《解 説》
一 いわゆる佐川急便事件は四つの特別背任事件に大別できるが、本判決は、このうち二件(平和堂グループ関係・暴力団関係)について、東京佐川急便の代表取締役社長に対して言い渡された第一審判決である。平和堂グループ関係事件は、被告人Aが、個人的に親しいBを代表者とする平和堂グループ各社...
《解 説》
Xは、詐欺窃盗被告事件の被告人Aの弁護人であるが、受訴裁判所に公判終了後の接見を申し出たところ、担当裁判官は、法廷における接見を認める旨の処分をした。Xは、拘置所長において裁判所の接見室に覗き窓がないことから身柄の管理上問題があり、弁護人の裁判所の接見室における接見を許さないと...
《解 説》
一 本件は、宗教法人オウム真理教に所属する被告人三名が、サリンを生成、発散させて不特定多数の者を殺害する目的で、教団代表者A及び教団所属の多数の者と共謀の上、サリン生成化学プラントを完成、作動させてサリンの生成を企て、殺人予備をしたという事案である。
本件では、殺人予備の共同...
《解 説》
Xは、本件建物に抵当権を有し、右抵当権の物上代位として賃料債権につき差押命令を受けた。他方、Yは本件建物についてXと同順位の根抵当権を有し、Xより先に物上代位により賃料債権につき差押命令を受けていた。第三債務者であるAは、差押競合以降の賃料合計一五〇一万円余を供託した。執行裁判...
《解 説》
一 Xは、平成元年一二月、Yの依頼により、木造二階建住宅の建築のうち木工事を施工することになり、平成二年二月、右建築工事現場一階屋根の上において、一階屋根の垂木に破風板を打ち付ける作業に従事していた際、約三メートル下の地面に墜落し、背髄損傷の傷害を受け、両下肢麻痺、知覚脱失等の...
《解 説》
一 事案と判決の概要
1 本件は、Y1、Y2、Y3(以下「Yら」という。)及びAの各従業員として、宮城県所在の細倉鉱山等において鉱山労働に従事し、じん肺に罹患した者二三名(以下「Xら」という。)が、Yらに対し、雇用契約上の安全配慮義務(健康保持義務)の不履行又は不法行為に基づ...
《解 説》
一 本件は、エイズワクチンの臨床試験を行っているなどとマスコミ発表したことが、自社の株価の高騰を企図して風説を流布したとして証取法の風説流布罪に問われた事件であり、社会的な関心も集めたものである。
コンピューターソフトウェア関連会社Aの代表取締役であった被告人は、償還期日が迫...
《解 説》
本件は、個人情報の開示を定めた条例の規定に基づく開示請求に対してされた不開示決定の効力が争われた事案であり、事案の概要は以下の通りである。
精神保健法上、精神障害者等を知った者は、精神衛生鑑定医の診察及び必要な保護を知事に申請でき、右診断をした精神衛生鑑定医は「入院措置に関す...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。
X会社は、大阪市に本店を置き、リゾート開発事業等を目的とする株式会社であり、沖縄県石垣島でリゾート開発を進めていたところ、地元の不動産業者を通じて、NTT東京支社の直属事業所の一つである東京通信システム営業本部の本部長であったAから、「N...
《解 説》
一 Xは、Yとの間で多数の中古コンピュータを目的とし、ユーザーを被保険者として動産総合保険契約を締結していたが、平成四年一二月から平成五年八月までの間に一〇〇台余のコンピュータに故障が発生し、これを修理したため損害を被ったとして、任意的訴訟担当によりユーザーに代わってYに対し三...
《解 説》
一 本件は、Yが、冒頭で「Xに新たな疑惑!『伊勢丹』へ脅迫状」とのテロップを流した後、アナウンサーが「昨年の秋、Xがロンドンにいる時、同じロンドンからこちらの伊勢丹本社に一通の脅迫状が届いていることが明らかになりました」等述べた後、「産業能率大学教授安本美典(文章心理学)」「X...
《解 説》
本件は、平成元年六月一一日行われた「安保も天皇制もいらない六月共同行動」に参加したXら七名が警視庁機動隊員による検問等を違法としてY都に対し、国賠法一条一項に基づき損害賠償等を求めた事案である。Xらの主張によれば、X1ないしX3は、右共同行動の主催者で、本件検問に対応したため集...
《解 説》
Xは、殺人等被告事件につき第一審で死刑判決を受け、控訴中であり、T拘置所に勾留されている者である。Xの実母はXのためノートを差し入れたが、Xは、同拘置所所定の「ノート使用許可願」に多数の注意事項が記載されているのを不服として右願箋に署名指印をしなかったため、右ノートの交付を受け...
《解 説》
本件は、証券会社Yの社員Aが、株式の現物取引を継続的に行っていた顧客X(大正一三年生まれ男性、当時無職)に本件ワラントの購入を勧誘した際、断定的判断を提供し、適合性原則や説明義務等に反する違法な勧誘行為を行っていたか否かが争われた事案である。
本判決は、顧客Xは、昭和四七年こ...
《解 説》
Y(県知事)は、建設大臣から県内の溜池の管理及び処分に関する事務を委任されているところ、平成元年一月、一三筆の溜池(本件土地)について公共用財産としての用途を廃止し、これを財務局に普通財産として引き継いだ。S鉄道は、本件土地周辺においてゴルフ場造成工事に着工し、同二年五月、本件...
《解 説》
外務大臣は、Aに対して一般旅券を発給したが、Aには「著しく且つ直接日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある」として旅券返納命令を発したが、Aは期限までに旅券を返納しなかった。警視庁の警察官は、旅券法違反(返納命令違反)を被疑事実として、簡易...
《解 説》
XはI市の住民であるが、同市において、平成四年五月、町内会長ら合計五二名を同市から約三〇キロメートルの距離にある温泉に招き、泊まりがけで「市政懇談会」を開催し、宴会に酌婦を呼んだこと等による支出を違法であると主張し、同市の市長Y、助役Y2、収入役Y3を相手に支出額八五万円余の損...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
Xは、大正八年生まれで、契約当時には年金生活者となっていたが、保険会社Y1の勧誘員から、保険料を銀行から全額借り入れて変額保険に加入するプランの説明を受け、平成三年五月に、Y2から保険料相当額を借り入れ、Y3に右の借入金について保証委...
《解 説》
一 本件は、衆議院議員で国務大臣北海道開発庁長官であった被告人が、その在職中に、北海道内においてリゾート総合開発計画を有していた株式会社共和の副社長から、北海道総合開発計画に基づく道路整備事業として事業化が見込まれていた高規格幹線道路の右リゾート開発地周辺の新設予定箇所に関する...