《解 説》
一 Xは、平成三年一一月ころから右手のだるさを感じるようになり、平成四年になっても症状が改善しなかったため、同年一月に医療法人であるY1が経営するA病院を訪れ、診察した医師Y2に対し、右手が動かないなどの症状を訴えた。Y2は、Xの症状を「右手正中神経麻痺」と診断し、同年四月上旬...
《解 説》
本件は、覚せい剤自己使用事案における尿の任意提出、押収手続の適法性及び尿についての鑑定書の証拠能力が問題とされた事例であるが、その前提として尿の任意提出等に先行する所持品検査等の手続の適法性及びその影響等が問題とされた。
一 事案の概要は、覚せい剤事犯の多発地域を警ら中の警察...
《解 説》
一 本判決の論点は多岐にわたるが、本コメントにおいては、判示事項として掲げた三点について説明することとし、そのほかの論点については、判決理由を参照されたい。
二 Y2(愛知県)は、都市計画事業に係る流域下水道の終末処理場の事業用地とするため、Xらの所有地について土地収用裁決の...
《解 説》
本件建物を所有しているA社は、平成五年一二月一六日破産宣告を受け、Xが破産管財人に任命された。これに先立ちAは、同年九月三〇日、Yとの間でYが本件建物について商事留置権を有することを確認し、右留置権の存続する間、Yが本件建物を第三者に賃貸することを承諾する旨合意し、Yはこれに基...
《解 説》
一 訴外AとYは、平成六年一二月二五日、狩猟グループの友人八名とともに、兵庫県出石郡但東町の山林に狩猟に出かけ、「河本集落」で打合せをした後、それぞれ山道を登り、定められた「待ち場」に到着して、猟犬に追い立てられて出てくる獲物を待ち受けていた。
Yは、約三〇分前、「待ち場」に...
《解 説》
一 本件は、京都保健会中央病院事件と呼ばれる事件の控訴審判決で、一審判決は京都地判平7・2・3本誌八八四号一四五頁である。事案の概要は以下の通りである。
患者Aが、生活保護法により医療扶助として、一審原告Xが運営する病院(同法四九条による指定医療機関である。)で急性腎不全や劇...
《解 説》
一 市立中学校二学年在籍中の女子生徒が二学期の初日に自殺した。その原因について、他の生徒によるいじめであるとの疑いを抱いた両親は学校側に調査を求めたが、学校側はいじめとは断定できないとし、更なる事実解明を求める両親と学校側との間に見解の対立が生じていた。本件は、右生徒の父親Xが...
《解 説》
一 訴外Aは、Y1会社に雇用されて、設計計算等の業務に従事していた者であるが、平成五年三月一〇日、肺癌に伴う諸症状により死亡した。
Y1会社は、平成元年一〇月、Y2保険会社との間で、Aを被保険者として、入院給付金特約付定期生命保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結して...
《解 説》
一 本件は、強盗強姦、強盗殺人等を犯した被告人に対し死刑を言渡した第一審判決を破棄し、無期懲役刑を言渡した事例である。
被告人が犯した犯罪行為の内容は、白昼顔見知りの主婦宅に上がり込み、同女から現金約三万一〇〇〇円を強取するとともに同女を姦淫し、その口封じに、確定的殺意のもと...
《解 説》
一 本件は、東京都知事の交際費に係る公文書の開示の要否をめぐって争われた本誌七九八号二七七頁掲載の東京地裁判決に対する控訴審判決であるが、東京都内に事務所を置く権利能力のない社団であるXが、東京都公文書の開示等に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき、昭和六三年四月から...
《解 説》
マンションの建築等を業とするAは、昭和六三年ころから都内の本件土地にマンションを建築することを計画し、平成二年には地権者全員との間で等価交換方式による建築を合意し、基本設計を終えた。Aは、バブル崩壊後、自ら等価交換契約を締結することを断念し、資金力のあるディヴェロッパーと共同し...
《解 説》
一 本件は、原告が有する大阪市所在の宅地の共有持分についての平成六年度(地方税法三四一条六号に定める基準年度)の固定資産課税台帳に登録された価格に関し、原告が大阪市固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたが、同委員会がこれを棄却する旨の決定をしたので、その取消しを求めた事案であ...
《解 説》
一 本件はいずれも競売建物の共有持分を買い受けた者が、単独で、競売建物を占有している者に対し、不動産引渡命令を申し立てることができるかどうかが問題となった事案である。
①事件の事案の概要は次のとおりである。建物の共有者(強制競売事件の債務者の地位を兼ねる)であるA1ないしA4...
《解 説》
一 Y1(日本放送協会)は、実在の人物である川上貞奴を重要な主役の一人とする大河ドラマ「春の波濤」を製作し、昭和六〇年一月から一二月まで放送した。また、Y2(日本放送出版協会)は、同年一月に、右ドラマを紹介した書籍を出版した。
他方、Xは、川上貞奴の伝記的物語である「女優貞奴...
《解 説》
一 本件は、被疑者(不詳)が、過日、電話を利用して客から注文を受け、客に対して待ち合わせ場所を指定するなどした上、指定場所で現金と引換えに覚せい剤を交付するという方法で覚せい剤を密売したという被疑事実について、捜査機関が簡裁裁判官から検証許可状の発付を受け、右許可状に基づいて電...
《解 説》
事案の概要
本件は原告と被告との間における自動継続特約(満期日までに預金者から特に申し出がない限り自動的に従前と同一の期間の定期預金として継続する、)付の定期預金契約及び自動継続特約付でない定期預金契約(以下双方まとめて「本件定期預金」という。)が存在していたところ、平成二年...
《解 説》
YはXから三階建て居宅兼店舗の一部を賃借していたが、平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災により右建物が倒壊した。右建物の所在地は、同年三月、震災復興土地区画整理事業に関する都市計画事業の施工区域に指定された。Yは同年四月、Xに対し、罹災都市借地借家臨時処理法二条に基づき借地権...
《解 説》
一 本件事案は、ゴルフ場建設中に倒産したゴルフ場運営会社について、新規融資によりゴルフ場を完成させて、新たにゴルフ会員権を販売し、その販売益によってゴルフ場建設等の開業に要した費用及び和議債権の弁済をするという再建計画を中核とする和議を認可したものである。和議不認可事由としては...