《解 説》
一 事案の概要
Aは、平成二年ころから、母親に包丁を突きつけ、女性宅に侵入し、数度にわたり入院措置を受け、被告病院への入院直前も、包丁を持ち、ガラス窓を割って隣家に侵入して入院措置を受け、同措置解除後、同七年八月一一日、精神分裂病の治療のため、引き続き被告病院に医療保護入院し...
《解 説》
一 Y組合は、三重県桑名郡長島町を地区としている水協法所定の漁業協同組合であり、定款において、議決権を有する正組合員の資格を「組合の地区内に住所を有し、かつ、漁業を営み若しくはこれに従事し又は河川において常例として水産動植物の採捕若しくは養殖をする日数が一年を通じて六〇日を超え...
《解 説》
Aは、精神分裂病で、平成五年二月二日、Yが経営する精神病院(Y病院)に入院したが、同月一五日に肺炎のためB病院に転送され、同月二一日にB病院で死亡した。
Aの相続人であるXらは、AはY病院内において他の入院患者等から暴行を受け、多発外傷に伴う肺挫傷から発症した肺炎及び多臓器不...
《解 説》
一 本件は、死刑確定者であるXが、Y(国)に対し、法務大臣が死刑判決確定の日から六か月以内にXに対する死刑執行を命じなかったことが刑訴法四七五条二項に違反すると主張して、国家賠償法一条に基づき、慰藉料の支払を求めた事案である。
二 刑訴法四七五条二項本文は、死刑執行の命令は、...
《解 説》
Xは、A社との間で、A社がB社から購入した印刷用設備の代金三〇〇万円をB社に立替払いし、A社はXに手数料を加算した三七八万〇三三三円を分割弁済する旨の契約を締結し、A社の社員であったYはA社のため連帯保証した。A社は分割金の支払いを怠り、期限の利益を失ったので、XはYに対し連帯...
《解 説》
一 産業廃棄物処理業者である原告は、県知事に対し、都市計画区域内にある土地を敷地として、特殊建築物たる一般産業廃棄物処理施設の用途に供する建築物を新築することにつき、建築基準法五一条ただし書にいう許可を求めたものであるが、県知事(Y)が不許可処分をしたため、これを不服として右不...
《解 説》
一 本件はいわゆる「うつぶせ寝」の事件である。本件を時系列に沿って述べると以下のとおりとなる。原告両名の子は、平成七年一月五日、被告病院にて出生した。本件乳児は普段は原告(母)とは別室の新生児室にいた。同月八日午前二時三〇分、被告病院の看護婦が搾乳二〇CC、ミルク五〇CCを本件...
《解 説》
一 不動産業界で「サブリース」といわれる業態がある。デベロッパーと呼ばれる転貸事業目的の不動産業者が土地所有者から建築工事を請け負ってビルを作らせ、ビルのオーナーとなった土地所有者からそのビルを一括して賃借(長期年数の賃貸借契約で賃料自働増額・最低賃料保証特約付きが多い)し、テ...
《解 説》
一 本件は、被相続人Sの相続人であるXらが同じくSの相続人であるYらに対し、平成七年一〇月二四日付けの大阪家庭裁判所の遺産分割審判(以下「本件審判」という。)の無効確認を求めた事案である。Xらの主張の骨子は、次のとおりである。
S(平成四年五月一七日死亡)が生前作成していた公...
《解 説》
一 Xは、医薬品の特許権を有し、その特許発明に属する医薬品を訴外製薬会社に供給し、訴外製薬会社が薬事法の製造承認を得て右医薬品を製造、販売している。Yは、医薬品の製造販売等の事業を行っている製薬業者であるが、本件特許権の存続期間中に右特許発明に属する医薬品を製造、使用して各種の...
建物賃料債権の差押えの効力が発生した後に建物を譲り受けた者が賃貸人の地位の移転に伴う賃料債権の取得を差押債権者に対抗することの可否(消極)
《解 説》
本件は天皇族Aの子X1及びX2が他の子Y1及び電鉄会社Y2に対し、AがY2から黙示的に贈与された土地建物をYらが共謀により処分したと主張して、不法行為に基づき、それぞれ内金として一億五五〇〇万円の損害賠償を求めた事案である。
背景事情は複雑であるが、要約するとおよそ次のとおり...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
1 Xと事実上の婚姻関係にあるAは、昭和五八年一一月、XとAとの間に出生したBの出生届を、父としての届出人資格に基づきY(区長)に対し提出した。Yは、東京法務局長の指示に基づき、Aに対し、その届出人資格を同居人とすることなどの補正を...
《解 説》
一 本件は、首都高速湾岸線東行道路東京港トンネル内において発生した自動車七台の追突事故に関するものであり、事故直後の状況は、先頭から四番目の大型貨物自動車(以下「甲車」という)に先頭から五番目の普通乗用車(以下「乙車」という)が押し込まれて、乙車の運転者が死亡し、先頭から六番目...
《解 説》
一 本件は、酒税法違反の刑事事件において酒類販売業免許制度を定めた酒税法九条一項及びその罰則規定である同法五六条一項一号の合憲性が争われた事案である。
同制度の合憲性に関する本判決以前の最高裁判例としては、「角田酒販」にかかる免許拒否処分取消請求事件である最三小判平4・12・...