《解 説》
一 本件判決は、いわゆる資生堂東京販売事件の最高裁判決であり、本号九八頁に掲載された花王化粧品販売事件の最高裁判決と同日に、第三小法廷によって言い渡されたものである。
本件の事案は次のとおりである。本件の原告は化粧品の小売業者、被告は資生堂化粧品の卸売販売を行っている会社であ...
《解 説》
一 本判決は、いわゆる花王化粧品販売事件の最高裁判決であり、本号九四頁に掲載された資生堂東京販売事件とほぼ同一の論点について争われ、同判決と同日に、第三小法廷によって言い渡されたものである。
本件の事案は次のとおりである。本件の原告は化粧品の小売業者、被告は花王化粧品の卸売販...
《解 説》
一 本件は、加須市の住民であるXらが、Yが市長として市立中学校の建設のために違法な公金の支出をし市に損害を与えたとして、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、市に代位して、Yに対し損害賠償を請求した住民訴訟である。Xらは、本訴の提起に先立ち、住民監査請求(第一回監査請求)を...
《解 説》
本件は、マンションの分譲会社である原告が管理組合である被告に対し、マンション内の管理事務室及び管理人室が専有部分であるとしてその所有権を有することの確認などを求めた事案である。
建物部分が専有部分として区分所有権の目的となるためには、当該建物部分が構造上の独立性と利用上の独立...
《解 説》
一 事案の概要は次のとおりである。愛知県民である原告は、愛知県公文書公開条例(以下「本件条例」という。)により、実施機関である被告愛知県知事に対し、総務部総務課のタクシー使用料に関する支出金調書、請求書及び請求書に添付された使用済みタクシーチケットの公開請求をした。愛知県総務部...
《解 説》
一 事案の概要
貸金業者であるXは、Yとの間でカードと現金自動入出金機を利用した限度額借入契約を締結した際、Yに対し金員を借入することと経済的に同価値であるカードを交付しているのであるから、その後Y以外の者が右カードによって金員を引き出したとしても、Yとの関係で消費貸借契約に...
《解 説》
一 事案の概要
Xらは、第二次大戦中、朝鮮半島から女子勤労挺身隊員の募集あるいは徴用により来日し、Yが経営していた富山市内の軍需工場で労働に従事したとして、Yに対し、未払賃金の支払を請求するとともに、右労働については、劣悪な環境下での強制労働であり、労働時間外も常に監視され、...
《解 説》
一 鉄道車両の車体改造等を目的とするX会社と業務用アミューズメント機器の製造販売を目的とするY会社とは、自動車教習所における運転免許取得のための教習用の動く映像を利用して道路上での運転を疑似体験させる疑似運転装置(運転シュミレータ)を共同開発することを合意し、共同開発に関する協...
《解 説》
一 ①、②両事件のいずれも、同一のパソコン通信会社Y(K県の第三セクター)を相手に、同社が会員のIDを抹消し、会員契約を解除したのは違法、無効であると主張して、会員の地位の確認及び不法行為による損害賠償を求めた事案である。①事件判決は、地位確認請求を認容し、慰藉料請求を棄却した...
《解 説》
一 Xは、昭和三六年一一月、訴外A男と婚姻し、昭和三七年四月、長男をもうけたが、Aは、職場の同僚であるYと知り合い、肉体関係を結ぶとともに、その後の昭和五四年四月、自宅を出てYと同棲し、昭和五七年二月には、子供ももうけている。
Xは、昭和六〇年、Aを相手方として、東京家裁に夫...
《解 説》
一 本件は、女性従業員Xが、勤務先のY1会社の男性上司Y2から懇親会の席上でキスをされたりスカートをめくられたりなどのわいせつ行為(セクハラ行為)をされたとして、Y1、Y2に対し、慰謝料等(二二〇万円)を請求すると共に、Y1に対し、Y1の責に帰すべき事由により出勤することができ...
《解 説》
本件は、本誌九三七号二一三頁に掲載された一審判決(東京地判平8・4・26)の控訴審判決である。事案は、陸軍歩兵連隊に所属して日中戦争に従軍し、南京攻略戦に参加したY1が自己の従軍日記『東日記』に基づくものとして執筆し、Y2が発行した「わが南京プラトーン」(書籍1)、Y3がY1の...
《解 説》
一 本件は、貸金業者である原告が、時効が完成した債権について、被告に対し、遅延損害金の請求は今日までに発生した分に制限する、被告に対して債権を有する同業他社には所在を黙っていてやるなどと言って、かつて厳しい取立てのために失職・家族離散の悲劇を経験した債務者の恐怖心を利用して、債...
《解 説》
一 静岡県浜松市所在の本件土地はYの所有であり、本件土地上には軽量鉄骨造スレート葦平屋建工場(従前建物)が建てられていたが、昭和五八年にXがYから従前建物を賃借する際、従前建物の外壁を取り払って屋根を葺き替え、土間の上にコンクリートを張り、従前建物の柱を二本ばかり残して軽量鉄骨...
《解 説》
一 本件は、貸金業者がいわゆる手形のジャンプに応じて資金を融通していたところ、事前に予約手形として数枚の手形を預かっておきながら右手形を顧客に無断で金融機関で割引していたのに、国がその規制、監督権限を行使しなかったことが違法であるとして、顧客が国に国家賠償請求した事案である。
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《解 説》
一 本件は、酒類を指定商品とする「ORGANIC」という商標(X商標)の商標権を有するXがYに対し、缶ビールの容器に「ORGANIC BEER HARVESTER」、「HARVESTER Organic Beer」なる文字を含む標章(Y標章)を付してビールを販売するなどのYの行...
《解 説》
一 本件は、原告が被告に対し、被告による磁気媒体リーダーの製造販売が原告の実用新案権の侵害に当たるとして、逸失利益相当の損害賠償を求めた事案である。
二 本判決は、実用新案登録請求の範囲の記載のうち、「上記磁気ヘッドが下降位置にあるときは上記磁気ヘッドの回動を規制……する回動...