《解 説》
一 本件事案は、覚せい剤取締法違反(覚せい剤の営利目的所持)の被疑事実で勾留され、右事実について起訴された被告人が、第一審で有罪判決を受けて控訴し、控訴棄却の判決を受けたのでさらに上告したが、その間同一の勾留が継続していたところ、上告審に係属中に第一審裁判所に対して勾留理由開示...
《解 説》
本件は、現職の国会議員が破産宣告の申立てを受け、議員歳費まで差し押さえられたとして社会の耳目をひいた事件である。
当時衆議院議員で建設政務次官であったXが、Y1発行の「週刊新潮」「『破産・代議士』X氏のそれでも『政務次官』」との記事が名誉を毀損するとして提訴したところ、これを...
《解 説》
ここに紹介する二例は、いずれも変額保険の勧誘に際して説明が不十分であったこと等を理由として、主位的に変額保険契約、融資契約等の有効性が、予備的に保険会社及び銀行の共同不法行為責任の有無が争われた事件である。
①事件のXは、本件各契約締結当時六八歳の男性であり、農業に従事してい...
《解 説》
Xらは、鉱業等を目的とするY社の従業員として長崎県の伊王島炭鉱で石炭採掘等の業務に従事したためじん肺に罹患した者又はその相続人である。XらはYに対し安全配慮義務違反による損害賠償の訴えを提起した。Yは、その当時の技術水準に照らして必要かつ十分な対策を講じていたこと、消滅時効が完...
《解 説》
本審決は、被審人が他の同業七社とともに紙フェノール銅張積層板の国内需要者渡し価格の引上げを決定した対価カルテル行為に対する課徴金納付に関する審判事件の審決である(なお、違反事件の審決は、その審決取消訴訟の判決である東京高判平7・9・25本誌九〇六号一三六頁の確定により既に確定し...
《解 説》
申立人(福岡県)は、県営住宅に居住している相手方に建物明渡の訴えを提起し、勝訴判決を得たが、申立人は相手方に対し、賃料の遅滞が三カ月分に達したときは通知催告を要せずに自動的に契約解除となる旨の条項を入れた起訴前の和解に応じるならば、相手方を賃借人として賃貸してもよいとの意向を示...
《解 説》
一 被審人らは、各種年金の通知書等貼付用シール(「本件シール」)の製造業者であり、社会保険庁が指名競争入札の方法により発注する本件シールの受注予定者をあらかじめ決定するカルテル行為(「本件カルテル」)をしたとして既に排除措置を命ずる勧告審決を受けている。
本件は、そのカルテル...
《解 説》
一 原告(X)が被告建築主事(Y)に対して建築基準法六条一項に基づく建築物の建築確認申請(以下「本件申請」という。)をしたところ、Yは、本件申請に係る建築計画は、路地状部分の長さに対しその部分の幅員が不足するため、横浜市建築基準条例(以下「本件条例」という。)四条(建築物の敷地...
《解 説》
一 本件は、兵庫県議会議員選挙に立候補したが落選した原告が、その得票数が法定得票数に達しなかったことを理由に立候補の際に供託した六〇万円を没収されたため、公職選挙法九二条一項及び九三条一項に定められた供託(以下「選挙供託」という。)及び供託金の没収制度が憲法に違反する無効なもの...
《解 説》
一 本件は、被告人が多数回にわたって覚せい剤を他人に譲渡し、もって覚せい剤の譲渡を業としたことのほか、営利の目的で(一部はその目的なく)、覚せい剤を所持し、さらに、覚せい剤を自己使用し、けん銃用実包を所持したという事案である。
本件では、被告人が、「国際的な協力の下に規制薬物...
《解 説》
一 本件事案は、被告を起業者とする市街地開発事業に関し、県収用委員会がした原告らの土地を収用し金銭による損失補償をするとの収用採決につき、原告らが、土地収用法(以下「法」という。)一三三条に基づき、被告に対して、損失補償金に代えて替地による補償を求めたものであり、法一三三条の訴...
《解 説》
一 本件は、現職の茨城県つくば市長である被告人が、次期市長選で再選を果たすため、支持者と共謀の上、自己のために投票すること及び自己のための投票のとりまとめなどの選挙運動をすることの報酬として、選挙人ら二〇名に対し各五万円合計一〇〇万円を供与ないし供与しようとしたことについて、公...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年一〇月二四日から、神戸市中央市民病院に入院し、高血圧症等の治療を受けていたが、同月二七日、同病院一一階の面会コーナーに設置されていた椅子に腰掛けたところ、右椅子の座席部分を支える鉄パイプが突然外れたため、仰向けに一回転して床にひっくり返り、頚椎捻挫、腰椎捻挫...
《解 説》
一 Xは、Y(病院)において頚椎前方固定手術を受けたが、Yが右手術前にXに対して行った心電図検査ではXには異常が発見されており、Yは右手術を行うべきではなかったという事実を立証するために、右心電図記録(以下「本件文書」という。)が必要であるとして、その提出命令を求めた。これに対...
《解 説》
Xは、被相続人の有していた預金債権について遺産分割を申し立てたところ、原審は、預金債権が可分債権として当然分割されることを理由に遺産分割の対象にならないとしてXの申立てを却下する審判を下したようである。
Xの即時抗告により、本決定は、金銭債権であっても遺産分割の対象とされるこ...