い渡したものである。
本件事案の内容及び再審開始に至るまでの経過...