《解 説》
本件は、死者との交流のない相続人(子)が、死者の母の世話等のため、死者の預金を払い戻した死者の姉妹に対して預金の着服等の不法行為があるとして、損害賠償を請求する事案である。一審では、死者の預金は、同人の単独所有ではなく、母親などとの共有であるとか、死者から母親などへ贈与されたと...
《解 説》
本件は、電路支持材の形態につき、不正競争防止法二条一項一号の商品等表示該当性、周知性等が争われた事案である。
Xは、電路支持材であるパイラックを昭和30年代から製造販売し、昭和50年代には、同種電路支持材につき全国で90%近いシェアを占めていたところ、Yが、電路支持材の製造販...
《解 説》
一 Yは、東京都港区六本木所在の本件土地建物を所有しているものであるが、平成元年一二月、資産管理運用事業を目的とする訴外A会社との間で、Aに対して本件建物を転貸の承認をしたうえ賃貸する旨の賃貸借契約(「本件原賃貸借契約」という。)を締結した。
Xは、レストランの経営等を目的と...
《解 説》
一 本件は、両親を殺害して金品を強取するなどした強盗殺人、死体遺棄、有印私文書偽造、同行使、詐欺被告事件について、一審、控訴審で無期懲役の量刑判断が示されたのに対して、それを不服とした検察官が上告し、上告審の判断が示されたものである。
本件は次のとおりの事案である。すなわち、...
《解 説》
一 事案の概要
本件の事案の概要は、右判示事項との関係で要約すれば、以下のとおりである。
学校法人Y1は、私立大学である本件大学を設立してその経営に当たっていたところ、Y2は、昭和六一年一二月から平成六年六月まで、Y3は、平成六年七月から現在まで、本件大学の学長及び理事であ...
《解 説》
一 Xは、税理士であり、A石油会社の委任に基づき、同会社の顧問税理士として、平成八年五月、神田税務署に対し、同会社の平成七年一〇月から平成八年三月の事業年度につき、仕入れ税額控除に基づき、四三五万二〇二五円の還付を受けるものとする内容の消費税確定書を提出した。
しかし、Xは、...
《解 説》
一 ピースボートは、昭和五八年から毎年客船をチャーターしてアジア各国に船を出し、「過去の戦争を見つめ未来の平和をつくる」というスローガンの下に、現地の人々との交流を深める運動を進めている市民団体であり、原告らは、ピースボートの主催者団として、平成六年六月六日に東京晴海を出航し同...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Xは、Y1会社が管理する居室を賃借したが、その賃貸借契約書には「賃借人が賃借料の支払を七日以上怠ったときは、賃貸人は、直ちに賃貸物件の施錠をすることができる。」という特約条項(本件特約)の記載があった。その後、Xは、平成一〇年一〇月以...
《解 説》
一 本件は、京都市(Y)が建設中のごみ焼却施設(以下「本件施設」という。焼却能力一日あたり七〇〇トン。)について、建設予定地周辺の住民(Xら)が、その建設差止めの仮処分を求めた事案である。
本件事案の概略は次のとおりである。Yは、本件施設の建設につき地元住民との話合いを進めて...
《解 説》
本判決は、Xの飼い犬が、Yの飼い犬に咬まれて死亡した場合に請求できる犬の価格と慰謝料額等が争われた事件である。
近年、ペットブームを反映してペットに関する様々なトラブルが発生しているが、民法七一八条ただし書きの「相当ノ注意」、損害賠償の範囲、特にペットの時価額と慰謝料が争点に...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、大審院の有罪判決に対する再審請求を棄却した珍しい決定である。請求人は、強盗殺人罪により大審院で無期懲役に処せられた元受刑者(甲)の妻であるが、再審請求の理由として、真犯人は第三者(乙)であって甲ではないことを認めるべき明確な証拠を新たに発見したと主張して...
《解 説》
一 本件は、高等学校用国語科教科書の出版等を業とする債務者が、業績悪化を理由に債権者らを解雇(いわゆる整理解雇)した事案につき、その解雇が解雇権の濫用に当たる無効なものかについて争われた事案である。本決定は、債権者らのうち一名についてはその解雇は解雇権濫用に当たり無効であるが、...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、いわゆる飲酒検問においての酒気帯び運転の罪による現行犯逮捕の適法性が争われた事案である。
原告は、深夜の路上で、警察官の飲酒検問による呼気検査を受けたところ、その呼気から基準値以上のアルコール数値(〇・二五以上)が出たが、原告は右数値を否認し、飲酒検...
《解 説》
一 本件は、デザイン書体の形態が周知な商品等表示といえるかが争われた事案である。いわゆるポップ用文字とは、小売量販店であるスーパーマーケット等の販売場で見られる商品の値札表示や新聞の折り込み広告において使用されるもので、販売促進効果の見地から、購入者に対する視覚的効果に訴えかけ...
《解 説》
一 Xは、一九七〇年代に爆発的に流行したスマイルマーク(判決末尾添付の別紙記載のマーク)を使用し、その創作者で新聞社のオーナーであると称するフランス人とライセンス契約を結んで、日本における代理店としてライセンス事業を行っており、日経新聞等にその旨の全面広告を掲載するなどしていた...
《解 説》
一 Xは、平成四年当時、タクシー運転手として稼働していた者であるが、胸内苦悶感、喉頭部違和感(通過障害)等があったため、同年九月、Yが開設・運営する「県立広島病院」で診察を受けたところ、食道アカラシア再発(術後再狭窄)により、外科的治療を行う必要があると診断された。
そして、...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、著名な競走馬を所有する原告らが、競走馬の馬名等を使用したゲームソフトを製作、販売した被告に対し、馬名等にいわゆる「パブリシティ権」があるとして、パブリシティ権侵害を理由に、右ゲームソフトの製作、販売等の差止めを求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償請...