《解 説》
一 本件控訴審の判決は、右事案につき、第一審の判決が医師の損害賠償義務を認めなかったのに対し、これを認めたものである。なお、第一審判決につき、西野喜一教授による評釈が本誌九五五号九七頁以下にある。
二 本件事案の概要は、次のとおりである(主として、第一審の判決による。)。
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《解 説》
Xは、昭和四九年五月以降、二二年間にわたりYの取締役を務め、平成八年五月末に退任した。Yにおいては、役員の退職慰労金を定めた規定があり、これによれば、退職慰労金は、退職時の月額報酬に在任年数と出勤率を乗じた額と定められていた。平成八年五月に開催されたYの株主総会において、Xを含...
《解 説》
一 本件は、相隣関係にある建物及びその敷地の所有者であるXとY1ないしY5とが共有する各自の所有地に囲まれた通路部分の土地(本判決にいう本件土地)につき、Xが当該土地の一部(本判決にいう本件係争土地)を自己の所有する自動車の駐車場所として使用する権利があると主張して、Xの権利を...
《解 説》
一 本件では、Xは貸金業者であるY会社に対する貸金の返還を求めたところ、Yらは、Y会社が以前にXから利息制限法の制限利率を超える利息を天引きされた上で借入れをし、名目上の元本額全額を支払っていたので、右過払にかかる超過利息分の返還請求権を自働債権として相殺する旨の抗弁を主張した...
《解 説》
X男(昭和四五年生)とA女(同四三年生)は平成四年八月婚姻届を提出し、同年五年二月両名間にY(本件未成年者)が生まれた。XとAは同年八月離婚し、その際、Yの親権者をAと定めた。Yは、Aの実家でAにより養育されたが、Aが平成六年九月急死した後、Aの母BがYを養育している。Xは家裁...
《解 説》
一 本件は、市民病院を管理するY(市長)が特定の業者に市民病院の床頭台(病室のベッド脇に置かれている小型の机様のもの。)、電源等の部分の使用を許可(地方自治法二三八条の四第四項の目的外使用許可である。)する処分(以下「本件処分」という。業者は、使用許可を受けた床頭台にプリペイド...
《解 説》
Y町は、昭和四七年三月、医師を誘致する目的で「国民健康保健診療施設の勤務医師に対する特別報償に関する条例」(本件条例。その内容の詳細は判決別紙参照)を制定し、通算して一五年以上勤務した医師に六〇〇平方メートル以内の住宅用地を与えることとした。X医師は右の条例を信頼してY町立国民...
《解 説》
一 X1は、昭和五〇年九月、手足の脱力感及びしびれ感があったため、徳島大学医学部付属病院に入院して精密検査を受けたところ、不治の筋萎縮性側索硬化症(以下「ALS」という。)と診断され、同年一一月、同病院を退院した。
そして、X1は、その後は民間の指圧やマッサージに通うなどして...
《解 説》
一 Xは、米国カリフォルニア州に居住するアメリカ合衆国市民であり、Yは、日本において米国製自動車輸入販売業を営む日本人である。Xは、Yに対し、カリフォルニア州第一審裁判所ロサンゼルス郡裁判所において、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起し、Xが所有し第三者に寄託していた自動車...
《解 説》
原告の姉Aは、平成五年当時、被告Y1(国)に対して定額郵便貯金等を有していたが、同年八月死亡し、原告の甥である被告Y2は、Aから預貯金全部の遺贈を受けたとしてA名義の定額郵便貯金全額の払戻を受けた。原告は、被告Y2がAから預貯金の遺贈を受けた事実を争い、法定相続分の割合に従って...
《解 説》
一 Xは、昭和二〇年一〇月、播磨造船所に入社し、昭和四〇年から昭和六一年までの間、主としてテレックス業務に従事していたが、昭和六一年にいわゆる頚肩腕症候群に罹患したため、Yに対し、労災保険法に基づき療養補償給付を請求したところ、業務外の疾病であるとして不支給決定処分がなされたた...
《解 説》
一 原告ら(上告人ら)の父(被相続人)が死亡して相続が開始したが、原告らは限定承認をした。原告らが死因贈与を受けた本件土地(登記簿上は持分各二分の一)について、被告(被上告人)が、原告らの被相続人との間の執行証書に基づき、原告らへの承継執行文(相続財産の限度における執行を許すも...
《解 説》
一 本判決が前提とした原審確定事実の概要は、本判決の二項にまとめられているとおりである。これを単純化した図面で示すと、A(玉井)が宅地造成をしたときの区画は図面(一)のとおりであり、A↓X(被上告人)の三六〇四番八の土地の売買及びA↓B(新垣)↓Y(上告人)の三六〇四番五の土地...
《解 説》
本件は、けん銃と実包の譲受けを幇助したとして起訴された銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法という。)違反幇助の事案である。事実関係は、本決定に指摘されているように、被告人が、所属する暴力団の若頭からけん銃等の入手方を依頼されたため、知り合いの暴力団組員にその当てについて打診した...
《解 説》
Xらの子で小学校一年生のAは、H城内堀の取水施設の取水口付近で流れ着いたボールを取ろうとして足を滑らし、転落して溺死した。右取水施設は、一級河川の水質改善の目的で国Yが管理していたものであった。Xらは、本件河川の堤防に遊歩道があり、遊歩道から本件取水口付近まで斜階段があり、子供...
《解 説》
一 A(大正一〇年生まれの男性)は、肺気腫、結核、一二指腸ポリープ、肺ガン等により、被告病院への入院を繰り返していたが、昭和六二年九月の左上葉肺切除手術後は慢性呼吸機能障害の状態に陥り、同年一二月から昭和六三年五月まで、同年六月から七月一九日までの間、肺気腫等により被告病院に入...
《解 説》
酒類販売小売業の免許を有するO社は酒税法一六条に基づき販売場を同一市内の他の場所に移転することの許可をY1税務署長に申請し、その許可を得た。移転場所から約一〇〇メートルないし四五〇メートル以内において酒類販売小売業を営んでいるXら四名はY1に対し右移転許可処分の取消しを求め、併...