《解 説》
一 本件事案の概要
本件は、種痘の後遺障害と予防接種実施規則四条(昭和四五年厚生省令第四四号による改正前の昭和三三年厚生省令第二七号)の禁忌者推定に関する最二小判平3・4・19民集四五巻四号三六七頁、本誌七五八号一一八頁による破棄・差戻後の控訴審判決であり、いわゆる小樽種痘禍...
《解 説》
Xは、A社との間で土地建物三か所(二県にわたり、各地において複数の住居と店舗を有する)を代金一七億六五〇〇万円で一括購入する契約を結び、A社に手付金及び中間金として合計五億五六〇〇万円を支払ったが、A社が倒産し、売買契約の履行が不可能となったため、契約を解除して、Aに対し手付金...
8 複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び侵害終了後になおも一部の者が暴行を続けた場合において侵害終了後に暴行を加えていない者について正当防衛が成立するとされた事例
(最高裁第3小法廷平6・12・6判決)
《解 説》
継続的取引により生ずる債務を根保証した者が、同一の債務につき物上保証人となって根抵当権を設定した場合の、根保証限度額の約定についての当事者の意思解釈が問題となった事案である。
Yは、主債務者の元妻であり、主債務者の経営するコンビニで従業員として働いていたが、主債務者が従前から...
《解 説》
一 Xは、株式会社Aの代表取締役としてその経営を行っている者であるが、Aの滞納法人税につき徴収不足が生じたところ、これはAが自己の預金等をXに無償譲渡した結果であるとして、Yから国税徴収法(以下「徴収法」という。)三九条に基づき第二次納税義務の納付告知がされたので(以下「本件処...
《解 説》
一 旧民訴法六三三条は「期日ニ於テ異議ノ完結セサルトキハ異議ヲ申立テタル債権者ハ他ノ債権者ニ対シ訴ヲ起シタルコトヲ期日ヨリ七日ノ期間内ニ裁判所ニ証明ス可シ其期間ヲ徒過シタル後ハ裁判所ハ異議ニ拘ハラス配当ノ実施ヲ命ス可シ」と規定するのみであり、起訴証明をすべき相手方及びこれをしな...
《解 説》
一 本判決は、三歳七か月の男児が市の管理する公園内の池に転落死した事案について、国家賠償法二条一項の市の責任を否定した一審判決を取り消して二九〇〇万円余りの賠償を命じた高裁判決である。
争点は、①公園の設置・管理に瑕疵があったといえるか、②男児の監護を委託されていたその母の叔...
《解 説》
一 本件は、酒類の販売を目的として設立された有限会社の原告が、被告(税務署長)に対し、酒税法九条一項に基づき酒類販売業の免許を申請したところ、原告につき酒税法一〇条一〇号に規定する「経営の基礎が薄弱であると認められる場合」に該当するとして免許拒否処分(以下、「本件処分」という。...
《解 説》
一 X1は在日外国人を構成員とする政治団体であり、X2は朝鮮国籍の在日外国人である。平成四年七月施行の参議院議員選挙に当たり、X1は比例代表選挙の当選人順位を記載した名簿の届出、X2は選挙区選挙の立候補の届出をそれぞれ行なったところ、各選挙長は、Xらの届出書に名簿登載者及びX2...
《解 説》
一 本件は、台湾の住民である被告人が、日本人Aが台湾から日本国内に覚せい剤を密輸入するに当たり、Aの依頼を受けて、台湾国内において、同じく台湾の住民であるBとともに、覚せい剤を入手してAに交付して幇助した行為(第一の犯行)、及び被告人がBとともに台湾から日本国内に覚せい剤を密輸...
《解 説》
一 X(被控訴人)は、Y(控訴人)に対して土地を再売買予約付で売買した。Xは、右土地の所有権移転登記手続及び引渡請求訴訟を提起して、予約完結の意思表示を公示の方法により行い、勝訴判決を得たところ、Yに対する送達はすべて公示送達によって行われたが、Yは訴訟提起及び判決があったこと...
《解 説》
Yは木造二階建の本件建物の一階北側部分(本件店舗)をXから賃借してスナックを経営していたところ、Xは、本件建物の南側に隣接するビルからの火災で本件建物が焼失して滅失したと主張して、主位的に建物の滅失、予備的に解約申入れを理由とする賃貸借契約の終了に基づき、本件店舗の明渡しを求め...
《解 説》
一 事案の概要
Xが持ち帰り弁当の製造販売に関するフランチャイズチェーンの本部であるYへ加盟の希望をしたところ、Yから予定店舗で営業した場合の売上予測を示された。Xは、これを信頼し、右フランチャイズチェーンへ加盟し、本件店舗の営業を開始したが、実際の売上げは右売上予測を下回り...
《解 説》
X1は、殺人等の罪により起訴され、死刑判決が確定した者であるが、判決確定直前にX2、X3を養親として養子縁組をし、その後、X2らが拘置所長に接見、差入れ、信書の発受の許可を何回か求めたが、拘置所長は、X1とX2らとの接見交通を一切認めないとの方針に基づき、これらを拒否した。そこ...
《解 説》
一 事件の概要
本件は、鉱業等を目的とするY社の従業員として伊王島炭鉱等で石炭採掘等の業務に従事していた労働者二二名がじん肺に罹患したことにつき、右労働者又はその相続人であるXら合計三二名からYに対し、安全配慮義務違反を理由に包括一律請求として労働者一名当たり三三〇〇万円の損...
《解 説》
一 昭和五二年ころ来日した反訴被告(カナダ人)は、昭和五六年五月、反訴原告(日本人)と日本法に従って婚姻の届出をし、日本において婚姻生活を始めた。昭和五九年五月、反訴原告と反訴被告は長男を連れてカナダに渡ったが、平成元年ころから両者の夫婦仲は次第に亀裂を生じ、反訴被告と反訴原告...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次の通りである。
Xら二名(夫婦)の土地につき、駐留米軍用地として使用するため、「日本国とアメリカ合衆図との間の相互協力及び安全保障条約六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用に関する特別措置法」に...
《解 説》
1 本件は、脊椎手術によって下半身麻痺になった者に関する手術の手技や、医師の説明義務等が問題となった事例であって、原審は仙台地判昭61・4・10本誌六一六号一二二頁である。
X1は、三五才であった昭和四九年当時、下肢の異常でYの国立仙台病院を受診したところ、脊髄腫瘍と診断され...