《解 説》
本件は、市立高校の文化祭において警備などの職務に従事していた同校講師であった原告が、来校者から暴行を受けて傷害(右眼球破裂失明)を負ったことによる損害の賠償を、被告市に対して、安全配慮義務違反あるいは国家賠償法一条に基づき請求した事案であり、主たる争点は、同校の教職員らに結果発...
《解 説》
一 本件は、Xら所有土地(Xら土地)の隣接地(本件土地)所有者から本件土地の宅地造成工事を請け負ったY3がY1に対して給排水等土木工事を下請させたところ、Y1の工事(本件工事)によりXら土地上の建物(Xら建物)が傾くなどの被害(本件被害)が発生したとして、XらがY1に対し一般不...
《解 説》
一 本件は、北海道ニセコ国際ひらふスキー場で滑走していた当時二六歳の主婦Xが、当時一八歳の大学生Yと衝突して転倒し、左腓骨骨折、脛骨高原骨折、頭部打撲等の傷害を負い、約三箇月の入院治療を要したとして、不法行為による損害賠償として五五〇万円余の支払を請求した事案である。
事故の...
《解 説》
一 Xは、Sに対する貸金債権の回収が滞ったため、連帯保証人であるAの所有物件につき強制競売の申立てをした。Y信用組合も、Sに対して貸金債権を有し、右Aの被相続人(父)から右物件につきSのために信用組合取引による債権等を被担保債権とする根抵当権の設定を受けていたため、債権届出をし...
《解 説》
Xは医師であるが、平成元年三月以降、大手証券会社であるYとの間でワラント取引を行ったが、ワラントの取引期限が経過したことなどにより合計二億三二六八万円余の損害を被った。Xは、Yの社員らがXに対し、ワラント取引の危険性について説明せず、「絶対にもうかる」などと言ってワラント取引を...
《解 説》
X(妻)はY(夫)に対し、夫の女性関係、暴力及び精神病による長期療養を理由に離婚を求め、併せて子らの親権者をXと指定すること、慰謝料五〇〇万円の支払及びX所有建物の敷地であるY名義の土地(宮坂の土地)の分与を求める本訴を提起した。これに対しYは、XがYを強制入院させ、入院期間中...
《解 説》
亡Aの子として、長男Y1、長女B、次女Y2、三女Cがいるが、弁護士であるXは、CからAに対する訴訟(Cの敗訴後、控訴審で訴えが取り下げられた)、BからAに対する訴訟(後にYらが承継した。一審、二審ともBは敗訴した)、CからYらに対する訴訟(Cが一審では勝訴、二審では敗訴した)に...
《解 説》
本件は、住宅街に二〇台程度を収容する相当規模の大きい駐車場を作ろうとしている者に対し、近隣住民が交通上危険であり、騒音や排気ガスのために迷惑を被るとして反対運動を展開した中で生起した事件である。原告らは、住宅地のバス通りに接続する一方通行の道路に面して建てられている一群の一戸建...
《解 説》
一 本件は、Xが、Yが訴外保険会社からローンを利用して金員を借り入れた際、Yの連帯保証人となったが、Yについて期限利益喪失の事由が生じたことを理由にYに対して事前求償権を行使して、ローンの残元金及びこれに対する支払済みまでのローン契約の約定遅延損害金の支払を求めたものであり、事...
《解 説》
一 X1(訴訟中に死亡)及びその子であるX2、X3は、同一世帯を構成し(X1の妻は訴訟提起直前に死亡した。また、X1夫婦の長男は別世帯として独立している。)、X1において生活保護費を受給していたが、学資保険を保有し、その満期返戻金を受領したことが判明したため、Y1福祉事務所長は...
《解 説》
一 X1は、昭和五九年一〇月、Yの経営する産婦人科医院で男児X2を出産したが、元気がなく、母乳を全然飲まず、体重も減少傾向にあった。
しかし、医師から、「泣いているので大丈夫です」などと言われたので、X1は、X2とともに退院したが、退院後も母乳を飲む量は少なく、便も尿も出なく...
《解 説》
Xはオートレース場の清掃、警備請負等を目的として昭和五一年三月に設立された株式会社であるが、その取締役であったYら三名が競業会社Aの設立に関与し、従業員多数を引き抜き、Xの得意先を奪ったとして、取締役の忠実義務及び競業避止義務違反によりYらに対し総額一億〇三五五万円余に及ぶ損害...
《解 説》
一 本件は、被告人が自己の会社から銀行支店に対して行う協力預金の資金をノンバンクからの融資に仰ぐこととし、かつ融資の担保としてノンバンクのため右協力預金につき質権を設定することをノンバンクに約したが、銀行支店職員と共謀の上、右預金に質権を設定する意思等がないのにあるように装って...
《解 説》
一 本件は、不動産仲介業者であるXが、Xの仲介により居住用土地建物を買ったYに対し、仲介手数料の支払を求めたのに対し、Yが、売買代金は金融機関の融資金によって賄う予定であったため、融資が受けられないときは売買契約を解除できる旨のいわゆる「ローン条項」を右売買契約に付していたが、...
《解 説》
一 本判決は、月刊誌の記事について、取材が不十分であったとして、五〇〇万円の損害賠償と当該出版物への謝罪広告の掲載を命じたものであるが、損害賠償額がメディアに対するものとしては高額であること、自社の媒体に謝罪広告を掲載することを命ずる場合に、広告の趣旨のみを示し、その他の細目は...
《解 説》
一 Xは、昭和二三年六月から昭和五三年一月まで、興国人絹パルプ株式会社の八代工場で勤務していたものであるが、昭和五七年一一月慢性二硫化炭素中毒症と診断されたため、同年一二月、Y(労基署長)に対し、労災保険法に基づく療養補償給付の支給を請求したが、右疾病は業務上の事由による疾病と...
《解 説》
一 本件は、長崎地判昭62・11・27本誌六六七号一一五頁の控訴審判決である。事案を要約すると次のとおりである。XらはY長崎造船所の造船現場部門及び機械現場部門に所属するYの従業員であった。Y長崎造船所の従業規則では、①一日の労働時間は八時間(始業時刻午前八時、終業時刻午後五時...
《解 説》
本件は、土地の競売に際し、裁判所が法定地上権が成立するとして最低売却価額を八七五〇万円と決定したのに対し、債権者Xが法定地上権は成立しないとして右決定の取消しを求める旨執行異議が申し立てられた事案である。
裁判所が認定した事実経過はおよそ次のとおりである。
平成二年三月、債...