《解 説》
一 事故の発生等
Xら夫婦の子A(昭和五一年一月二〇日生まれの男児)は、同年四月一三日(生後八三日目)に国立大学医学部附属病院構内に所在する保育所でうつぶせ寝により睡眠中、仮死状態で発見され、医師の手当てを受けたが、無酸素性脳症による後遺症を残し、同五二年四月一五日、窒息死し...
《解 説》
一 本判決は、遺留分権利者が特定の不動産の贈与を減殺請求した結果取得した共有持分権に基づく登記請求権が消滅時効にかかるか否かについて、最高裁としての判断を示したものである。本判決は、消極の結論を採ったもので、大方の予想に沿うものであるが、学説上・実務上の争点に決着をつけたものと...
《解 説》
一 本件は、診療契約上の債務不履行を理由に損害賠償を求める未熟児網膜症に関する医療過誤訴訟である。一審以来の主要な争点は、昭和四九年一二月に未熟児として生まれたXがYの設営する甲病院の診療を受けた当時、Xに対し定期的眼底検査及び光凝固法を実施すること、あるいはこれらのために転医...
《解 説》
一 A(昭和二五年生)は、昭和四九年四月、大阪府立養護学校の教員に採用され、小学部二年生を担任したが、昭和五〇年一〇月ころ、腰痛を訴え、腰椎分離症と診断され、右腰痛について、昭和五二年一二月二六日付けで「療養の範囲は、急性症状の消退するまでの間とする」との限定を付して公務上の災...
《解 説》
X、Yともコンピューターのシステム及びプログラムの開発を業とする会社であるところ、T電力をユーザーとする水力発電工事管理システムをN社がYに発注し、YがXに右システムの開発業務を代金二八六二万円で委託した。右の代金はXにおいてプログラムを三万五〇〇〇ステップとして見積もった金額...
《解 説》
一 Xは、大正一三年生まれの男性で、昭和五七年ころから証券取引等で生活資金を得ていた者であるが、平成元年九月から同年一一月にかけて、Y1証券会社を通じて、三種類の株式投資信託の受益証券を順次購入し、右代金合計一億六二〇〇万円をY1に対し支払ったところ、右各受益証券の価額は、本件...
《解 説》
Xは集合住宅の区分所有者全員で構成される管理組合であるが、集会の決議に基づき、区分所有者の一人Yに対し、①管理費及び修繕積立金合計一九万四八八〇円並びに外装補修工事負担金一二八万円、②本件の訴訟費用及び弁護士費用等一切の諸経費七〇万円、総計二一七万四八八〇円の支払いを求めて提訴...
《解 説》
一 本件は、共犯者と共謀の上、覚せい剤を営利自的で所持したとされる事案について、第一審が共犯者の証言の信用性を認め、被告人に対して有罪を言い渡したのに対し、控訴審は、共犯者の証言は信用できず、その余の証拠も証拠価値が乏しいとして、事実誤認を理由に第一審の有罪判決を破棄し、被告人...
《解 説》
一 XらはY1の設置する有料老人ホームに入居していた者(契約者一二名、同居者五名の一七名)である。同老人ホームは三重県伊勢市と松阪市のほぼ中間の閑静な地域にあり、二五八室・定員四一三名というかなり大規模な終身利用型(同一施設内介護)のホームとして昭和六〇年一二月に開業した。しか...
《解 説》
Y(前訴の原告、本件の第一審本訴被告兼反訴原告、控訴人兼被控訴人)はX(前訴の被告、本件の第一審本訴原告兼反訴被告、被控訴人兼控訴人)に対し、本件係争地について境界確定を求めるとともに係争地内の建物部分、樹木等の収去及び土地明渡しを求める訴え(前訴)を提起したところ、第一審では...
《解 説》
一 中華人民共和国国有企業法人であるXは、Y(日本の株式会社)を相手方として、同国国際経済貿易仲裁委員会に対して、XY間の合弁契約の履行をめぐる紛争に関する仲裁申立てをした。Yは答弁書を提出したが期日に出頭せず照会回答にも応ずることもしなかったところ、Xの主張を概ね容れた仲裁判...
《解 説》
Aは平成元年一二月九日に死亡し、相続人として子ら九名(代襲相続人を含む)がいたが、二女Bのみに遺産の全部を相続させるとの遺言が存在した。Bは、相続税の申告と延納許可申請手続をC税理士に委任し、税務署長から延納許可を得ていた。しかし、長女X1、五男X2、六男X3の希望により遺産分...
《解 説》
一 Xは、大手商社系列のスーパーマーケットの専務取締役で、昭和六一年暮にY証券会社に取引口座を開設して以来、多数回にわたって株式やワラントの売買を行なっていたが、購入したN社の株式が平成二年五月頃には半値近くまで下落して約七六〇万円程度の損失を生じていたため、Yの支店の担当者で...
《解 説》
一 大手予備校を経営する学校法人であるYに勤務するXらは、平成五年一二月一八日、午前中の勤務終了間際である午前一一時三〇分頃、同日午後の半日年休を請求・取得し、Xらの所属する労働組合の津田沼分会における組合活動に従事するなどした。
Yは、平成六年一月二五日になり、Xらに対し、...
《解 説》
一 本判決は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法という)に基づく退去強制手続によりタイ国へ強制送還された者の検察官に対する供述調書の証拠能力が争われた事案についての最高裁判決である。
本事案は、売春クラブの経営者AとマネージャーB及びCが共謀の上、タイ人女性一四名、日本人...
《解 説》
本件事案の概要は次のとおりである。
訴外A(女性、昭和三四年四月八日生)は、平成四年一月二二日午後五時五〇分ころ、分娩誘発目的のため、被告Y1医療法人が開設するB産婦人科医院に入院し、翌二三日午前一一時、女児を出産したが、その直後から大量の出血が始まったため、同日午前一一時二...
《解 説》
一 本判決は、いわゆる調布駅前傷害事件に関する最初の判決である。
本件の経緯は、これを要約すると、当時一八歳の少年であった被告人は、他の少年らと共謀の上、調布駅前において、五名の被害者らに対して共同で暴行を加え、うち一名に対して傷害を負わせたとして、東京家庭裁判所八王子支部に...
《解 説》
一 本件は、塗装業を営むXに対する青色申告承認取消処分の適否が問題とされた事案であり、その概要は次のとおりである。
調査官は、X宅に臨場すると和室に通された。Xは、和室内に帳簿類を用意していたが、調査官は、隣室にT(Xの友人であり、かつXが所属する任意団体員)がいるのを認めた...