《解 説》
本件は、アルツハイマー病に罹患し徘徊がひどく、犯行当日も警察に保護されて自宅に戻ってきた母親が、なかなか家に入らなかったため、被告人において同女を家の中まで引きずったり足で蹴るなどの暴行を加え、死に致した事案である。
裁判所は、被告人の妻も精神的に異常をきたしており、被告人が...
《解 説》
本件は、X及びYを含む亡Aの相続人らが、Aの遺産に関して遺産分割協議の上、遺産分割調停事件において調停が成立するに至ったが、右X及びYらは、右調停を前提とする相続税の申告にあたり、右調停によって各自が取得ないし負担した遺産の項目を調整し、実際にはXが負担した債務についてXの申告...
《解 説》
Xは大工左官道具の販売等を業とする者であるが、肩凝りを治すため、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の免許を有するYのもとを訪れ、Yから脊椎整体術様手技を受けたところ、歩行困難等の運動機能障害などの症状を発症したと主張し、Yに対し、休業損害、逸失利益、慰謝料等、総額三八四八...
《解 説》
判示事項一について
判示事項一は、覚せい剤取締法違反被疑事件につき、捜索場所を「甲方居室」、差し押さえるべき物を「取引メモ、電話番号控帳、覚せい剤の小分け道具」とする捜索差押許可状の執行の現場において、その場に現在する乙が両手をズボンのポケットに突っ込んだままという異常な挙動...
《解 説》
一 本判決は、大阪府堺市内の繁華街のビル共同便所で、小学二年生の女児を強姦し殺害した容疑で起訴された被告人に対し、無罪を言い渡した一審判決には事実誤認があるとして破棄自判し、被告人を懲役二〇年に処した控訴審判決である(なお、併合審理された恐喝未遂の事実についても、脅迫罪が成立す...
《解 説》
本件は、株式会社角川書店の社員がコカイン約七八グラムを本邦内に密輸入しようとして成田空港で逮捕されたという麻薬及び向精神薬取締法違反等事件の関連事件であって、角川書店社長(当時)の愛人であった被告人について、右麻薬密輸入の共謀共同正犯の成否が争われた事案である。
本判決は、被...
《解 説》
本件は、香港在住の被告人(A)他二名(B、C)が失業中で金銭に窮していたなどのため、Cが以前働いていたことのある被害者宅に強盗に入ることを企てて香港から来日し、それぞれ刺身包丁一丁を携帯して被害者宅に入り家人を脅したり紐で縛るなどして金員を強取しようとしたが、家人に騒がれて金員...
《解 説》
一 本件は、登記された二個の区分所有建物から成る一棟の甲建物について、滅失の事実がないのにその旨の滅失の登記がされて登記用紙が閉鎖された後、更に別の乙建物として表示の登記及び所有権保存登記がされた場合において、甲建物につき登記を経由していた根抵当権者が、根抵当権に基づく妨害排除...
《解 説》
一 本件は、信用金庫の支店長であった被告人が、個室付浴場業者からソープランドの開業資金の融資を申し込まれ、昭和六二年三月二五日に一〇〇〇万円を貸与したが、平成元年七月一九日右業者が右ソープランドで売春婦らが売春することを知りながら業としてその場所を提供したという売春防止法違反(...
《解 説》
本件は、不正競争防止法に基づく損害賠償請求権や民法七二三条に基づく謝罪広告請求権、不当利得返還請求権の消滅時効の成否が問題となった事案である。
事案の概要は、次のとおりである。
X及びY2は食糧加工機械等を製造販売する会社、Y1はY2の代表取締役、Y3は食糧加工機械等の工業...
《解 説》
一 本件の概要
1 本件は多数の請求が併合されているが、その主要事件(A事件という。)は、弁護士である原告Xが顧問先の株式会社から委任を受けて、当該会社の増資事務を処理し、これに伴い株式会社変更登記の登記申請を代理して行ったところ、被告埼玉司法書士会Yの会長が、「このような登...
《解 説》
一 事実経過
本件は、日韓地位協定に基づく永住資格を有する在日韓国人女性ピアニストXが米国に留学するため法務大臣Y1に対し、再入国許可の申請をしたところ、Y1はXが外国人登録法一四条に基づく指紋押捺を拒否していたことを理由に不許可処分を下したため、その適否を争って提訴した事案...
《解 説》
原判決は本誌八二七号九一頁に掲載されており、本控訴審判決はこれをほぼ全面的に引用して控訴を棄却したものである。
事案は、平成二年六月一七日、上野公園水上音楽堂で「今こそ安保をなくそう六・一七集会」と題する集会の開始前、弁護士である原告(被控訴人)が警察官による職務質問や所持品...
《解 説》
一 本件は、公立中学校における生徒間のいわゆる「いじめ」が原因となって自殺した少年Aの父母X1、X2から、学校の設置者であるY2区に対しては在学契約又は国家賠償法一条一項に基づき、学校の費用負担者であるY1都に対しては同法三条一項に基づき、いじめをした少年B、Cの父母Y3ないし...
《解 説》
Y漁業協同組合においては、平成二年八月三〇日、通常総会において漁業権の一部放棄の特別決議を行い、その直後、緊急動議により漁業補償等の交渉に当たってきた交渉委員を漁業補償金の配分委員とするとの執行部案が提出され、出席正組合員六二名中、執行部役員八名を除き、三一名の賛成多数により可...
《解 説》
一1 本件は、被告が反面調査によって把握した原告の売上金額に同業者の平均算出所得率を乗じて事業所得金額を推計してした昭和五九年ないし昭和六一年分(以下、本件係争各年分という)の各所得税更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下、本件各処分という)につき、原告がその取消を求...
《解 説》
一 Xら一三名は、いずれもY(東京電力株式会社)の従業員である(但し、一名は訴訟中に死亡したため、相続人が承継した。)。本件は、Xらが、日本共産党員または同党支持者であることを理由に、Yから、仕事上及び私生活上の種々の差別ないし人権侵害を受けてきたと主張して、Yに対し、主として...