《解 説》
一 Xは、個人で高利の金融業を営むほか、同種の事業を目的とする会社の代表取締役に就任しているものであるが、昭和五三年五月二三日、一五〇万円を利息二分の約定で貸渡し、昭和五三年三月二四日、Yを連帯債務者として、訴外Aに対し、九五〇万円を利息一分五厘の約定で貸渡したと主張し、Yに対...
《解 説》
一 破産宣告と同時に破産廃止の決定を受けたYは、その免責手続において破産裁判所から任意配当の指示を受けたが、Xを債権者とする債権差押命令により、Yの給与債権の一部が差し押さえられていたことから、これを取り消さなければ任意配当に支障が生ずるとして右差押命令の取消しを申し立てた。な...
《解 説》
本判決は、民法七七二条二項の要件を満たす子について同条以下所定の嫡出推定制度の適用が排除されるか否かが問題とされた事案において、これが排除されないと判断したものであり、近時活発化している同問題の議論に一石を投ずるであろうと見られる。
一1本件の事案の概要は、次のとおりである。...
《解 説》
一 本件は、戸籍上、甲の父とされているA男が死亡した後に、その遺産相続をめぐって紛争が生じ、養子である乙が、甲に対し、亡A男と甲との間の親子関係不存在確認の訴えを提起した事案である。本件の争点は、夫が出征から帰還後、妊娠週数二六週目に妻が出産した子について、民法七七二条の嫡出推...
《解 説》
一 Xは、千葉市中央区所在の店舗を賃借して飲食店を経営していたところ、平成八年二月一〇日、火災により右店舗は全焼したが、右店舗の所有者が店舗を再度建築して賃貸する意思がなく、他に代替店舗を探したが容易に見つけ出すことができず、平成九年三月二七日に至り、ようやく千葉県印旛郡富里町...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、関西国際空港株式会社(以下「関空会社」という)の代表取締役であった被告人が、石油卸商Aから、①関西国際空港の旅客ターミナルビル(以下「旅客ターミナルビル」という)の清掃業務についてAの知人B経営のX会社が下請業者として選定されるようにするなど好意ある取...
《解 説》
一 本件は、被告人が前方不注視で走行した過失により、被害者に気付くのが遅れ、急制動措置をとったため自車(自動二輪車)の安定を失い、車両もろとも路上に転倒、滑走し、自車を被害者に衝突させて路上に転倒させて傷害を負わせた旨の訴因(本位的訴因)で起訴がなされたところ、第一審において、...
《解 説》
一 Yは、香港に本社を置く会社であるXに対し、貸金請求の訴えを提起した。右訴状は、Xの日本における支店に送達され、Aが「事務員」として受領したが、そのまま放置したため裁判所によってYのXに対する欠席判決がされた。右判決正本は同所に送達され、Aは郵便局の窓口でXの代表者名でこれを...
《解 説》
一 本件は、平成七年七月二三日に施行された参議院議員選挙(以下「本件選挙」という。)について、東京都選挙区の選挙人らが、公職選挙法一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定(以下「本件定数配分規定」という。)は憲法一四条一項等に違反して無効であり、これに基づき...
《解 説》
一 賃貸借契約に伴って授受される敷金については、契約終了時に延滞賃料等を控除した残額を返還すべきものであるが、敷金のうち一定金額ないし一定割合を返還しない旨の特約がされることがある。この特約は、関西地方では「敷引き(しきびき)」と称されている。平成七年一月一七日に発生した阪神・...
《解 説》
一 本件は、死亡したAから公正証書遺言によりA所有の財産全部を遺贈されたとするAの母Bの包括受遺者となったXが、Aの妻であるYに対し、YがAの有していた貸付信託をAに無断で払い戻して着服したと主張して損害賠償を請求した事案であり、右公正証書遺言が無効か否かが争われたものである。...
《解 説》
本件は、いわゆる富山、長野連続女性誘拐殺人事件の上告審判決である。
昭和五五年二月下旬から三月上旬にかけて、富山市内で帰宅途中の女子高校生が身の代金目的で誘拐され、殺害されて死体を山中に遺棄された事件(富山事件)と、長野市内で帰宅途中のOLが同様に誘拐、殺害、死体を遺棄され、...
《解 説》
一 本件は、Y1(社会福祉法人)の設置経営する養護施設(入所児童数約四〇名、職員数約二〇名)に在園していたXが、職員Y3から暴行を受けたとして、Y1、その園長であるY2及びY3に対して、損害賠償請求をしたケースである。
Xの主張によると、平成五年三月二六日、栄養士として児童の...
《解 説》
一 本件の事案は、次のとおりである。大韓民国国籍を有し、我が国に永住することの許可を受けていたXは、昭和60年2月、外国人登録証明書を汚損したとして、京都市右京区役所を訪れ、引替交付申請手続をした。その際、外国人登録法一四条一項(昭和六二年法律第一〇二号による改正前のもの)に従...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
A村選挙管理委員会(村選管)は、平成七年三月三〇日、公選法二二条一項による選挙人名簿の定時登録を受けた者のうち、一五五名(A村の選挙人は全部で約一六〇〇名であるから、実にその一割近くに相当する)について、現在A村内に住所を有しないこと...
《解 説》
一 X(宗教法人、天台宗の被包括団体)の先代住職Aと妻Y1との間には娘Y2がいたが、男子はいなかった。Aの死後、BはY1と養子縁組をするとともに、Y2と婚姻の届出をして、Xの住職に就任した。BとY2とは長男をもうけたが、その後、裁判離婚をし、BはY1とも離縁した。Bは、Y1を債...