《解 説》
一 本件は、被告人が、同国人のA、Bらと共謀の上、営利の目的で覚せい剤、大麻等の規制薬物や規制薬物様の物の有償譲渡を業として行ったとして、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(以下「麻薬特例法」と...
《解 説》
一 原告は京阪電車の線路脇の二階家屋に居住しているが、その電車線路の向かい側に被告が一〇階建てのマンションを建築した。原告は通過する電車の騒音がこのマンションに反射することにより原告宅における騒音が受忍限度を超えて増加したと主張して損害賠償を求めた。第一審大津地裁は、原告方の線...
《解 説》
一 刑訴法三九条一項は、身体の拘束を受けている被告人又は被疑者と弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者との立会人なしの接見、書類の授受等を認めているが、他方で、同条三項本文は、検察官、検察事務官又は司法警察職員に、捜査のため必要があるときは、...
《解 説》
一 本件は、東京都の住民であるXら及び参加人らが、都知事であったYが、宗教的・服属的な儀式である即位の礼及び大嘗祭関連諸儀式に参列し拝礼等をしたこと及び都が天皇陛下御即位祝賀記念式典等の祝賀事業(以下「本件各祝賀事業」という。)を行ったことは、政教分離原則(憲法二〇条、八九条)...
《解 説》
一 本件は、製鉄会社の従業員の遺族である被控訴人(原審原告)が、労働基準法七九条、八〇条、労働者災害補償保険法一二条の八第二項に基づいて、遺族補償給付及び葬祭料の支給を求めたところ、不支給とされたため、その処分の取消しを求めた事案であり、原審は請求を認容したので、被告が控訴した...
《解 説》
一 訴外甲会社は、平成九年八月、訴外Sからその所有の本件車両(昭和六三年式ブルーバード)を下取車として無償譲渡を受けたが、甲会社の従業員Aは、同年九月、訴外乙会社を経営するBにその社用車として無償で貸与した。
ところで、Bは、甲会社に無断で、派遣従業員でアメリカ人の訴外C、D...
《解 説》
一 本件は、いわゆる「不動産小口化商品」の信託業務から派生した事件であり、ビルの所有者からその一部を賃借していたXが、賃貸借契約を解除し、退去したとして、右ビルにつき信託による譲渡を受けていたYに対し、ビル所有者に交付していた保証金は敷金であると主張して、その返還を求めたもので...
《解 説》
株主総会決議不存在確認の訴えは、株主による会社管理の方法の一つとして法が用意したものであるが、本判決は、右訴えの適法要件(確認の利益)について、踏み込んだ検討を行ったものである。
一 事案の概要
1 本件の事実関係について、本判決が摘示しているところに若干補って紹介すると、...
《解 説》
一 本件は、いわゆる茨城カントリークラブ事件の第一審判決である。
本件事案の概要は、おおよそ次のとおりである。
ゴルフ場経営会社(常陸観光開発)の親会社(ケン・インターナショナル)の代表取締役である水野健は、昭和六三年七月、募集総代理店三輝の代表取締役である丸西に対し、茨城...
《解 説》
一 本件は、原告が本訴として被告に賃貸している堅固建物所有目的の土地と非堅固建物所有目的の土地とについて、平成六年一二月一日以降、平成七年八月一日以降の各賃料の増額確認請求をしたのに対して、被告が本訴において、平成九年四月一日以降、平成一○年九月一日以降の各賃料額の確認を求める...
《解 説》
一 Xは、主に野性の海洋生物(イルカ・鯨)等を撮影する写真家であり、自然の中でのイルカの生態等を撮影した写真(本件写真)を収録したCD―ROMソフトを作品集(X写真集)として発売した。Y1は、CD―ROMソフトのタイトルや内容を紹介する月刊の情報誌(本件雑誌)を発行する会社であ...
《解 説》
一 事実の概要は、以下の通りである。
平成六年六月二五日、Aは交通事故によって負傷して、Y病院に搬送され、医師の治療を受けたが、実は腸管損傷を起こしており、翌二六日に開腹手術を受けたものの、その後容態が悪化して死亡した。Aの相続人であるXらが、不法行為ないし債務不履行を主張し...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。市の誘致に応じて新大学を設立する学校法人に対する補助金に関して、被告市長が、平成九年度ないし同一一年度まで毎年一四億円ずつ合計四二億円の補助金(以下「本件補助金」という)の交付決定をし、平成九年度分のうち九億三〇〇〇万円を交付した。なお...
《解 説》
一 Xの主張によると、X2会社(代表取締役X1)は、A社化粧品の割引販売を開始したところ、A社の取締役BはX2会社の化粧品販売を不能にするよう企て、刑事Y2にX1が金員喝取という虚偽の事実を申告し、Y2に対し、右事件を捜査し、X2会社のA社化粧品の仕入先名簿を押収するよう依頼し...
《解 説》
一 本件は、フィリピン人女性である被告人が、高齢の被害者に対し、路上で暴行を加えて転倒させ、財布を奪った上傷害を負わせたとして強盗致傷罪で起訴された事案である。被告人は、公判廷において、被害者とぶつかったことは認めつつも、一緒に歩いていた息子が自分に向かって石を投げつけてきたた...
《解 説》
一 本件は、被告が設置する精神薄弱者更生施設において園生Aが行方不明になった後、一二日目にして園舎ボイラー室の煙突内部において全身黒こげの遺体で発見された事件につき、Aの両親が原告となって、被告に対し煙突内部を速やかに捜索する義務を怠る等の園生委託契約上の債務不履行等に基づく損...