《解 説》
一 本件は、和解調書に基づく強制執行につき法人格否認の法理を適用して、第三者に執行力を拡張することが許されるかどうかが問題になった事案である。
Yは、Aとの間の和解調書に基づき、法人格否認の法理に基づきXに対して強制執行の申立てをしたところ、執行裁判所がこれを認めたため、Xが...
《解 説》
一 X(当時八〇歳・無職)は、平成元年六月、Yらとの間で、X及びその家族らをそれぞれ被保険者とする各変額保険契約(基本保険金額合計一七億五〇〇〇万円、一時払い保険料合計約六億七〇〇〇万円)を締結し、金融機関からの借入により右保険料を支払ったが、同五年九月、Xを被保険者とするもの...
《解 説》
X1の夫であり、X2の父であるAは、平成三年一一月六日午後六時五〇分ころ、自宅付近をジョギング中、町道に掘削された穴(深さ八二センチメートル)に転落し、一〇日後に急性心不全により死亡した。Xらは、町道の設置者であるY1町に対しては国家賠償法二条一項に基づき、工事業者であるY2社...
《解 説》
Xの夫Aは、昭和二九年四月にN市立中学校教諭として採用され、同五二年四月からT中学に勤務し、理科を担当するほか、同五三年四月から生徒指導主事の地位にあったものであるところ、同五八年六月の未明に胸の痛みを訴えて倒れ、救急車で病院に運び込まれたが、心筋梗塞により死亡した。Xは、Aの...
《解 説》
一 本件は、原告を被疑者とする有印私文書偽造等被疑事件に係る一連の刑事手続きが本来犯罪ではない原告の活動の有無を取り調べる目的で利用され、その取調べ態様も違法不当なものであること及び神奈川県警が右事件の捜査過程で得た情報を報道機関に提供したことにより、原告が被った精神的、財産的...
《解 説》
本件は、建物の賃借人四名から賃料の減額請求の訴えが提起され、これに対し賃貸人から増額請求の反訴が提起されたところ、裁判所は、賃借人の一名について賃料の減額を認めたほか、その他の三名について賃料額を現状どおりとした事例である。その事実関係は、およそ次のとおりである。
Xら四名は...
《解 説》
学校法人Yは女子高を経営していたが、教職員らで構成する組合との間で団体交渉の対象及び事前折衝の要否等をめぐって紛争となり、組合は、煙突(紙製の円筒)の林立、リボン着用、ビラの掲示及び配付等を行い、ストライキを実施した。なお、組合員のデモ行進に生徒が参加するという場面もあった。Y...
《解 説》
一 本件は、四才の幼女に対し、猥せつ誘拐、殺人、死体遺棄をなしたといういわゆる足利幼女殺害事件の控訴審判決である。捜査の過程で、犯行現場付近の川底に投棄されていた被害者の半袖下着に付着していた精液と被告人が捨てたティッシュペーパー付着の精液の血液型及びDNA型が一致するとの鑑定...
《解 説》
一 平成二年八月のイラクによるクウェイト侵攻から勃発したいわゆる湾岸戦争において、わが国は、平成三年一月二五日にアラブ諸国協力理事会が設立した湾岸平和基金に対して九〇億ドル相当を振り込んで資金を拠出し、その後の正式停戦までの期間においてペルシャ湾内の機雷除去のために自衛隊の掃海...
《解 説》
建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)は、区分所有者の権利義務として、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない旨を定め(六条一項)、これを、区分所有者以外の専有部分の占有者にも準用している(同条三項)。区...
《解 説》
一 本件は、Y1会社がその発行する月刊誌に「◎特捜部の二大ターゲット」の見出しのもと、東京国税局査察部が、東京地検に対してXを脱税容疑で告発したため、同地検による強制捜査が秒読み段階に入り事件化することが必至である旨摘示した記事を掲載したため、法人格なき宗教団体であるXが、国税...
《解 説》
一 Xは、滋賀空港建設阻止の運動を行っている滋賀県に居住する者であるが、平成六年五月、滋賀県公文書の公開等に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき、Yに対し、「空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等(平成五年度)」の公開を請求したが、本公文書が「公開することにより、当該...
《解 説》
一 本件は、大手都市銀行である住友銀行の支店長らが支店の顧客からいわゆる仕手筋への巨額の融資を媒介したことについて、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律三条違反の罪(金融機関の役職員その他の従業員がその地位を利用し、自己又は第三者の利益を図るため、金銭の貸付、金銭...
《解 説》
Xら夫婦は、Y1信販会社に対してクレジットカードの利用による金銭消費貸借債務等を負っていたが、当初の約定どおりの支払いが困難になったため、Y1との間でX1(妻)を主債務者、Y2(夫)を連帯保証人として元金一〇三万円を約七か年にわたり月賦返済するとの債務弁済契約を締結した。右債務...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、ジェット機の就航を目的として行われた松本空港の施設の変更(滑走路の拡張)申請につき、被告運輸大臣がこれを許可したことが違法であるとして、空港の周辺住民においてその許可の取消しを求めた取消訴訟である(以下、航空法を「法」と、航空法施行規則を「規則」と...
《解 説》
事案の概要は以下のとおりである。
訴外亡Aは平成四年三月当時五七歳であったが、膀胱腫瘍治療のためYの開設経営する病院に入院し、膀胱腫瘍、S状結腸切除等の手術を受けた。Aは手術前からIVHカテーテル(口・腸を通して栄養補給できない患者に対して中心静脈を通して栄養補給をするための...
《解 説》
Aは、平成七年三月二日破産宣告を受けた後、同年四月一一日死亡した。Aの相続財産につき破産手続が続行され、同年九月一九日、破産廃止決定がなされ、右破産手続は終結した。Xら二名はAの子であるが、裁判所に破産免責を申し立てた。
原審は、「免責を受ける権利は一身専属的なものであって、...
《解 説》
一 事案の概要
JR東日本大井町駅及び新浦安駅の各駅ビルを管理する被告が、駅ビルへのテナント募集に応じた原告に出店を準備させながら、最終段階で出店を拒否したとして、原告が、被告に対して信義則違反を理由に損害賠償を求める。これが本件の事案の概要である。
二 本判決の内容
「...
《解 説》
本件の経緯は、スーパーマーケットから、盗難クレジットカードを用いて商品を購入した男女の客がいる旨の通報を受けて同店舗に赴いた警察官らが、男女の客に職務質問のため、保安室までの同行を求めたところ、男客である被告人は一旦拒否し、説得を続けられて、しぶしぶ保安室に同行したが、所持品を...