《解 説》
一 本件は、土地についての一定の利用権を有する者が大量の廃棄物を堆積させ、容易に原状回復をすることができないようにした行為が、土地所有者の占有を侵奪したものとして、不動産侵奪罪の成否が争われた事案である。本件土地の所有者であるA社は、資金繰りに窮した結果、振り出した小切手が不渡...
《解 説》
一 本件は、土木建築工事業者であるYから、ピアノ及びチェンバロの演奏練習場用などに使用する目的で、分譲マンションの一階にある本件建物を購入するとともに、同社との間で本件建物のうち、洋室二部屋部分について防音工事契約を締結したXらが、Yの施工した防音工事が契約に定められた防音水準...
《解 説》
一 本件当時の雇用保険法八五条柱書は、「被保険者、受給資格者等又は未支給の失業等給付の支給を請求する者その他の関係者が次の各号のいずれかに該当するときは、六箇月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」と規定し(その後、平成一〇年法律第一九号により、「教育訓練給付対象者」が追...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
北海道内において食品製造業等を営むX会社が、平成五年一月、取締役Aに対し、退職金三億円を支給し、全額について損金として算入して確定申告したところ、課税庁Yは、Xと類似すると判断した四法人を抽出して平均功績倍率法(当該法人と類似する法人...
《解 説》
一 平成九年から一〇年にかけ、検察官が二審の無期懲役の判断を不服として上告した事件が五件あり、最高裁は、平成一一年の一一、一二月に相次いでこれらについての判断を示した。結果として、最高裁は、四件につき二審判決の判断を維持して上告を棄却し、一件についてのみ量刑不当を理由に二審判決...
《解 説》
一 ①事件について
Xは、国有財産法一八条三項に基づく使用許可により、国有林野内において四件の山小屋を所有していた者であるが、そのうち三件はY1(本件当時、富山営林署長)所管の国有林野内に、一件はY2(本件当時、大町営林署長)所管の国有林野内にあった。
昭和五四年の林野庁長...
《解 説》
一 本案について
本件は、いわゆるウグイス嬢として当時現職の大阪府知事候補であった被告の選挙運動に従事していた原告が、①選挙カーの中で被告からわいせつ行為を受けた、②右わいせつ行為を大阪地方検察庁に告訴したことに対し、被告が事実無根であるとして原告を虚偽告訴罪で逆告訴する等し...
《解 説》
一1 本件は、滋賀県のI町の住民Xらが、「I町長Yが、Zから、そのI工場の下水道使用料及び下水道事業受益者負担金を町条例・規則に反して過少に賦課ないし徴収してきた。」と主張して、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、町に代位して、Zに対しては、条例及び規則に基づいた適正な下...
《解 説》
一 本件は、Y会社の株主の一人であるXが株主総会の決議の方法に違法があるとして、総会決議の取消しと取締役会決議の無効確認を求めた事件である(Xは総会決議の無効確認も求めていたが、一審で棄却され控訴をしなかったので右請求については触れない。)。
Y会社は、X(長男)とY会社代表...
《解 説》
一 本件は、XがYに対し、カテーテル用ガイドワイヤについての特許権の侵害を理由として、Y製品の製造・販売の差止め及び損害賠償等を求めた事案である。
本件では、Y製品が本件特許の「本体側内芯部と先端側内芯部のうちの少なくとも先端側内芯部を超弾性金属体によって形成する」という構成...
《解 説》
一 本件は、ホテル一階駐車場に、ナンバープレートの登録番号と車種が一致しない不審車両を発見した警察官が、運転者等関係者に職務質問を行うため張り込み中、被告人が同車運転席に乗り込んだことから、捜査用車両三台で一斉に近付き、二台が被告人車の左右を挟む形で停止し、もう一台が前方を塞ぐ...
《解 説》
一 X(原告・反訴被告・控訴人)は、大手企業に勤務する者であるが、訴外A会社の代表者から、A会社が個人の金融業者Y(被告・反訴原告・被控訴人)より一〇〇万円を借り入れるについて保証人となるよう依頼された。Xは、契約日に、Yと面談したうえ、表題に根保証契約書と記載され、極度額とし...
《解 説》
Xは、すいか等を被写体にした写真(X写真)を撮影し、右写真に係る著作権(翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権)を取得した。本件は、Y1がすいか等を被写体とした写真(Y写真)を撮影し、Y2が右写真をカタログに掲載した行為が、Xの右著作権及び著作者人格権を侵害すると主張して、Xが...
《解 説》
一 はじめに
本件の中心争点は、特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言(=相続させる遺言)がされた場合に、遺言執行者が遺言の執行として右不動産の登記手続に関与することができるか、という問題である。本判決は、相続人の一人又は第三者が右不動産につき不実の登記を経由するな...
《解 説》
一 昨年八月に犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、いわゆる通信傍受法が成立したが、それまで、捜査機関は、裁判所から検証許可状の発付を得て電話傍受(電話の通話内容を通話当事者双方の同意を得ずに傍受すること)を実施することがあった。本決定は、検証許可状による電話傍受について、最高...
《解 説》
一 本件は、無期懲役刑を科した(あるいはその旨の第一審判決を維持した)控訴審判決に対して検察官が量刑不当等を理由として上告した一連の事件のうちの一件である。
身の代金目的誘拐殺人事件に類似した実質を有する事案であり、多額の負債を抱えて鉄工所の経営に行き詰まった被告人(当時五一...