《解 説》
一 本件は、京都市(Y)が建設中のごみ焼却施設(以下「本件施設」という。焼却能力一日あたり七〇〇トン。)について、建設予定地周辺の住民(Xら)が、その建設差止めの仮処分を求めた事案である。
本件事案の概略は次のとおりである。Yは、本件施設の建設につき地元住民との話合いを進めて...
《解 説》
本判決は、Xの飼い犬が、Yの飼い犬に咬まれて死亡した場合に請求できる犬の価格と慰謝料額等が争われた事件である。
近年、ペットブームを反映してペットに関する様々なトラブルが発生しているが、民法七一八条ただし書きの「相当ノ注意」、損害賠償の範囲、特にペットの時価額と慰謝料が争点に...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、大審院の有罪判決に対する再審請求を棄却した珍しい決定である。請求人は、強盗殺人罪により大審院で無期懲役に処せられた元受刑者(甲)の妻であるが、再審請求の理由として、真犯人は第三者(乙)であって甲ではないことを認めるべき明確な証拠を新たに発見したと主張して...
《解 説》
一 本件は、高等学校用国語科教科書の出版等を業とする債務者が、業績悪化を理由に債権者らを解雇(いわゆる整理解雇)した事案につき、その解雇が解雇権の濫用に当たる無効なものかについて争われた事案である。本決定は、債権者らのうち一名についてはその解雇は解雇権濫用に当たり無効であるが、...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、いわゆる飲酒検問においての酒気帯び運転の罪による現行犯逮捕の適法性が争われた事案である。
原告は、深夜の路上で、警察官の飲酒検問による呼気検査を受けたところ、その呼気から基準値以上のアルコール数値(〇・二五以上)が出たが、原告は右数値を否認し、飲酒検...
《解 説》
一 本件は、デザイン書体の形態が周知な商品等表示といえるかが争われた事案である。いわゆるポップ用文字とは、小売量販店であるスーパーマーケット等の販売場で見られる商品の値札表示や新聞の折り込み広告において使用されるもので、販売促進効果の見地から、購入者に対する視覚的効果に訴えかけ...
《解 説》
一 Xは、一九七〇年代に爆発的に流行したスマイルマーク(判決末尾添付の別紙記載のマーク)を使用し、その創作者で新聞社のオーナーであると称するフランス人とライセンス契約を結んで、日本における代理店としてライセンス事業を行っており、日経新聞等にその旨の全面広告を掲載するなどしていた...
《解 説》
一 Xは、平成四年当時、タクシー運転手として稼働していた者であるが、胸内苦悶感、喉頭部違和感(通過障害)等があったため、同年九月、Yが開設・運営する「県立広島病院」で診察を受けたところ、食道アカラシア再発(術後再狭窄)により、外科的治療を行う必要があると診断された。
そして、...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、著名な競走馬を所有する原告らが、競走馬の馬名等を使用したゲームソフトを製作、販売した被告に対し、馬名等にいわゆる「パブリシティ権」があるとして、パブリシティ権侵害を理由に、右ゲームソフトの製作、販売等の差止めを求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償請...
《解 説》
一 訴外Aは、平成四年五月当時、会社組織で革製品の製造販売業等を営んでいたが、同月一七日、自宅を出たまま行方不明となり失踪したが、平成八年一月七日、静岡県裾野市の芦ノ湖スカイライン杓子峠展望台付近の山林内で乗用車とともに死体で発見され、死亡時期については平成四年五月ころと推定さ...
《解 説》
一 Y会社は、昭和二五年に設立された株式会社であり、その後順次新株を発行して昭和五七年七月当時発行済株式総数は額面普通株式一五万株(一株の株金一〇〇円、資本の額一五〇〇万円)であった(発行予定株式数六〇万株)。Y会社の取締役会は、平成元年八月に額面株式三万株、平成二年九月には更...
《解 説》
建物の防水工事等を業とする控訴人会社は、その代表者を被保険者、保険金の受取人を控訴人会社ほか被保険者の相続人とする損害保険契約を被控訴人らとの間に締結しており、この保険契約における保険約款では、保険会社である被控訴人らは、右の被保険者が「急激かつ偶然な外来の事故」によってその身...
《解 説》
一 本件は、昭和五六年五月に特別少年院を仮退院した被告人(昭和三五年八月生)が、少年院仲間Aと共謀して、あるいは単独で、前後一〇回にわたって窃盗を繰り返したほか、その間またはその後、同年一〇月から翌昭和五七年六月までの八か月間に、殺害された被害者の数が合計五名に及ぶ三件の殺人を...
《解 説》
一 事実の概要
本件は、直腸癌の除去手術を受けて入院治療中の患者が、病院給食を通じてサルモネラ菌に感染し(争いがない。)、その後死亡したことについて、(一)入院患者にサルモネラ菌を感染させた、(二)サルモネラ菌感染の発見が遅れ、(三)担当医師の当該患者に対するサルモネラ菌感染...