《解 説》
一 本件は、東京地判平7・3・24本誌八九七号一七三頁の控訴審判決である。事案の概要は、右原審の本誌コメントに記載されている通り、乳癌で死亡した患者Aの遺族Xらが、Aが最初に受診した産婦人科開業医Yを相手取り、専門医への転医勧告が遅れたことを根拠として二〇〇〇万円の損害賠償を請...
《解 説》
Xは、平成四年一一月、Yとの間で自家用自動車総合保険契約を締結したが、同保険には運転者家族限定特約がついており、記名被保険者及びその家族(同居の親族及び別居の未婚の子を指す)以外の者が被保険自動車を運転している間に生じた事故については、保険金が支払われないものとされていた。Xの...
《解 説》
Xは、昭和六一年七月、Yの注文により鉄骨造陸屋根四階建共同住宅車庫(本件建物)を建築し、同年一〇月これをYに引き渡したが、代金の完済を受けていないとして、同六三年一一月、右債権を保全する目的で本件建物のY名義による保存登記の抹消登記手続請求の訴えを訴訟代理人をつけずに提起した。...
《解 説》
一 久留米競輪の場外車券売場を建設しようとするY(甲事件債権者兼乙事件債務者)が建設に反対するXらの一部の近隣住民(甲事件債務者ら)に対し、専用道路の通行権及び建物新築権に基づき、通行妨害禁止及び建設工事妨害禁止の仮処分を求めた事案(甲事件)と車券売場の近隣住民及び近隣職場に勤...
《解 説》
XとYはいずれも中国人であり、わが国に勉学目的で滞在している者であるが、ある日、YがXの右目付近をナイフで刺し、Xの右目を失明させた。XはYに対し、損害賠償請求の訴えを提起した。Xは、損害額の計算方法として、逸失利益については日本の賃金センサスにより、慰謝料についてはわが国の基...
《解 説》
本件は、「動物実験の廃止を求める会」の正当な代表者(事務局長。以下、同様)であると主張するAが同会を代表し、代表者を僣称しているとするBを相手に、Bが代表者の地位にないことの確認、同会の名称の使用禁止及び妨害禁止を求めた甲事件と、同会の正当な代表者であると主張するBが同会を代表...
《解 説》
Xらは、N市の住民であるが、平成七年五月一七日施行された市議会議員選挙における議員定数の配分について、同二年の国勢調査人口によれば投票価値の較差が最大で一・七三倍になり、いわゆる逆転現象は一四通り生じ、そのうち定数二人の差のある顕著な逆転現象は四通りあること、同七年三月一日現在...
《解 説》
本件は、元暴力団組長で、オウム真理教信者の被告人が、電気工事業を営む者に対し、いわゆる直請けの話を持ちかけていたところ、不審を抱いた同人がこれを断ったことに因縁をつけ、金員を喝取しようと企て、同人と電話で話をした際に脅し文句を言って畏怖させ、同人から金二〇万円を喝取した、として...
《解 説》
一 本件は、X社の経理部長及び経理部次長であったA及びBがX社乗っ取りに対抗し、乗っ取り側(C側)からX社の株式を買い取るためのいわゆる裏工作をYらに依頼し金員を交付した行為が、株主の権利行使に関する利益供与に該当するとして、X社が商法二九四条ノ二第三項に基づき右金員の返還を求...
《解 説》
一 本件は、被告人が同じ日の夕方、一三歳と一二歳の少女に対して、相次いで、強制わいせつ及び同未遂の犯行に及んだという事案である。本件では、被告人は無罪を主張し、各被害者の目撃証言の信用性が主たる争点となった。
二 本判決は、各被害者の目撃証言の信用性について、個別に検討を加え...
《解 説》
本件は、YらがX会社及び訴外会社のゴルフ会員権販売及びローン設定が違法な取引であると主張して、一八日間に、一八回にわたり、X会社所在地及びその役員らの自宅周辺において、街頭宣伝車等を用いて、ボリューム一杯の大音響で、長時間にわたり執拗に、X会社及びその役員らを誹謗中傷する内容の...
《解 説》
一 事案の概要
(一) 原告と被告は婚姻していたが、昭和六二年四月三〇日、アメリカ合衆国コネティカット州の裁判所の判決(以下、「コネティカット判決」という。)により離婚した。コネティカット判決には、原告の被告に対する扶助料の支払義務について、被告が生存し、かつ、再婚するまで...
《解 説》
一 本件は、中核派活動家の被告人が、昭和六二年八月に保冷車の荷台から皇居方面に向けて金属性砲弾型爆発物を発射させるとともに、右保冷車を火炎びんの時限装置により焼燬し、付近建造物などに延焼させるおそれのある状態を発生させたものとして、爆発物取締罰則違反罪等により起訴されていた事件...
《解 説》
本件建物は、Aが持分一〇分の七、Bが持分一〇分の三を有していたところ、AとBは連帯債務者としてY1から九六〇万円を借り受け、本件建物等に抵当権を設定した。その後Bは、Y2に対する保証委託契約に基づく求償債権三五〇万円について抵当権を設定した。これに次いでXはY1に二二〇〇万円を...
《解 説》
一 Xは、昭和五九年八月から、不動産の賃貸、売買、仲介等を業とするY会社との間で銀行取引を開始し、Yのいわゆるメインバンクとして貸出等の取引を継続してきたが、平成二年ころの株式相場の暴落及びその後の不動産価格の低迷によりYの業績は急激に悪化し、平成三年七月には、金融機関からの借...
《解 説》
一 本件は、X社が中学校を中心に頒布する写真新聞に「エイズに感染すると死ぬ”純潔“を守ればエイズにならない」との見出しのもとにエイズの危険性を警告する記事を掲載したところ、Y1社が本紙に右記事を掲載したうえで、これが過度にエイズの危険性を煽ったものであって、学校現場で批判が続出...