《解 説》
一 第一審判決が認定した事実の要旨は、平成八年三月二八日午前七時過ぎころ、綾瀬市内の駐車場に駐車中の自動車からナンバープレート(前後の二枚)をWが窃取した際、これと共謀した、というものであった。その主たる証拠は、本件控訴審判決によると、被告人とWの当日未明からの行動と被告人の起...
《解 説》
1 事案の概要
原告及び被告らは、区分所有建物の区分所有者である。
右建物の管理組合は、当時その地域一帯で計画されていた再開発事業に参加するべく、臨時総会において、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数決により、建物の建替え決議を行った。また、管理組合は、建替えが開発事...
《解 説》
X(農業協同組合、原告、被控訴人)とY(組合員、被告、控訴人)は、昭和五七年に金銭消費貸借契約(以下「当初契約」という。)を締結し、その後計七回の書き換えを経て、平成四年に右貸金について準消費貸借契約を締結した。XがYに準消費貸借契約に基づいて金銭の支払いを請求したのに対し、Y...
《解 説》
Xは、平成二年八月一〇日、Aに五〇〇〇万円を貸し付け、Aの所有する本件土地に極度額を七五〇〇万円とする根抵当権設定契約を締結し、Aの指名した司法書士Yに右登記手続を委任した。本件土地は登記簿上の地目が宅地とされているが、現況は道路であり、YはXが貸し付けた際、本件土地が固定資産...
《解 説》
一 本件は、山口組系中野会S会の若頭の地位にあった被告人の居室に対する別件の捜索過程(被告人はこれに立ち会っていなかった。)で、けん銃一丁及び適合実包一二発(以下「本件けん銃等」という。)が発見されたことから、被告人が本件けん銃等の保管(銃砲刀剣類所持等取締法違反)の罪により起...
《解 説》
一 本件は、いわゆるカラオケボックスにおいて、顧客が自らカラオケ装置を操作して音楽著作物たる伴奏音楽を再生し、自ら歌唱することが、カラオケボックスの経営者が自ら右音楽著作物を公に演奏したことに該当し(著作権法二二条)、右音楽著作物の著作権者の許諾を得ない限り、カラオケボックスの...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和四六年八月当時、千葉県富津市内に農地を所有していたが、同月八日に死亡したので、その孫であるXら五名が右農地を共同相続したので、平成三年三月、相続を原因とする所有権移転登記を申請し、共有の登記がなされた。
ところが、共有者のB、Cは、平成六年一一月、その相続持...
《解 説》
一 原告は、足場板用枠について意匠権を有している。具体的には、建設工事現場において、H形綱を断面がH形となる状態(腹起こし)で用いた梁の上に、足場板を支持する足場板用枠が対象となっている。これは、作業者の通行の安全のために、安全柵をつけるなどして使用するものである。
本件は、...
《解 説》
六人の子を有するA女は昭和五四年六月ころ、遺言書を作成しようと考え、B弁護士に依頼して自筆証書遺言の原稿の作成を依頼し、同弁護士から訂正の方法、封書の書き方、封印の仕方の指導を受け、二男Y2に作成した遺言書の保管を委ねた。Aは、平成三年一一月死亡した。Y2は、そのころ兄弟らに遺...
《解 説》
本件は、被告人らがマスク(モザイク)の付け外し機能を有する画像処理ソフトを使用して、わいせつ画像の性器部分にマスクを付した上、右わいせつ画像をインターネット接続業者のサーバーコンピュータの記憶装置(ディスクアレイ)内に記憶・蔵置させ、インターネット利用者が右データを受信し、右画...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、平成八年一〇月二〇日に執行された衆議院議員総選挙のうち小選挙区選出議員選挙(以下「本件選挙」という。)の東京都第二〇区における選挙人五名が、公職選挙法(以下「公選法」という。)中の衆議院議員選挙の選挙運動について規制する規定の一部が憲法に違反しているこ...
《解 説》
一 本件は、原告がその所有する神戸市須磨区所在の建物(以下「本件建物」という。)に火災保険をかけていたところ、平成七年一月一七日午前五時四六分に阪神大震災が発生し、同日午前九時ころに出火した火災(以下「本件火災」という。)の延焼により同日午後一〇時ころ本件建物が全焼したとして、...
《解 説》
一 Yの妻(甲)は、Yに無断で、乙をYであるかのように装わせて(つまり、乙を替え玉にして)Xから金銭を借り受けた。そして、その金銭の一部で、本件と同様に甲が乙を替え玉にしてY名義でAから借り受けた債務と、YのBに対する債務とを弁済した。
Xは、主位的に不法行為に基づく損害賠償...
《解 説》
一 本件は、預託金会員制ゴルフクラブにおいて、クラブ入会契約に際して会員が預託した預託金につき、その相続人が、当該会員が死亡して会則に定める資格喪失事由が生じたとして、預託金の返還を請求した事案である。本件の争点は、ゴルフクラブの会則上、預託金返還の始期が到来したと解することが...
《解 説》
本件訴訟は、農業協同組合の監事が組合を代表して理事に対し貸付け管理に落ち度があったなどとして損害の賠償を求めて提起したものであり、審理においては、監事の訴訟代表権の在り方が問題とされた。本判決は、問題とされた点に関して初判断を示したものであり、商法の関係条文の解釈等にも影響を及...
《解 説》
一 本件は、生命保険会社Yの営業担当社員Aに架空の保険契約の保険料などの名目で金員を騙し取られたとして、顧客であるXら三名が、生命保険会社Yに対し、使用者責任の不法行為に基づいて損害賠償を請求した事件である(なお、原告らは、右営業担当社員Aに対しても不法行為に基づいて損害賠償を...
《解 説》
本件は、別件訴訟において原告Aの代理人となった弁護士Xから同訴訟の被告Bの代理人となったYに対し、Yの別件訴訟における準備書面の記載及び証言内容がXの名誉を毀損するものであるとして、XからYに対し、慰謝料一〇〇〇万円の支払を求めて提訴した事件の控訴審である(第一審判決は、Xの請...
《解 説》
一 Xは船員を組合員とする労働組合であるが、組合の余裕資金の一部について、昭和六三年七月、投資顧問業者であるY1との間で投資一任契約を締結し、その運用を一任した。Y1における運用担当者はY2であった。
この投資一任契約は、平成五年六月末に終了するまで毎年更新されていたが、その...