《解 説》
一 本件は、いわゆる「不動産小口化商品」の信託業務から派生した事件であり、ビルの所有者からその一部を賃借していたXが、賃貸借契約を解除し、退去したとして、右ビルにつき信託による譲渡を受けていたYに対し、ビル所有者に交付していた保証金は敷金であると主張して、その返還を求めたもので...
《解 説》
株主総会決議不存在確認の訴えは、株主による会社管理の方法の一つとして法が用意したものであるが、本判決は、右訴えの適法要件(確認の利益)について、踏み込んだ検討を行ったものである。
一 事案の概要
1 本件の事実関係について、本判決が摘示しているところに若干補って紹介すると、...
《解 説》
一 本件は、いわゆる茨城カントリークラブ事件の第一審判決である。
本件事案の概要は、おおよそ次のとおりである。
ゴルフ場経営会社(常陸観光開発)の親会社(ケン・インターナショナル)の代表取締役である水野健は、昭和六三年七月、募集総代理店三輝の代表取締役である丸西に対し、茨城...
《解 説》
一 本件は、原告が本訴として被告に賃貸している堅固建物所有目的の土地と非堅固建物所有目的の土地とについて、平成六年一二月一日以降、平成七年八月一日以降の各賃料の増額確認請求をしたのに対して、被告が本訴において、平成九年四月一日以降、平成一○年九月一日以降の各賃料額の確認を求める...
《解 説》
一 Xは、主に野性の海洋生物(イルカ・鯨)等を撮影する写真家であり、自然の中でのイルカの生態等を撮影した写真(本件写真)を収録したCD―ROMソフトを作品集(X写真集)として発売した。Y1は、CD―ROMソフトのタイトルや内容を紹介する月刊の情報誌(本件雑誌)を発行する会社であ...
《解 説》
一 事実の概要は、以下の通りである。
平成六年六月二五日、Aは交通事故によって負傷して、Y病院に搬送され、医師の治療を受けたが、実は腸管損傷を起こしており、翌二六日に開腹手術を受けたものの、その後容態が悪化して死亡した。Aの相続人であるXらが、不法行為ないし債務不履行を主張し...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。市の誘致に応じて新大学を設立する学校法人に対する補助金に関して、被告市長が、平成九年度ないし同一一年度まで毎年一四億円ずつ合計四二億円の補助金(以下「本件補助金」という)の交付決定をし、平成九年度分のうち九億三〇〇〇万円を交付した。なお...
《解 説》
一 Xの主張によると、X2会社(代表取締役X1)は、A社化粧品の割引販売を開始したところ、A社の取締役BはX2会社の化粧品販売を不能にするよう企て、刑事Y2にX1が金員喝取という虚偽の事実を申告し、Y2に対し、右事件を捜査し、X2会社のA社化粧品の仕入先名簿を押収するよう依頼し...
《解 説》
一 本件は、フィリピン人女性である被告人が、高齢の被害者に対し、路上で暴行を加えて転倒させ、財布を奪った上傷害を負わせたとして強盗致傷罪で起訴された事案である。被告人は、公判廷において、被害者とぶつかったことは認めつつも、一緒に歩いていた息子が自分に向かって石を投げつけてきたた...
《解 説》
一 本件は、被告が設置する精神薄弱者更生施設において園生Aが行方不明になった後、一二日目にして園舎ボイラー室の煙突内部において全身黒こげの遺体で発見された事件につき、Aの両親が原告となって、被告に対し煙突内部を速やかに捜索する義務を怠る等の園生委託契約上の債務不履行等に基づく損...
《解 説》
本件は、証券会社であるYとの間で、株式等の取引を行ったXが、右の取引には、Y担当者による適合性原則に違反した勧誘、リスクの大きい信用取引についての説明義務違反、利益保証ないし断定的判断の提供、無断売買、過当取引に当たるなどの違法があるとして、Yに対し、債務不履行又は不法行為によ...
《解 説》
本件は、オウム真理教の幹部であったMが、マスコミ関係者等がい集する教団総本部前で、腹部等を牛刀で刺されて殺害されたという殺人事件について、暴力団幹部である被告人が実行行為者に右殺害を指示したとして起訴された事案である。
実行行為者であるJは、犯行現場で現行犯逮捕され、当初は、...
《解 説》
一 本件は、大分県総務部職員らに対する出張旅費の支出につき、同県の住民X(原告)らが地方自治法二四二条の二第一項四号前段・後段に基づき提起した旅費相当額の損害賠償・不当利得返還請求訴訟において、大分県知事(申立人)が、被告であるY1(同県知事個人)、Y2(同県総務部長個人)及び...
《解 説》
一 本件は、従前より被告及び本件手形の裏書人であるBとの間に介在し相互に融通手形の振出、交換することを仲介していたAが、被告に対し、見せ手形として一三〇〇万円の手形を振り出してほしいと懇請したのに対し、被告は、Aの面前で本件手形の金額、振出日、支払期日欄にのみ記入し、振出人欄に...
《解 説》
一 本件は、産業廃棄物の最終処分場を譲り受けた株式会社Y(債務者)が、右処分場用地に接する私道(本件通路)を右処分場への産業廃棄物の搬入路等として利用する予定であったところ、右私道敷地を含む各土地の所有者、共有者であるX1ないしX8(債権者ら)が、右各土地の所有権又は共有持分権...
《解 説》
一 本件は、平成三年五月一四日、滋賀県甲賀郡信楽町の信楽高原鐵道線(以下「SKR線」という。)の単線の線路上において、西日本旅客鉄道株式会社線(以下「JR線」という。)から直通乗入れしていた被告JR西日本の臨時の下り快速列車と被告SKRの上り列車が正面衝突し、乗客・乗員合わせて...
《解 説》
一 本件は、複製権侵害等について判断された事案である。その主要な争点は、①相互に類似する作品について、著作権侵害の要件である「依拠」があったか否か、②他人の作品が、自己の作品の著作権侵害行為に当たると記者会見等において公表する行為が、他人の名誉を毀損する不法行為を構成するか否か...