《解 説》
一 本件は、Xが、Yらの所有名義となっている本件土地について、時効取得を原因とする所有権移転登記手続を求める事案であり、その概要は、次のようなものである。
本件土地は、Xが所有する土地(X土地)の南側に位置するが、両土地の間は道路で分断されている。本件土地の南側にはYが所有す...
《解 説》
一 本件は、破産会社の破産管財人である原告が、破産会社が被告に売り渡した商品の売買代金の支払を請求したのに対し、被告が、破産会社との間には売主が倒産した場合には売買契約を解除できる旨の特約があり、被告は右特約に基づいて売買契約を解除したので代金支払義務はない旨を主張した事案であ...
《解 説》
一 本判決は、刑訴法三二一条一項二号後段の書面として採用した検察官調書について、証拠能力は相反部分もしくは実質的に異なる部分及びこれと密接不可分な部分に限られるとした上、公判調書等の記載等からして、原判決は検察官調書の全部について証拠能力を認めて罪証に供したことは明らかであり、...
《解 説》
本件は、東京地裁に提起されたワラント取引集団訴訟のうち、本誌九五五号二九五頁で速報された東京地裁平成九年一一月一一日判決の控訴審判決である。
Xは、最終学歴中学校卒の主婦であり、過去約一〇年にわたり、Yや他の証券会社との間で株式の現物取引等を行ってきたが、平成元年三月、Yの営...
《解 説》
一 Xは、平成二年三月から、県立大学附属生物工学研究所の研究補助員として勤務していた既婚の女性であるところ、同研究所の教授であるYとともに、平成五年八月二八日から同年九月三日まで開催される国際植物科学会議に参加し、新横浜プリンスホテルに宿泊したが、同月三日の朝、Yが突然Xの部屋...
《解 説》
一 本件は、火災により工場等に損害が発生したとして、原告が、被告に対し、被告との間の工場等を保険の目的とする火災保険契約に基づいて保険金の請求をしたところ、被告が、本件火災は原告代表者らの関与による放火であるとして、故意免責条項の適用を主張した事案である。
二 本判決は、まず...
《解 説》
一 Yに対し診療報酬請求債権を有していたAが破産し、その破産管財人Xが破産宣告の前後を通じての同債権の回収に着手したところ、Yが債権者不確知を理由に同債権額を供託したことから、Xが供託の無効を理由にYに対して同額の支払を請求した事案である。本件では、破産宣告前に、同債権を目的と...
《解 説》
一 本件は、原告が、固定資産課税台帳に登録された原告所有地の平成九年度の価格につき、右価格は、本件土地が都市計画街路の予定地に定められ、かつ、建築基準法四二条一項五号に基づく道路位置の指定を受けているため、本件土地上に建物を建築することができないにもかかわらず、この点につき、十...
《解 説》
一 本件は、S市が招待客を招いて懇談会等を開催し、その飲代等を交際費から支出したところ、S市の住民であるXが、これらの支出に関する支出負担行為・支出命令・支出が違法であり、それによってS市が同額の損害を被ったなどと主張して、それに関与した職員に対し、S市に代位して、S市に損害を...
《解 説》
一 本件事案の概要を判旨との関係で簡略化すると次のとおりである。Xは不動産競売で鉄筋コンクリート造三階建のマンション一棟(以下「本件建物」という)を買い受けた者であるが、本件建物の一階車庫部分(約三〇平方メートル、以下「本件車庫部分」という)はYが占有していた。Xは、執行裁判所...
《解 説》
一 両事件は、不動産競売手続において、土地上の建物建築請負人が、建物建築代金債権等を被担保債権として、土地について商事留置権を主張できるか否かが問題となった事案である。
両事件の事案の概要は、ほぼ共通している。すなわち、XがZ所有の土地に抵当権設定登記をした後、ZとYとの間で...
《解 説》
一 被告人は、中国人であり、かつて就学生の在留資格で本邦に滞在していたことがあったが、窃盗未遂等の事件を起こして執行猶予付き懲役刑の判決を受け、中国へ自費出国した。そこで、被告人は、今回、中国残留日本人の二世を仮装して本邦に入国することを企て、首尾よく入国を果たした後、豊橋市役...
《解 説》
一 被控訴人(一審原告)は、プリンター等の製造業者であり、プリンター製品を米国に輸出していたが、米国のプリンター製造業者であるキューム社から、米国国際貿易委員会(ITC)に、キューム社の米国特許権(以下「本件米国特許権」という。)侵害を理由とする、プリンター製品の輸入差止めを求...
《解 説》
1 本件は、別紙差押債権目録記載の債権を差押転付債権とする債権差押転付命令を受けた債務者Yが、(1)同目録には差し押さえるべき債権として三個の債権(第三債務者Aに対する①損害賠償請求権と②受取物等(金銭)返還請求権及び第三債務者Bに対する③損害賠償請求権)が記載されているが、同...