《解 説》
Xは、Y証券会社本店投資相談室から送付されたダイレクトメールをきっかけとして、自己や夫、子供の名義で株式売買及びワラント取引を数百回にわたり継続し、ワラント取引に二七億二四五八万円余をつぎこんで一億一四二一万円余の利益を上げるとともに二億八九三六万円余の損失を出した(権利消滅分...
《解 説》
一 契約上の給付が契約の相手方以外の第三者の利益になった場合に、右給付をした契約当事者が第三者に対してその利益の返還を請求することがあるが、そのような請求権は一般に「転用物訴権」と呼ばれる。本判決は、極めて限定された場合においてのみ転用物訴権の成立を認めることを明らかにしたもの...
《解 説》
一 本件は、被告会社の代表取締役であり、B会社の代表取締役でもあったAが、被告会社所有の土地をB会社に売却する利益相反取引の承認を求めて被告会社の取締役会を開催し、自ら議長となって承認の決議(本件決議)をしたのに対し、被告会社の株主であるXが本件決議の無効確認を求めた事案であり...
《解 説》
一 本件は、交差点の出会い頭の交通事故により受傷した原告が、その損害の賠償を求めた事案であるが、その概要は以下のとおりである。
昭和五八年三月一〇日、本件事故発生。原告は本件交通事故により頚椎捻挫等の傷害を負い、現在も通院治療中であると主張して、昭和五九年七月二日、被告らに対...
《解 説》
一 主要な争点に関する事実関係を摘示する。
大手不動産業者であるXは、バブル経済のピーク時である平成元年に六階建のビルを転貸目的でYから賃借した。賃料は月五五〇万円、敷金は七二〇〇万円、賃貸借期間は一二年間であった。ところが、Xから右建物を転借したAは、バブルの崩壊後である平...
《解 説》
一 本件は、①県議選挙立候補予定のAの選挙運動者である被告人甲が、AのB村後援会長の被告人乙に現金一〇〇万円を供与し、②その供与を受けた被告人乙は、そのうちから合計七一万円を同後援会幹事長の被告人丙らに供与し、二二万円を自己の用途に費消して、残り七万円を押収され、③被告人丙は、...
《解 説》
一 本件は、肺癌患者に対する放射線治療の当否が争われた事例である。
亡Aは、昭和五九年当時、五二才の主婦であったが、被告Yが運営する国立療養所松戸病院で、肺の腺様嚢胞癌であることが判明した。手術はできない状態であったので、Yの担当医は放射線治療を実施することにして、同年暮(第...
《解 説》
一 X1は、平成三年一月当時、天王中学校の二年生であったが、同校の三年生であったY1、Y2、Y3から、同校内のトイレ内で、殴る、蹴るなどの暴行を受け、その精神的影響から、心因反応を発症し、その治療のため入退院を繰り返さざるを得ない健康状態になってしまった。
そこで、X1とその...
《解 説》
一 Xの先代Aは、昭和二六年までに、Yらに対し、その所有の土地を小作地として賃貸していたものであるが、相続によりその所有権を取得するとともに、賃貸人の地位を承継したXは、平成四年一二月と平成五年一二月、Yらに対し、固定資産税等が増額されたことを理由として、賃料(小作料)を増額す...
《解 説》
Xら四名は、医療法人Yが設置する看護学校を卒業し、Yに就職が内定していたが、いずれも内定を辞退する旨意思表示した。XらはYに対し、文書等により、卒業証明書及び成績証明書の交付を求めたが、Yはこれに応じなかった。Xらは、各証明書の交付を求める仮処分を申し立て、これを認容する決定を...
《解 説》
一 本件は、不法残留中のイラン国籍の被告人が、タイ王国に在留していた実兄と共謀し、営利目的で、あへん約七五〇グラムを国際宅配便を利用して輸入するとともに、関税定率法上の輸入禁制品であるあへんを輸入したという出入国管理及び難民認定法違反、あへん法違反並びに関税法違反の事案である。...
《解 説》
一 本件は、銀行からの借入れにより保険料一時払いの変額保険に加入した原告(X)が、主位的に、①変額保険は銀行融資と一体化して相続税対策とされる場合はもとより、それ自体としても公序良俗に違反する、②その勧誘行為等に照らして公序良俗に違反する、③Xは変額保険の運用のリスクが全くない...
《解 説》
一 木工機械の輸入販売業を営むXは、精密自動多軸かんな盤を機械販売業者であるAに所有権留保特約付きで販売し、Aはこれを木製品の加工販売等を営むYに売却した(実際にはXとAの間にはAの親会社である戊が介在しているが事案を単純化するため捨象する。)。YはXからAに対する売買に先だっ...
《解 説》
XはY医大付属病院眼科の患者が使用する眼内レンズを納入し、見返りに同病院が必要とする器械器具類を無償で提供していたが、平成三年六月に眼内レンズの納入を拒絶された。XはYに対し、①顕微鏡の売掛金九八八万円余の支払いを求めたほか、②眼内レンズの割戻金と器械器具類の代金と相殺する合意...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、紙基材フェノール樹脂銅張積層板の製造販売業者である原告及び同業七社の合計八社が、八社が所属する団体の部会等において、昭和六二年初めころから銅張積層板の販売価格の下落防止、引上げ等についての意見交換を重ねてきたところ、同年六月一〇日、右団体の臨時部会...