《解 説》
Xの夫A(昭和二九年一二月生)は、B社でプレス工をしていたが、昭和六〇年一月一一日、自ら縊首して死亡した。Xは、Aの自殺が過労により反応性うつ病にかかったためであると主張し、労働基準監督署長に対し、労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づき、遺族補償給付を請求したが、Yは、Aの...
《解 説》
一 本件は、右大腿部の閉塞性動脈硬化症治療のため、Yが開設し経営する島根県立中央病院で腹部大動脈―両外腸骨動脈バイパス手術(以下「本件バイパス手術」という)を受けたXが、左足趾の血行不全を起こし、左下腿部の壊死切断を余儀なくされたため、本件バイパス手術を担当した医師に医療行為上...
《解 説》
一 本件は、X(原告)がY(被告)に対し、不動産の売買代金を請求したところ、Yが、本件不動産の売主はZであって、Xは仲介者に過ぎないとして、XY間の売買契約の成否を争った事案である。
二 本判決によれば、本件不動産の売買契約書上、売主として記載されているのはZであって、Xは仲...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
X(相手方・原審申立人)は、Aとの間に内縁関係が成立していたとして、Aが死亡したことにより内縁関係が解消した場合も、法律上の離婚に伴う財産分与の規定を類推適用すべきであると主張して、Aの相続人であるY1(抗告人・原審相手方)、Y2(抗...
《解 説》
一 事案の概要
1 抗告人は、新聞販売店を営む者であり、相手方である㈱朝日新聞社から新聞販売契約を解除する旨の意思表示を受け、右解除の無効を主張して、地方裁判所に対し、解除の意思表示の効力発生の停止及び新聞の供給継続を求める仮処分を申し立てた。抗告人の申立てを認容する仮処分決...
《解 説》
一 本件判決は、道路運送法九八条二号の自家用自動車有償運送の罰則のうち、懲役刑を含めて罰金二〇万円を超える重い部分について、法令の相互関係上、これを貨物軽自動車の有償運送に関して適用することは許されないと判示し、法定刑を文言のまま適用して処断した原判決を職権破棄し、自判で軽い刑...
《解 説》
一 本件は、Yが産業廃棄物最終処分場の設置、使用、操業を予定していたところ、その建設予定地の周辺の住民であるXらが、右処分場から排出される有害物質によって汚染された地下水及び地表からの流出水によってXらの使用している水道水、井戸水、農業用水が汚染されるおそれがあるとして、人格権...
《解 説》
本件は、非喫煙者であるXらが、喫煙者の吸ったたばこの煙によって眼や喉の痛み等の健康障害を生じ、また、これによって不快な状態にさせられるといった被害を受けたとして、個人の生命及び身体の安全、健康の保持等を中核とする人格権に基づいて、日本たばこ産業を相手として、主位的にたばこの製造...
《解 説》
一 X(視覚障害者)は、Y(世田谷区)が実施主体となっているホームヘルパー(家庭奉仕員・家事援助者)派遣事業に基づき家政婦(家事援助者)Aを派遣してもらい、Aに家事・介護等の日常生活の世話をしてもらっていた。ところが、Aは、二一七〇万円余の預貯金を着服し、Xは被害を被った。そこ...
《解 説》
本件は、サラ金会社Xと、同社の自動貸付機を利用して繰り返し、金員の借入を行うことができる旨の契約を締結し、自動貸付機利用のためのカードの発行を受けていたYが、刑事事件によって逮捕され、さらに刑務所に収容されている間に、Yのカードを持ち出し、Yからカード使用のための暗証番号を聞き...
《解 説》
本件は、長崎市民である原告が、被告長崎市長が長崎原爆資料館の展示の工事業者や監修者に対し損害賠償を求めないことは違法であるとして、いわゆる怠る事実の違法確認を求めた住民訴訟の事案である。
右資料館は長崎市が平成八年四月に開館したものであるが、開館の前後を通じ、さまざまな団体か...
《解 説》
本件温泉は、Aが昭和五八年に掘削許可(温泉法三条)を受けて土地を掘削し湧出させた温泉であるが、Xは、Aを債務者とする金銭消費貸借公正証書に基づき、本件温泉を目的とする温泉権(以下「本件温泉権」という。)に対する差押命令を申し立てた。執行裁判所は、昭和六二年三月三日、民事執行法一...
《解 説》
一 Xは、平成三年四月当時、緑川漁業協同組合長であるとともに、熊本県上益城郡甲佐町の町議会議員であったが、同年四月一日、同町に所在するXの所有する建物から火災が発生し、右建物と建物内の家財一式を焼失した。
そこで、Xは、右建物について住宅総合保険契約を締結していたY(保険会社...
《解 説》
一 本件①は、移送申立却下決定に対する抗告事件、②は、移送申立事件である。いずれも、信販会社の消費者に対する訴えであり、①は貸金返還請求、②は建物についての根抵当権設定仮登記に基づく根抵当権設定本登記請求であり、申立人(抗告人)は、被告である。
①の原決定は、東京簡易裁判所か...
《解 説》
一 本件は、いわゆるロス疑惑報道をめぐってXが多数提起した名誉毀損の損害賠償請求訴訟の一つであり、被告人の読書歴等に基づき犯行の動機を推論する内容の新聞記事について、名誉毀損の不法行為(責任)の成否が争われた事案であり、差戻後の控訴審判決である(Xは上告受理申立てをしたが、平成...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。A(会社)は、かねてY(農協)から営業資金の融資を受けていたが、Yから新規融資を受けるに際し追加担保の提供を求められたため、Aの経営者Bは妹のXに所有不動産の担保提供を依頼した。その際、Xは、Bから八〇〇万円の融資を受けるにつき担保提供して...
《解 説》
一 Xはゲーム製作会社であり、パソコン用シミュレーションゲーム「三國志Ⅲ」を製作し、そのプログラム(本件著作物)に関する著作者人格権及び著作財産権を有する。
Yは出版社であり、平成五年二月二五日以降、「三國志Ⅲ非公式ガイドブック」と題する書籍(Y書籍)を発売していた。このガイ...