《解 説》
一 本件事案は以下のようなものである。
広島県に住むAがYの広島支社との間で生命保険契約を結んだが、その後一年以内に自宅のアパート屋上からの転落事故により死亡したので、死亡保険金受取人である娘のX(広島県在住)がYに対し保険金の支払を求めて広島地方裁判所に訴を提起した。これに...
《解 説》
一 本件は、オウム真理教(以下、「教団」という。)の内部組織である治療省の信者らが中心となって、平成六年一二月から平成七年三月二二日までの間、A(元自衛隊員、男性、当時二五歳)及びB(ピアニスト、女性、当時二三歳)(以下、「被害者ら」という。)を、第六サティアンや第一〇サティア...
《解 説》
一 X(Y2の信徒)らは、Y2(寺院)との間で納骨ロッカーにつき永代使用権設定契約を締結し、対価を払って遺骨を納骨したが、Y2は墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)一〇条に基づく県知事の許可を得ていなかった。そこで、Xらは、Y2に対して、詐欺又は過失による契約締結(予備的)による...
《解 説》
一 本件は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)七三条の二第一項一号のいわゆる不法就労助長罪の罪数関係が問題となった事案である。被告人は、スナックの店長をしていた際、数か月の間に不法残留者である五名のタイ人女性を同店でホステス兼売春婦として稼働させ、もって事業活動に...
《解 説》
一 X1は、日本国内におけるホテル経営を業とする株式会社であるが、主要取引先銀行であるYの勧誘により、ロサンゼルス近郊所在の本件ホテルを、Yからの融資金で買収することを企画した。そして、Yとの間で、YはX1のため本件ホテル買収に必要なコンサルティングを行い、買収契約成立時にはX...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、地方公共団体が、誘致した企業を優遇するために行った各種の財政的措置の違法性が争われた住民訴訟である。事案の詳細は、判決文を参照していただきたいが、概要を紹介すると、甲製紙会社の工場の誘致をめぐり、甲社、A県知事及びA市長との間で、甲社に供給する工業用水...
《解 説》
本件は、いわゆる鹿屋夫婦殺人事件について最高裁の破棄差戻判決(最一小判昭57・1・28刑集三六巻一号六七頁、本誌四六〇号六八頁)に従い、差戻後の控訴審において殺人の公訴事実につき無罪判決(福岡高判昭61・4・28刑月一八巻四号二九四頁、本誌六一〇号二七頁)が言い渡され、同判決が...
《解 説》
一 本件は通訳人を同行しない外国人(イラン人)宅に対する捜索差押手続や通訳を介しない右外国人からの薬物(あへん及びLSD)の任意提出手続の適法性が争われた事案である。問題となった捜索差押手続の概要は次のとおりである。
警視庁甲警察署の警察官らは、裁判官から覚せい剤取締法違反等...
《解 説》
一 事案の概要
原告は、大阪地方裁判所において破産宣告を受けたO(以下「破産者」という。)の破産管財人である。破産者は、昭和四〇年ころから大阪市中央区千日前において料亭「××」等を経営していたものである。
破産者は、昭和六二年ころから、金融機関からの借入金によって巨額の株式...
《解 説》
一 本件は、宮城県知事及び仙台市長にかかる贈収賄事件に対する第一審判決である(なお、元市長自身に対する判決は、東京地判平9・1・22本誌九四二号八九頁)。一連のいわゆるゼネコン汚職事件の中で、現職の知事及び市長が検挙され、社会の注目を集めた事案に関するものであり、事実認定や争点...
《解 説》
一 Tは、Hに対する五〇〇〇万円の貸金の担保として、H所有の土地及び地上建物について、それぞれ第一順位の根抵当権を設定するとともに、共同担保としていたところ、Hは、その後、Tに無断で右地上建物を取り壊し、右土地上に新建物を建築するとともに、右の建築資金の一部に充てるため、被告か...
《解 説》
一 本件は、製薬会社であるA株式会社の株主であるXが、「A株式会社は、HIVに感染するおそれがあることを認識しながら、又は重大な過失により認識しないで、非加熱血液製剤を製造販売し、もって血友病患者約二〇〇〇名をHIVに感染させるとともに、そのうち約四〇〇名を死亡させた。その結果...
《解 説》
一 本件は、Xから市場での仲卸業の営業を譲り受けたと主張するY2会社及びY2会社を仲卸業者として扱っているY1市に対し、Xが、XとY2との間に営業譲渡契約が存在しないこと、営業譲渡に当たりY1市の中央卸売市場業務条例(本件条例)で要求されている市長に対する認可の共同申請及び市長...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。Xらは、Yとの間で、Yが運営する本件年金に加入し、年金規程を記載したしおりを送付された(なお、規程二五条は「財団は、五年毎に本制度につき年金数理に基づく再検討を行うものとし、基礎率等の変動により必要があると認めたときは掛金等の引上げ等財政...
《解 説》
一 本件は、被告人(衣料品の製造加工販売を営む会社の代表取締役。右会社も被告となっている。)が、アメリカ合衆国法人(以下「ローレン社」という)が被服類等を指定商品として登録を受けている「ポロプレーヤー」の図形及び「RALPHLAUREN」の文字からなる結合商標(本件登録商標)に...
《解 説》
本件は、農地法五条の許可を条件に本件農地を売却した原告が、本件農地に条件付所有権移転仮登記を有する被告に対し、農地法五条の許可申請協力請求権が一〇年の時効により消滅したこと等を理由に右仮登記の抹消を求めた事案であり、被告は、本件農地は市街化調整区域内にあり、農地法五条の許可を得...
《解 説》
一 X1とX2の子A(平成二年一月生)は、平成四年五月三日、室内で遊戯中に椅子から落ち、前頭部を打ちつけ、二日後に発熱、嘔吐などの異常症状がみられたため、同月五日、松戸市立病院に赴き、小児科のB医師の診察を受けたが、熱性けいれんと診断され、解熱剤等の投与を受けて帰宅した。
し...
《解 説》
一 本件は、被告(企業)がその社員の死亡によって団体定期保険契約に基づく保険金四八九二万円余りを各生命保険会社から受領したことに端を発した紛争であって、右社員の遺族である原告らが被告に対しその保険金の引渡しを求めたものである。
本件団体定期保険契約は、被告と各生命保険会社との...
《解 説》
一 本件は、いわゆるリクルート事件としてマスコミに大きく取り上げられた一連の贈収賄事件のうち、藤波孝生元内閣官房長官に対する受託収賄被告事件の控訴審判決である。一連のリクルート事件のうち受託収賄罪で起訴された政治家は藤波孝生元内閣官房長官、池田克也こと池田克哉元衆議院議員の二名...