《解 説》
本件は、訴訟費用(通訳費用)の負担を命じられた外国人が、検察事務官から右訴訟費用の納付告知書を送付されたので、刑訴法五〇二条の裁判の執行に関する異議を申し立てたものである。裁判所は、右申立ては不適法であるとした上、通訳費用の負担を命じることは、「市民的及び政治的権利に関する国際...
《解 説》
Xは、元警察官であり、強盗殺人罪により死刑判決を受け、上告取下げにより確定した者であるが、Yの発行する週刊誌にXが警察共済組合から退職年金を受給していたことに関する記事が掲載された。Xは、①右受給事実、②受給月額、③毎月の書籍講読料の支出の摘示は、Xのプライバシーを侵害するもの...
《解 説》
一 事案の概要
Xは別訴の書証として提出するとの理由でYに対し、Aの本籍と続柄を省略しない住民票の写し、戸籍謄本、戸籍の附票の写しの交付請求をした。甲市市長であるY1は、住民票についてはAの住所、氏名、年令及び性別のみを記載した写ししか交付できないとして拒否し、戸籍謄本、戸籍...
《解 説》
一 本件は、付近住民が、暴力団組長を相手方として、建物を組事務所として使用することの禁止等を求めた仮処分について、これを却下した原決定を取消し、差戻した抗告審決定である。
原審と抗告審との結論を分けたのは、抗争の切迫性に対する評価の差異に基づくと推測されるが、本決定は、暴力団...
《解 説》
一 本件は、埼玉県議会議員で同議会内の会派の一つである自由民主党議員団(以下「自民党議員団」という。)に所属している被告人が、同じ会派に所属する五名の同僚議員に対して合計六四〇万円の現金を提供した行為につき、間近に予定された同議会議長選挙に際し、自己を自民党県議団の議長候補者と...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。
大韓民国(以下「韓国」という。)籍を有するAは、韓国籍を有するYと日本国内で婚姻し、二年余の婚姻生活の後に夫婦関係が破綻して別居するに至ったが、夫Yが行方不明となったため、離婚届は提出しないままでいたところ(なお、Yの韓国戸籍には、Aとの...
《解 説》
本件は、自動車事故による業務上過失致死傷被告事件について、訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる注意義務及び過失を認定したことが違法とされた事例である。
本件公訴事実(原審における訴因変更後のもの。以下、「本位的訴因」という。)は、被告人が自車を時速九〇ないし一〇〇キロメート...
《解 説》
本件は、金融機関の管理職の立場にあった者に対する懲戒解雇が権利の濫用に当たるかどうかが争われた事案である。
本判決認定事実によると、原告は、大手損害保険会社の自動車営業課の課長であったが、積立保険契約を紹介してもらうことを目的に、銀行に対して個人名義の預金を設定し、そのために...
《解 説》
一 昭和六一年一一月末、日本共産党国際部長の自宅に繋がる電話線に、何者かが工作を施し、一〇〇数十メートルほど離れたアパートの一室から同部長宅の通話を盗聴できる状態を作り出していたことが判明した。
当時、マスコミ報道等では、右盗聴工作の「犯人」として、神奈川県警察所属の複数の警...
《解 説》
一 Xは、明治二〇年に創業の大手繊維・化粧品等の製造販売会社であり、訴外Aは、Xの代表取締役会長であり、かつ、日本航空の会長であったが、Y1は、その発行する「週刊新潮」(昭和六一年六月一九日号)に、「『日航』A会長が、『威を借りる虎』の名」と題する特集記事を掲載し、それまでのX...
《解 説》
一 Xは、平成二年四月、Yの経営する「真名子カントリークラブ」に入会し、入会保証金として一〇〇〇万円を預託したが、Yは、(一)約定に反し開場以来約二〇年間にわたって名義書換停止措置を取り続け、また、(二)約定に反してさくらコースを全面的に改良しないとし、右は会員契約上の債務不履...
《解 説》
個人で芸能プロダクションを経営するXは、歌手志願のY女との間で平成二年四月、期間を一〇年間とし(但し、Y側では一年契約と主張する)、出演料を一か月二〇万円とする芸能関係契約を締結した。Yが所定の出演を何回かしなかったため、Xは同三年五月に契約解除の意思表示をし、Yに対し、その育...
《解 説》
一 XはY学校法人の理事会決議無効確認の本案訴訟を提起しているものである。本件は、そのXが、Yに対して、①学長選考委員会の会議議事録及び事務局が作成した会議の進行・内容に関するメモ等について、民事訴訟法三一二条三号に当たる文書であるとして、同法三一四条に基づき、②同委員会の会議...
《解 説》
一 本件は、被告人が覚せい剤約三三〇・八五グラムを営利目的で所持したという事案において、右覚せい剤が違法収集証拠であるとしてその証拠能力が争われたものである。すなわち、右覚せい剤の発見押収の経過は、捜査官が、被告人の内妻に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき、同女及び被告人が...
《解 説》
一 Y(滑川市)は、昭和三二年にXの先代のAから本件農地を具体的な使用目的を定めないまま買い受け、代金全額を支払ったが、右農地については昭和三七年に所有権移転仮登記を経由するにとどめ、引き続きAの占有に任せていた。その後、昭和四六年にAが死亡して、Xが本件農地を相続し、占有も承...
《解 説》
一 Y会社は、訴外A会社に二一二五万円を貸し付け、Aの代表取締役であったXは、これを担保するために、Yとの間にB会社の株式をYに譲渡する旨の譲渡担保契約を締結し、Yに株券を交付した。Xは、Yに対し、被担保債権の弁済を受けるのと引換えに本件株券を返還するよう求めて、本訴を提起した...