《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
X(相手方・原審申立人)は、Aとの間に内縁関係が成立していたとして、Aが死亡したことにより内縁関係が解消した場合も、法律上の離婚に伴う財産分与の規定を類推適用すべきであると主張して、Aの相続人であるY1(抗告人・原審相手方)、Y2(抗...
《解 説》
一 事案の概要
1 抗告人は、新聞販売店を営む者であり、相手方である㈱朝日新聞社から新聞販売契約を解除する旨の意思表示を受け、右解除の無効を主張して、地方裁判所に対し、解除の意思表示の効力発生の停止及び新聞の供給継続を求める仮処分を申し立てた。抗告人の申立てを認容する仮処分決...
《解 説》
一 本件判決は、道路運送法九八条二号の自家用自動車有償運送の罰則のうち、懲役刑を含めて罰金二〇万円を超える重い部分について、法令の相互関係上、これを貨物軽自動車の有償運送に関して適用することは許されないと判示し、法定刑を文言のまま適用して処断した原判決を職権破棄し、自判で軽い刑...
《解 説》
一 本件は、Yが産業廃棄物最終処分場の設置、使用、操業を予定していたところ、その建設予定地の周辺の住民であるXらが、右処分場から排出される有害物質によって汚染された地下水及び地表からの流出水によってXらの使用している水道水、井戸水、農業用水が汚染されるおそれがあるとして、人格権...
《解 説》
本件は、非喫煙者であるXらが、喫煙者の吸ったたばこの煙によって眼や喉の痛み等の健康障害を生じ、また、これによって不快な状態にさせられるといった被害を受けたとして、個人の生命及び身体の安全、健康の保持等を中核とする人格権に基づいて、日本たばこ産業を相手として、主位的にたばこの製造...
《解 説》
一 X(視覚障害者)は、Y(世田谷区)が実施主体となっているホームヘルパー(家庭奉仕員・家事援助者)派遣事業に基づき家政婦(家事援助者)Aを派遣してもらい、Aに家事・介護等の日常生活の世話をしてもらっていた。ところが、Aは、二一七〇万円余の預貯金を着服し、Xは被害を被った。そこ...
《解 説》
本件は、サラ金会社Xと、同社の自動貸付機を利用して繰り返し、金員の借入を行うことができる旨の契約を締結し、自動貸付機利用のためのカードの発行を受けていたYが、刑事事件によって逮捕され、さらに刑務所に収容されている間に、Yのカードを持ち出し、Yからカード使用のための暗証番号を聞き...
《解 説》
本件は、長崎市民である原告が、被告長崎市長が長崎原爆資料館の展示の工事業者や監修者に対し損害賠償を求めないことは違法であるとして、いわゆる怠る事実の違法確認を求めた住民訴訟の事案である。
右資料館は長崎市が平成八年四月に開館したものであるが、開館の前後を通じ、さまざまな団体か...
《解 説》
本件温泉は、Aが昭和五八年に掘削許可(温泉法三条)を受けて土地を掘削し湧出させた温泉であるが、Xは、Aを債務者とする金銭消費貸借公正証書に基づき、本件温泉を目的とする温泉権(以下「本件温泉権」という。)に対する差押命令を申し立てた。執行裁判所は、昭和六二年三月三日、民事執行法一...
《解 説》
一 Xは、平成三年四月当時、緑川漁業協同組合長であるとともに、熊本県上益城郡甲佐町の町議会議員であったが、同年四月一日、同町に所在するXの所有する建物から火災が発生し、右建物と建物内の家財一式を焼失した。
そこで、Xは、右建物について住宅総合保険契約を締結していたY(保険会社...
《解 説》
一 本件①は、移送申立却下決定に対する抗告事件、②は、移送申立事件である。いずれも、信販会社の消費者に対する訴えであり、①は貸金返還請求、②は建物についての根抵当権設定仮登記に基づく根抵当権設定本登記請求であり、申立人(抗告人)は、被告である。
①の原決定は、東京簡易裁判所か...
《解 説》
一 本件は、いわゆるロス疑惑報道をめぐってXが多数提起した名誉毀損の損害賠償請求訴訟の一つであり、被告人の読書歴等に基づき犯行の動機を推論する内容の新聞記事について、名誉毀損の不法行為(責任)の成否が争われた事案であり、差戻後の控訴審判決である(Xは上告受理申立てをしたが、平成...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。A(会社)は、かねてY(農協)から営業資金の融資を受けていたが、Yから新規融資を受けるに際し追加担保の提供を求められたため、Aの経営者Bは妹のXに所有不動産の担保提供を依頼した。その際、Xは、Bから八〇〇万円の融資を受けるにつき担保提供して...
《解 説》
一 Xはゲーム製作会社であり、パソコン用シミュレーションゲーム「三國志Ⅲ」を製作し、そのプログラム(本件著作物)に関する著作者人格権及び著作財産権を有する。
Yは出版社であり、平成五年二月二五日以降、「三國志Ⅲ非公式ガイドブック」と題する書籍(Y書籍)を発売していた。このガイ...
《解 説》
一1 本件は、信販会社Aの被告に対する貸金債権を譲り受けた原告から被告に対する請求に対し、被告が消滅時効の抗弁を主張し、右抗弁が容れられて請求棄却となった事案である。
2 Aは、昭和五八年六月六日、被告に対して四三万円を貸し付けた。被告は、昭和五九年四月二七日、右借入債務につ...
《解 説》
一 本件は、被告人が、(一)インターネット上にホームページを開設して、男女の性器等を露骨に撮影したわいせつ画像の性器部分に、画像処理ソフト「エフ・エル・マスク」を使用すれば取り外しができるマスクを付したうえで、プロバイダーのサーバーコンピューターに送信し、さらに右ソフトの利用方...
《解 説》
本件財産区は、その所有する溜池を市に売却し、市の定めた財産区財産取扱要綱等(条例に根拠を置くものではない)に従って、売却代金(三〇億八六〇〇万円)の三〇パーセントを市の一般会計に繰り入れ、残りの七〇パーセント(二一億六〇二〇万円)を、地元で結成された財産区協議会(法令に根拠のな...
《解 説》
一 昭和六三年一〇月二五日、愛媛県松山市の会社社長宅で、紙箱に仕掛けられていたダイナマイトが爆発し、一人が死亡し、四人が重軽傷を負った。県警は、右事件の捜査を進め、X1は会社社長と会社の経営権をめぐってトラブルのあったことから、複数の容疑者のうちの一人とされていた。
X1は、...
《解 説》
一 本件は、原告において、道路運送車両法(以下「法」という。)一五条一項一号に基づく抹消登録申請を受理しないとの被告の行政処分について、法一五条一項一号の抹消登録申請には自動車登録令(以下「登録令」という。)二一条一項三号(当事者出頭主義)の規定は適用されないので法令違背がある...