《解 説》
一 本件は、交通事故で負傷した被告人が、加害車両の所有者が締結していた農協との自動車共済を利用して、休業損害補償金の名目で共済金(保険金)を騙し取ったという、一種の保険金詐欺の事案である。すなわち、被告人は、いわゆるマルチ商法を営む甲社の特約販売店をして稼働していたものであるが...
《解 説》
一 Xは、企業内外の人材の教育訓練等を業とし、平成元年度から八年度までの間、Y1の関西支社の社員に対し、課長からタスク長への任用候補者を対象とした研修(A研修)、係長等から課長への任用候補者を対象とした(I研修)等の各種研修の実施を担当してきた者である。
Xは、Y1及びY1の...
《解 説》
一 Xは、平成九年一一月ころ、Aに対する貸金債権を被保全債権として、Y所有の本件不動産について、根抵当権実行としての競売申立てをしたところ、同月一一日、不動産競売開始決定がなされて競売手続が開始され、平成一一年六月二四日、期間入札(入札期間・同年八月一七日から同月二四日、開札期...
《解 説》
一 本件は、深夜、片側一車線の駐車禁止規制のある道路上に駐車放置されていたかなり大型の貨物自動車に原動機付自転車が衝突して運転者が死亡した事故について、遺族らから右駐車を行った被告に対して提起された損害賠償請求事件であり、主要な争点は原動機付自転車運転者の過失の有無及び過失相殺...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、平成八年九月五日、Y1が経営するA大学病院眼科に、眼内炎の治療のため入院したが、入院中の同月一五日、肝膿瘍を原発巣とする肺炎桿菌が右眼に転移したために発生した内因性細菌性眼内炎により右眼を失明した。Xは、A大学病院眼科の医師であるY2...
《解 説》
一 X(本件原告)は本件当時七四歳の女子であるが、平成八年一〇月、Y(本件被告)の開設するA病院(被告病院)眼科外来で受診したところ、老人性白内障と診断され、超音波水晶体乳化吸引術(PEA)、眼内レンズ挿入術による白内障手術(本件手術)を受けた。ところが、Xはその後眼内炎に罹患...
《解 説》
一 本件事案の詳細は判文のとおりであるが、要するに、旅行業者である原告が、やはり旅行業者である被告を代理して、被告主催の海外旅行の契約の締結のための申込みを顧客から受けたところ、出発日の二日前になって顧客が旅行参加者の一名の氏名につき英文スペル訂正の手続を申し出たため、原告が被...
《解 説》
1 X(大正15年生)は,平成元年2月,Y(静岡市)の設置する「静岡市立静岡病院」における腹部CT検査及び同造影CT検査の結果,肝臓に腫瘤陰影が認められ,肝癌等の悪性腫瘍の疑いがあったため,同年3月,同病院において腹部血管造影検査(以下「本件検査」という。)を受けた。
しかし...
《解 説》
一 控訴人は、被控訴人(旅行業者)の主催する「荘厳なるコーランの響き サウジアラビア紀行Bコース 一三日間」と題する旅行(本件旅行)に参加したが、移動に中古バスや小型バスが使われ、天井から水漏れがしたり、通訳の能力に問題があったり、見学予定が走行中の車窓からの見学に変更されたり...
《解 説》
一 Aは下腹部痛を訴えてY1病院を受診したところ、同病院の医師Y2はAに急性膵炎を疑い、メシル酸ガベキサート(FOY)の七日間連続投与を指示した。Y2医師は、六回目のFOY投与を行った時点で、Aに慢性膵炎の急性増悪期を疑うようになったが、確定診断のための検査をすることはなかった...
《解 説》
本件は、地方都市の国道沿いにある商業地一八七五平方メートルの賃料増額が求められた事例である。最初の賃貸借は、昭和五二年にバッティングセンター営業用建物所有の目的でされたが、その後は、主に国道沿いの飲食店用建物所有目的の土地賃貸借として経過している。地代は、昭和五二年に月額一二万...
《解 説》
一 事案の説明
X建設会社は、土地所有者Y1から注文を受けて、多額の建築資金を費やしてホテルを建築したが、建築代金の大部分が支払われなかった。Y1は、代金を割賦で支払うと約束し、残代金について、ホテルの土地建物に抵当権を設定し、抵当権実行の場合には、賃借権も設定する、Y1がホ...
《解 説》
一 事案の概要
1 抗告人は、衣料品の製造販売を目的とする非上場株式会社である。本件の基本事件は、抗告人の株主である相手方(原告)が抗告人の取締役である被告らに対し,提起した株主代表訴訟(商法二六七条)である。原告は,被告らが取締役としての忠実義務に違反し、抗告人の第四八期及...
《解 説》
一 本件は、全財産を交付してY2(権利能力なき社団)に参画したXが、脱退後に、交付した財産相当額等の支払を求めた事案である。
二 本判決が認定した事実によれば、Y2は、理想の幸福社会(無所有共用一体社会。すべての物は誰の物でもなく万人の利用に供されるべきという思想に基づき、皆...