《解 説》
Xら一二九名は税関に勤務する職員で組織する労働組合のK支部及びこれに所属する者(一部、死亡による訴訟承継がある)であるが、昭和三八年四月から同四九年三月までの間、税関長からK支部の組合員であることを理由として、昇任、昇格、昇給につき不当な差別を受け、これにより経済的、精神的損害...
《解 説》
本件は、破産に瀕した不動産会社の代表取締役であった被告人が、債権者の権利行使により会社の財産をすべて失うことをおそれ、右翼団体の名誉塾長にその妨害を依頼し、右塾長らと共謀の上、破産会社の所有不動産に、ダミー会社や右塾長が実質的に代表者を務める会社を権利者とする無償の地上権を設定...
《解 説》
一 事案の概要
1 X(松山市)は、昭和三〇年三月、旧国鉄松山駅前整備事業の一環として、貨物の搬出、搬入用の道路を造るため、Aから本件土地を買い受け、同年度の失業対策事業で盛土をし、昭和四二年には、敷地全体をアスファルトで舗装し、現況に近い形態の道路として整備し、遅くとも昭和...
《解 説》
本件は、地下分水路トンネルの掘削工事作業中に、折からの台風の影響でトンネル入口部分の掘削地に隣接する河川が氾濫して、右掘削地に水が流入して貯留し、内部への水の流入を防ぐ目的で設置されていた「仮締切」(仮設構造物)がその水圧により決壊し、トンネル内部に雨水が流入し、作業中であった...
《解 説》
一 本件は、賞与の支給対象期間の全期間勤務したが、支給日前にY社を定年退職したXがYに対し、他の従業員に支給したと同率の賞与の支払を求めたものである。Y社の給与規程には、賞与は支給日現在に在籍している者に支給するとの規定(いわゆる支給日在籍要件)があったが、Xは、賞与は労働の対...
《解 説》
一 本件は、交通事故により頚椎捻挫などの傷害を負ったXが、加害車両の運転者、運行供用者、自動車保険の保険者であるYらに対し、交通事故により被った損害の賠償を請求する事案である。
加害車両の運転者であるY1は、Xの運転する自動車に自車を追突させる本件交通事故を発生させ、Xは、本...
《解 説》
一 本件は、真言宗に属する寺院の所有・管理する墓地において、神道又は曹洞宗の方式による典礼を行うことの可否が争われた事案である。
二 本件の事実経過は、概要、次のとおりである。
本件墓地は、当初、真言宗に属する旧Y寺院(西暦一六〇〇年頃設立)の住職、寺男等を埋葬するために設...
《解 説》
一 本件は、被告人方を捜索した結果押収された覚せい剤とその鑑定書等の証拠能力が違法収集証拠を理由に争われた覚せい剤の使用・所持の事案である。決定文を要約すれば、捜査の経緯は、次のようなものである。すなわち、警察官八名が被告人の別件覚せい剤所持を被疑事実とする捜索差押許可状により...
《解 説》
一 本件は死刑確定者の表現の自由、信書発信の自由の侵害の有無が争われた事件である。
Xは、昭和六二年四月二二日に死刑判決が確定し、東京拘置所に収容され死刑確定者としての処遇を受けている者であるが、東京拘置所長Yに対し、①国際連合人権委員会あての「人権救済の申立」と題する書面及...
《解 説》
一 女性であるXは、Y1会社に、その代表者であるY2の自宅で家政婦としての仕事に従事する目的で雇用された。Xは、Y2に体を触られたりしたほか、強姦されそうになったこともあり、その後も性交を求められる等したため、これらの行動はセクハラであると抗議したところ、Y2は、その後種々の嫌...
《解 説》
X3は三一歳の歯科医であるが、Y2銀行の支店長Nの斡旋によりノンバンクY1社から五五億円を当初年利八・八パーセント(長期プライムレートを基準とする変動金利)で借り受け、その内五〇億円をT社に年利二割で貸し付け、残五億円で本州製糸等五社の株式を買い受けた(なお、Y2はY1から右融...
《解 説》
A県が建設会社の共同企業体に発注した芸術文化センターの工事代金について、平成三年七月九日、当事者間に建築工事代金を二九億五八五三万円余増額するとの契約が締結され、右代金は同四年三月末までに支払われた。同六年五月末以降、右追加工事代金について建築会社の赤字補填のために水増しされた...
《解 説》
Xは拘置所に勾留されている被告人であるが、眼科で治療を受けるため、拘置所職員に付き添われ、両手錠、腰縄付きで病院に行き、眼科で治療を受けた。Xは、被告人は有罪判決を受けるまで無罪の推定を受けるものであるのに、両手錠、腰縄付きで公衆の面前を歩かされ、名誉が侵害され、尊厳を著しく傷...
《解 説》
一 本件は、中学校教諭である被告人が、その教え子である女子中学生二名に対し、それぞれ性具である電動バイブレーターを提供するなどして、被告人の面前で自慰行為をさせたことが児童福祉法六〇条一項、三四条一項六号(以下、「本号」という)にいう「児童に淫行をさせる行為」をした罪に当たると...
《解 説》
一 生活保護法四条一項は、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と規定し、保護の補足性の原則を宣明している。
そして、これまでに、東京高判昭42・8・17下民集一八巻七・...