《解 説》
一 本件は、東京都による水道メーターの発注のための指名競争入札等に関して水道メーター販売会社二五社の営業実務責任者らの行ったいわゆる談合の合意が、独占禁止法二条六項、三条の不当な取引制限に当たるかどうかが争われた事案である。
弁護人は、当初から、本件合意が、中小企業の保護のた...
《解 説》
一 Xは、Y会社経営のガソリンスタンドの近くに事務所を構える暴力団の幹部であり、このガソリンスタンドをしばしば給油、洗車等で利用していた。Xの組員であるAはX所有のメルセデスベンツを本件スタンド内に鍵をつけたまま置き、「何もしなくていいから、置いといてくれ」と告げて立ち去った。...
《解 説》
一 X(夫、昭和七年生)Y(妻、昭和一二年生)は、昭和三三年に婚姻し、二人の子をもうけた(いずれも成人)が、不仲となり、Xの定年退職後は別居していた。そうした中で、Xが、Yに対し、Yの浪費は目に余るものであった等として離婚請求及び慰謝料請求(一〇〇〇万円)をしたところ、Yも、X...
《解 説》
一 Xは、平成九年一月一四日、Yとの間において、Xを保険者、Yを被保険者として、Y所有の居宅等を目的物として、火災保険契約を締結した。
平成九年一〇月三一日深夜、右居宅において火災が発生し、右居宅と家財等が焼失したが、Xは、本件火災は、YあるいはYの意を受けた者による放火によ...
《解 説》
一 本件は、昭和五二年から昭和五六年四月までの間に五回の狭心症発作を起こして通院治療中の港湾荷役作業従事者であったA(四五歳)が、昭和五七年七月三一日勤務終了後帰宅するや倒れ、心筋梗塞で死亡した事案について、Aの死亡が業務に起因するかどうかが争われたものである。
Aは昭和四四...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。
X1は、損害保険会社であるYとの間で、X1所有の建物五棟(以下「本件建物」という。)を目的として三個の火災保険契約を締結し、X2は、Yとの間で本件建物内の商品につき五個の店舗総合保険、営業利益保険を締結した。Aは、X1とX2の実質的...
《解 説》
一 本件は、火災により建物等に損害が発生したとして、原告が、被告に対し、被告との間の右建物等を目的とする火災保険契約に基づく保険金請求をしたところ、被告が、本件火災は原告又はその意を受けた者の故意により招致されたなどとして、免責を主張した事案である。
二 本判決は、①原告の財...
《解 説》
一 XはY従業員Aとの間でカーナビゲイションシステム(以下「カーナビ」という)三〇台を一四〇〇万円余りで売買し、代金全額を支払ったが、二台の一部しか納入されなかったので、契約を解除した。Xは、このように主張して、Yに対して、①不当利得に基づく代金返還請求、又は②Aが売買を装って...
《解 説》
一 Xは、不動産販売業を営むY1会社から新築建売住宅(本件土地建物)を購入した者であり、Y2は、Y1会社の代表取締役であると共に本件建物の建築主である。Y3は、本件建物の施工者(請負人)であり、Y4は、二級建築士であって、本件建物の建築確認申請書に工事監理者として記載されていた...
《解 説》
一 Xは夫を亡くし未成年の子供を抱えて情緒不安定に陥っていた未亡人である。Y1(運勢鑑定家と称する女性)は、気学、方位学等の知識を悪用してXに近づき、二穣会なる会に入会させた上、虚偽の事実を述べたて、現金に祈祷等を行うことによって運勢をよくするという「念金浄化」を勧め、その名目...
《解 説》
一 本件は、強盗殺人被告事件(いわゆる東電OL殺人事件)について第一審で無罪とされた不法残留中のネパール人被告人が、控訴審裁判所によって再び勾留されたため、これに対して異議申立てをしたが棄却され、これに対する特別抗告も棄却された後、今度は、勾留取消し請求を行い、右請求却下決定に...
《解 説》
一 本件は、特許権に基づく侵害差止請求事件であり、その概要は以下のとおりである。すなわち、「連続壁体の造成工法」に関する特許権(本件特許権)を有しているX(原告)が、Y(被告)が、ビルの新築工事を請け負い、Z(補助参加人)が実施した基礎工事に関連する被告工法が本件特許権を侵害す...
《解 説》
一 事案の概要
1 原告は、平成一〇年一月一七日(土曜日)、世田谷区用賀のマンション建設現場において、電動カッター「ベビーサンダー」により鉄筋を切る作業に従事中、跳ね返って飛んできたカッターが顔面に当たり、その刃により、鼻根部裂傷の傷害を負った(以下「本件事故」という。)。
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《解 説》
本件は、錯誤無効を理由に、残土による埋め立てのための土地使用契約で交付された代金の返還を求める不当利得返還請求権の消滅時効が、これに先行する債務不履行解除を理由とする原状回復請求としての代金返還請求訴訟の審理によっても中断されていないとされた事例である。
事実関係は、次のとお...
《解 説》
一 Xらは、「プロスタカス」という名称の前立腺肥大症患者のための医療用機械器具の輸入販売を行っている会社であるところ(X1の子会社がX2である)、その従業員であったY2らが、Xらの保有管理する顧客名簿等の情報を社外に持ち出し、自らが設立した同種の事業を目的とする会社であるY1に...
《解 説》
一 本件は、建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)六二条所定のマンションの建替え決議の効力が争われた事案であり、事案の概要は、以下のとおりである。
本件マンションは、昭和四二年ころに竣工した一二棟のマンションであり、団地を構成している。本件団地では、昭和六一年に行...
《解 説》
一 京成電鉄は、平成元年から同三年にかけて伊豆熱川の土地をリゾート開発を目的として購入したが、現在に至るまで開発がなされておらず、その時価は大幅に下落している状態にある。同社の株主である原告は、右土地の購入について社内での十分な協議、検討もなく被告が実質的に独断専行し、さらに十...
《解 説》
原告は、「土地の売買、建物の売買」を指定役務とする登録商標(ヴィラージュ商標と、楕円の中に「Village」の語を配した商標)の商標権者であるが、登録商標と類似する被告標章(「ヴィラージュ白山」及び「VILLAGE」の標章)をその名称に使用してマンションを分譲販売した被告に対し...
《解 説》
一 本件は、グラフィックデザイナーであるXが、大手出版社Yに対して、Xの創作に係る図画について、Yが無断でその一部を切り離して複製し、新たに発行する文庫シリーズのシンボルマークとして、文庫の表紙や新聞雑誌広告、電車中吊り広告等に使用したと主張して、著作権(複製権)侵害を理由とす...