《解 説》
一 本件は、日赤医療センターに入院中のXが、平成三年七月、裸足にサンダル履きで地下一階に降り、そこの売店で食料品と新聞を購入して病室に帰るため、院内に設備されたエレベーターに乗り込もうとしたところ、扉が閉まり扉と扉の隙間に右足先を挟まれ、足指挫傷の傷害を負ったため、右受傷はエレ...
《解 説》
一 XはAと婚姻中に、Yの妻Bと同棲していたが、Aは、Bに対しAX間の婚姻関係を破壊したとして損害賠償請求事件を、Yに対しては、YはBの右不法行為を積極的に容認したとして損害賠償請求事件を各提起したところ、Yは、Xが、Yと別居中であったBに対し暴力を使って同棲生活を強要してYB...
《解 説》
一 事案の概要等
Xは、共同相続した本件不動産を、いわゆる代償分割により、他の共同相続人に合計三〇〇万円を支払って単独取得したが、その後、本件不動産の一部を売却し、その際、右代償金(そのうち売却部分に相当する額。以下「本件代償金」という。)とその支払のために銀行から借り入れた...
《解 説》
一 農地(二筆)の時効取得の成否が争われた事案。すなわち、本件土地は原告の父Aが被告の先代Bから戦前より小作し、昭和二二年一二月三〇日受付でBから被告の弟Cへ(登記原因は昭和一八年三月一日贈与)、昭和五六年九月七日受付でCから被告へ(登記原因は同年八月一日売買)各所有権移転登記...
《解 説》
一 禁治産者の後見人がその就職前に禁治産者の無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かが争われた事件である。
意思無能力者について、家裁による後見人の選任手続を経ないまま、近親者が事実上法律行為をし、その後右法律行為をめぐって紛争になるという事...
《解 説》
1 本判決は、腎炎等の治療の目的で、医師からクロロキン製剤を投与された結果、その副作用によって、クロロキン網膜症に罹患した患者本人及びその相続人、家族ら(Xら)が、国(Y)、製薬会社六社に対し、不法行為等を理由に損害賠償を求めたいわゆるクロロキン薬害第二次訴訟の控訴審判決である...
《解 説》
一 X1は、平成三年一二月、Yの経営するガソリンスタンドにおいて、灯油と誤ってガソリンを買い求め、自宅まで運搬されてきたガソリンを石油ストーブに給油して点火したところ、ガソリンが内圧の上昇によりオーバーフローして引火し、マンションの内部を焼損するに至った。
そこで、X1とその...
《解 説》
一 X1は、昭和六三年五月、Y保険会社との間において、その所有する木造二階建家屋と同家屋内の家財道具一式について保険金二〇〇〇万とする火災保険契約を締結していたところ、昭和六三年六月一九日、右家屋と家財道具一式が火災により全焼したので、Yに対し、火災保険金二〇〇〇万円の支払いを...
《解 説》
一 本判決は、化粧品の販売会社である控訴人が、対面販売を行っていないことを理由として小売業者(チェインストア)との特約店契約を解除し、化粧品の出荷を停止した事案について、右解除が無効であるとして、注文にかかる化粧品の出荷を命じた原判決(本誌八三三号二二三頁)を取り消し、小売業者...
《解 説》
一 鉄鋼関係の下請会社を経営するXは、知人に紹介された証券会社Yの外務員Aを介して昭和六三年秋頃から株式取引を始めたが、概ね数百万円最大で四〇〇〇万円の現物株式投資を一〇回ほど繰り返した後の平成元年四月、Aから株式会社神戸製鋼所発行の新株引受権証券(ワラント)時価約三五〇〇万円...
《解 説》
一 本件は、渋谷区円山町のいわゆるラブホテル街に新たにホテルを設置しようとする原告が旅館業法(以下「法」という。)三条に定める経営許可の申請をしたところ、被告が、右ホテルの設置場所から約四〇メートルほどの場所に同条三項三号及び東京都旅館業法施行条例二条一項四号に規定する施設とし...
《解 説》
一 本判決は、講談社が出版、発行する週刊フライデー、週刊現代その他の雑誌に、宗教法人幸福の科学及びその主宰である大川隆法に関する一連の記事が掲載されたことについて、九州・沖縄地区の幸福の科学の正会員(信者)らが、講談社、その代表者、各誌の編集者、記事の執筆者らを相手として、福岡...
《解 説》
一 本件は、法人税法違反の事件であるが、所得を秘匿するために要した費用を損金の額に算入することが許されるかどうかが争点となった。一般に、このような費用については、脱税のための費用という意味で、脱税経費という言葉を使われているようである。
二 法人税法において、脱税経費の損金性...
《解 説》
一 本件は、派出所に電話をかけてきた被告人の異常な言動等から、覚せい剤使用の嫌疑を抱いた警察官が、被告人運転車両のエンジンキーを引き抜き取り上げるなどして、被告人による運転を阻止し、任意同行を求めて約六時間半以上にわたり被告人を道路上に留め置いた上、尿を強制採取するための捜索差...