《解 説》
一 本件は、抵当不動産である建物の共有持分を取得したXが、当該持分についてした滌除(民法三七八条)によりYの本件根抵当権が消滅したと主張し、Yに対し、根抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた事案である。
事実関係を本判決の理解に必要な範囲で簡略化して紹介すると、(1) 本件建物...
《解 説》
一 AはBに対して譲渡禁止特約付きの売掛代金債権を有していたところ、AからBに対して、本件売掛代金をXに譲渡した旨の、内容証明郵便による確定日付のある債権譲渡通知がされた。Xは、AとBの取引の実情を知る立場にあり、当時、本件売掛代金債権について譲渡禁止特約が付されていたことを知...
《解 説》
本件は、東京銀座の中心部(みゆき通りと西銀座通りの角地)にある賃貸店舗等について、増額賃料の確認等を求める事件である。従前の建物の賃料が近隣の建物賃料に比較して低額であったのを、家主が改訂しようとしたことと、最近における固定資産税の増徴により、建物敷地の地代の額が急激に上昇し、...
《解 説》
一 本件は、社会保険庁において氏名競争入札の方法により発注する国民年金、厚生年金等の各種通知等に係る貼付用シール(本件シール)の入札に関して、遅くとも平成元年一一月一一日以前から平成四年一一月一一日までの間、指名業者である原告ら及び株式会社日立情報システムズ(日立情報システムズ...
《解 説》
一 事案の概要
本件で認定された事実は次のとおりである。東京都港区六本木に約四〇坪の土地を有する原告の父が老齢・病弱で倒れ、相続が現実的な極近い将来の出来事と予測された。原告は年収約四〇〇万円のため右土地上に二階建共同住宅を建てたが、二階を賃貸して住宅ローンを返済している。原...
《解 説》
一 本件は、賃料自動増額条項の定めがあるオフィスビルの転貸借特約付き賃貸借契約(サブリース契約)について、賃料自動増額条項の効力、賃料の減額請求権の有無等が問題となった事案である。
不動産の賃貸等を業とする会社であるXは、土地を賃借していたところ、土地の所有者であるA、不動産...
《解 説》
一 Xは、貸金業者Y(貸金業法二条二項)に利息制限法の制限を超える利息損害金を支払うことを合意した上、長期分割の約定で一〇〇万円を借り受けた(右貸金に関して作成された執行証書には、同法所定の制限利率に基づく利息・損害金を支払うべき旨が記載されたが、同公正証書作成嘱託用に当事者が...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年八月に来日した中国人であるが、平成六年四月、交通量の多い東京都内の幹線道路を赤信号で停車中の自動車の間を縫って横断中、自動二輪車に乗って進行してきたYに衝突され、頭蓋骨骨折等の傷害を負ったため、同月一六日から同年六月二二日まで、及び同年八月二二日から同年九月...
《解 説》
Xは明治三九年三月生まれの女性であり、平成四年五月家庭裁判所により禁治産宣告を受けた者である。これより先、Xの夫Aは昭和五五年一二月死亡し、相続人間の遺産分割協議によりXが本件土地(一)を、二男Y1が本件土地(二)を各取得し、両地上に立っている本件建物をXとY1が共有持分二分の...
《解 説》
本件は、七二歳の老齢の被告人が、夕方にクリーニング店の店番をしていた被害者らに対し、ペティナイフを突きつけて脅迫し、その反抗を抑圧した上、現金五万円を強取し、その際、右ナイフのほか文化包丁をも携帯していたという事案である。弁護人は、被告人は犯行当時老齢の上、歯が抜けて迫力を欠い...
《解 説》
一 本件は、生コンクリートの製造、販売を主たる業とする有限会社寅倉と同社に対してセメント供給を継続していた株式会社丸住が、セメントの製造元である大手セメント会社がなしたセメント出荷停止の措置が不当であるとして、セメント出荷の再開を求めている事案である。
本件のセメント供給契約...
《解 説》
一 Y(金融会社)はA(不動産販売等を業とする株式会社)に対し、平成二年一一月二日、土地(以下「本件土地」という。)購入資金として一億円を貸し付け、右貸金担保のために、本件土地に抵当権を設定し、同日設定登記を経由した。AとX(建築請負等を業とする株式会社)は、同年一二月一七日、...
《解 説》
一 A(不動産販売等を業とする株式会社)とX(建築請負等を業とする株式会社)は、平成三年二月二八日、Aを注文者、Xを請負人として、一区画を構成するA所有の七筆の土地(以下「本件土地」という。なお、記録によれば本件土地のうち二筆については一旦Bに所有権移転登記が経由され、その後右...
《解 説》
一 本件は、ワラント取引により損失を被ったXが、証券会社Yに対し、Yの従業員が違法な勧誘をおこなったとして使用者責任に基づく損害賠償を求めたのに対し、一審(山口地判平8・3・26)がYの責任を認め七割の過失相殺を行ったのに対し、控訴審が説明義務の範囲を拡張するとともに、過失相殺...
《解 説》
一 被控訴人(一審原告)は水面貯木場における水面倉庫業(寄託原木の荷捌き、保管及び出庫)を営む株式会社であり、控訴人(一審被告)は港湾運送事業法(以下法という)三〇条一項、同法施行令五条一項一号に基づき運輸大臣の委任を受けて港湾運送事業の適性確保のため、この事業に関する免許権限...
《解 説》
原告は、ニット製品の製造、販売等を業とする株式会社であるが、平成四年三月から平成六年一月にかけて、被告との間で、工場及び工場内の動産等について火災保険を締結していたところ、平成六年七月二八日に工場内から出火した火災により工場及び工場内の動産が全焼したため、被告に対し、保険金請求...
《解 説》
一 本件は、海上でサーフボードに座って波待ちをしていたXが、左斜め前方からきたYのウインドサーフィンと衝突し、左側上顎骨折、左腿部裂傷等の傷害を負ったとして、Yに対し、不法行為に基づき損害賠償を請求した事案である。
二 本件においては、過失相殺の適否及び過失割合が主たる争点と...
《解 説》
一 本件事案の概要については、本判決が理由の第一項で比較的詳しくまとめている。要するに、相手方が鉄パイプで攻撃してきたのに対し、被告人が反撃して相手方を負傷させたというものである。被告人の暴行は、もみ合いの最中に相手方の鉄パイプを取り上げこれで同人を一回殴打したことと、勢い余っ...