《解 説》
一 Xは、平成元年三月、普通乗用自動車を運転して、千葉県浦安市内の道路上を走行中、海楽一丁目付近の交差点において、訴外Aの運転する普通乗用自動車(加害車両)に衝突され、頭部外傷等の傷害を負った。
そこで、Xは、加害車両を所有し、これを代車として第三者に提供していたYに対し、自...
《解 説》
一 本件は同族会社の代表者の次男で、右会社の従業員として稼働し、弱冠二五歳で、八二〇万円の年収を得ていた者の死亡交通事故に関し、その逸失利益の算定の基礎収入を巡って争われた事案である。原告は右収入は被害者の働きに応じたものであるから、その全額を算定の基礎とすべきであると主張し、...
《解 説》
本件は、普通乗用自動車のいわゆる放置駐車違反の事案で、駐車行為そのものについては争いがなく、その駐車行為が道路交通法一一九条の二にいう「車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為」に当たるかどうかが争われたものである。
道路交通法二条一項一八号は、「駐車」の意義を...
《解 説》
Y2は、平成元年一二月一八日に大阪市総務局長を最後に同市を依願退職し、退職手当の支給を受けた。同市の住民である原告らは、Y2は、総務局長在職当時、①私的な飲食に同市の食糧費を支出させた、②同市財政局財政課庶務係長が当時Y2の通っていたクラブの今後の飲食代金のため同市の食糧費を同...
《解 説》
新聞社Y1の発行する平成二年九月一二日付けの新聞紙上に大見出しで「『子供奪われ苦痛』」、小見出しで「妻がオウム入信」、「夫、賠償提訴へ」と題し、Y3が、その子らが学校にも通えず、監禁されているとして総額五五〇万円の損害賠償を求める訴えを近く提起し、監禁罪で告訴することも検討して...
《解 説》
本件は、在留外国人の指紋押なつ拒否事件の刑事上告審判決である。
一 本判決の要点
本判決は、指紋押なつ制度の合憲性に関して初めて最高裁の判断を示したものである。その要点は、次のようなものである。
①指紋押なつ制度について
「指紋は、指先の紋様であり、それ自体では個人の私...
《解 説》
一 本件は、禁錮以上の刑に処する確定裁判を経た罪と刑法四五条後段の併合罪の関係に立ついわゆる余罪について、右確定裁判が実刑判決の場合、刑法二五条一項一号によりその刑の執行を猶予することができるかが問題となった事案である。
二 余罪の執行猶予については、昭和二〇年代終わりから昭...
《解 説》
一 本判決は、土地の取得時効の成否が争われた事件において、不動産の占有者が登記簿上の所有名義人に対して移転登記手続を求めなかったこと及び当該不動産に賦課される固定資産税を負担しなかったことが、外形的客観的にみて他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事...
《解 説》
一 本件は、建物収去土地明渡請求訴訟(前訴)の事実審口頭弁論終結後に建物買取請求権を行使して、その効果を前訴の請求を認容した確定判決に対する請求異議の事由として主張することができるかという問題、すなわち確定判決の既判力の遮断効と基準時後の形成権行使の効果という法律問題が争われた...
《解 説》
一 Xは、「朝日九段マンション」の区分所有者であるが、同マンションの管理組合法人であるYが、平成元年二月一九日開催の定期総会においてした「管理組合・規則」の改正に関する決議(「所有個数及び専有面積に拘わらず、組合員は一票の議決権を有する」旨の改正)について、建物の区分所有等に関...
《解 説》
一 本件は、昭和六一年から平成五年までの間に休刊又は廃刊となった雑誌二八六誌の最終号の表紙、休廃刊に際し出版元等の会社やその編集部、編集長等から読者宛に書かれた文章(「本件記事」)やイラスト等を電子複写機器により複製してこれらを休廃刊の年毎にまとめ、写真製版の方法により印刷した...
《解 説》
一 被告人甲と被害者Xは、いずれも乙大学医学部動物実験施設に勤務する者であるが、長年にわたって反目しあう犬猿の仲であった。Xは平成二年一二月中旬神経障害、不眠等のため入院し、翌三年二月一四日にタリウム中毒で死亡した。その後、Xにタリウムを飲用させた者として酢酸タリウム水溶液を普...
《解 説》
一 作家であるY1は、『捜査一課長』と題する小説を執筆し、Y1と出版権設定契約を締結した出版社Y2は右小説の単行本及び文庫判を、同じく出版社Y3はその新書判を、それぞれ出版した。Xは、いわゆる「甲山事件」刑事訴訟の被告人であるところ、本件小説は自分をモデルとしたモデル小説であっ...
《解 説》
一 Xらは、いずれも奈良県天理市の住民であるが、天理市が、平成二年九月に、奈良県から約七億四五八二万円で払い下げた土地を、平成三年三月に建設会社に約九億八〇〇〇万円で売却したことについて、右土地の建設会社に対する売却は極めて低廉な価格での売却であって、当時の市長、助役及び建設会...
《解 説》
一 (判示事項一、二について)
1 原審は、検察官及び東京都知事の申立に基づき、抗告人の代表役員麻原彰晃こと松本智津夫の指示又は承認の下に、抗告人の組織的行為として、人を殺すこと以外に使途のないサリンの生成プラントを建設し、これを稼働させてサリンを生成した殺人予備行為が、宗教...
《解 説》
一 Xは、浜松市内に勤務する会社役員であるが、平成三年四月、Y(証券会社)の社員Aに対し、保有株式二万株の売却を依頼したところ、Aが右株式を売却したが、その際、Xに無断でオムロンワラントを買付けたため、損害を被ったと主張し、Yに対して、損害賠償を請求した。
これに対し、Yは、...
《解 説》
一 Xらは、Yが施行する土地区画整理事業において仮換地指定処分を受けた者であるが、①本件施行地区の約六〇・二八パーセントが農地であるのに、Yは土地の価額に重点を置く比例評価式換地設計法を採用し、本件事業計画においては、農地の集合化等による環境保全に何ら配慮がされておらず、右のよ...