《解 説》
一 控訴人は、兵庫県職員であったが、家族をおいて出奔し、行方不明になり、勿論出勤もしなくなった。それで兵庫県知事はこの職員を懲戒免職処分とした。この処分の告知として、人事発令通知書と処分説明書との妻への交付、県広報への処分の掲載とその広報の職員の出奔前の住所への郵送がされたが、...
《解 説》
一 本件の被告人は、いわゆるアダルトビデオ制作販売業者であり、その制作にあたって、A子をその女優として自慰等の性戯をさせる目的で雇い入れたのであるが、雇い入れに際し、職業安定法六三条二号にいう「労働者の募集」に該当する行為があったのか否かが争われた。本件の特色は、被告人がいわゆ...
《解 説》
一 Xは、地質調査業、さく井業を目的とする会社であるが、温泉開発を企画していたYとの間で温泉井の掘さく及びこれに付帯する工事を行う旨の契約を締結し、A市郊外で温泉掘さく工事を実施したところ、地下水がゆう出し、温泉との分析結果が得られた。
事案の理解のために必要な限度で、温泉掘...
《解 説》
一 X(原告)はAに対して、元利金を毎月分割して支払うとの約定で八七〇〇万円を貸し付け、Y(被告)はこれを連帯保証したが、右消費貸借契約には、分割金の支払を一回でも怠ったとき又はAにつき和議開始の申立てがあったときは期限の利益を喪失する旨の特約があった。右貸付け後、XはAから元...
《解 説》
一 Xは、A社の破産管財人である。A社は、平成六年一月に和議手続開始の申立を行ったが、再建に失敗し、和議開始の決定にも至らないまま、同年七月六日に和議申立を取り下げ、同月八日に自己破産の申立を行い、同月一三日に破産宣告がなされた。
Yは、破産債権者である。A社は、和議申立の後...
《解 説》
一 Xの夫A(六三歳)は、昭和五二年三月から名古屋市内の矢作電設株式会社に勤務していた者であるが、昭和五八年二月、韓国釜山市に出張し、日本の販売代理店の主催する夕食会に出席した際、会場で突然倒れて意識不明となり、近くの病院に搬送されて入院したが、数日後、脳出血により死亡した。
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《解 説》
一 本件は、相続人の一人に対して全部包括遺贈がされた事案につき、他の相続人らが遺留分減殺請求権を行使したとして、相続財産たる不動産につき持分の確認及び所有権一部移転登記手続を求めるものである。事案は以下のようなものである。本件の被相続人は、子の一人(被告)に全財産を包括遺贈する...
《解 説》
一 Xは、Y証券会社の投信債券外務員であった訴外Aから勧誘されて、昭和六三年五月から平成二年七月まで六回にわたり株式投資信託を購入したが、そのうち五商品について元本割れが生じた。このため、Xは、Aの勧誘方法には、(1)適合性原則遵守義務に違反がある、(2)投資信託制度の仕組みや...
《解 説》
一 Xは、Yの経営する住吉学園高等学校の教諭であるが、①単位不認定の可能性の高い生徒の両親に、「校長や教頭やったら何とかなる。」と言って両親を教頭に会わせ、単位認定の公正を疑わしめる行為をした ②中学三年生を対象とした入試説明会の際、校内において会場に向かう生徒や保護者に対し、...
《解 説》
一 本件は、X(控訴人)が、Y(被控訴人)の証券外務員の違法な勧誘行為によりYの発行するワラントを購入させられ、その結果、ワラントの購入代金と弁護士費用の合計四〇七万円余りの損害を被ったとして、Yに対し使用者責任に基づきその賠償を求めた事案である。
Xが主張した勧誘行為の違法...
《解 説》
本控訴審判決は、貸付信託を担保とする貸付債権と受益証券買取代金債権との相殺につき、民法四七八条の類推適用を認めた事案であり、本判決は原判決の事実摘示及び理由をおおむね引用していて、その詳細が明らかではないが、Xは貸付信託の受益者であり、信託契約に基づき、Y信託銀行に受益証券の買...
《解 説》
一 本件は、会社の工場内での交通事故による治療後、復職したものの、約二か月後に急性心不全により死亡した従業員の相続人(被控訴人)が、会社(控訴人)に対し、交通事故による傷害の損害賠償請求及び安全配慮義務違反による死亡事故の損害賠償請求をなした事案である。判示事項として取り上げる...
《解 説》
一 X(株式会社)は、会社の余剰資金を運用する目的で、経理部長であるAを担当者として、証券会社Yとの間で、昭和六〇年一月から現物株式などの有価証券取引を行っていたところ、昭和六二年六月にYの従業員であるBからワラント購入の勧誘を受け、平成三年四月までの間に、延べ約二〇〇回のワラ...
《解 説》
一 Xは、自己所有トラックを持ち込んで、特定の会社の指示に従って製品等の運送業務に従事する車の持込み運転手(傭車運転手)であるが、トラックに運送品を積み込む作業をしていたところ、足を滑らせて転倒し、第五頚椎脱臼骨折、右気胸、頭部外傷等の傷害を負った。そこで、Xは、Yに対し、労働...
《解 説》
一 問題の所在
1 本件は、尊属傷害致死、殺人、死体遺棄被告事件について、一審が無期懲役を言い渡し、控訴審も被告人からの控訴を棄却したため、被告人が上告を申し立てた事案であるが、控訴審判決言渡し後に刑法の一部を改正する法律(平成七年法律第九一号。以下「改正法」という。)が施...
《解 説》
1 事案の概要は以下の通りである。
A女(当時六五歳)は、平成五年一二月末頃から風邪等の症状で被告Y医師が運営する小規模な個人医院に通院し、Yは、当初は軽い風邪、後に風邪による全身疲労から来る自律神経失調と診断して、投薬等の治療をしていた。A女は、平成六年一月二日になって今度...