《解 説》
一 土地及び地上の建物が同一の共有者の共有に属する場合に、一人の共有者の土地の持分のみ競売され第三者に帰属するに至ったときに、民事執行法八一条の規定による法定地上権の成立を否定した最高裁の判例である。
事案は次のようなものである。被告(甲)は、土地とその上の建物を姉(乙)と共...
《解 説》
一 事案の概要
債務者大井隆一は、自己所有の本件建物を第三債務者㈱クボタに賃貸していたが、債務者大井の債権者である被告㈱アイチ(控訴人)は、執行力ある公正証書に基づき、債務者大井の第三債務者㈱クボタに対する賃料債権につき差押命令を申し立て、執行裁判所は、平成三年六月三日、右賃...
《解 説》
一 本件は、スナックを経営する被告人が店内にビデオカラオケ装置を設置して、著作権者に無断で、レーザーディスクカラオケ(カラオケ伴奏を流すとともに曲のイメージに合った影像と歌詞をモニター画面上に映し出すビデオソフトウェアー)を再生し、客にそのカラオケ伴奏により歌唱させた行為が著作...
《解 説》
我が国にいわゆる就学ビザを受けて入国し、当初日本語の勉強をした後、デザイン専門学校においてインテリアデザインを勉強してきた中国国籍の女性が、妻子ある日本男性と知り合って、男女の関係となり、その男性の子を出産するに至った。男性は、その子の出生前に認知をしているが、その後女性と疎遠...
《解 説》
本件の一審裁判所は、簡易公判手続によって審理をした上、被告人に有罪判決を言い渡したが、その判決書では、証拠の標目として、単に「記録中の証拠等関係カード記載の証拠をここに引用する」と記載しただけであった。本判決は、その控訴審の判決であるが、この点について職権で判断を加え、一審判決...
《解 説》
本件は、有印私文書偽造等の被疑事実により逮捕・勾留され、公正証書原本不実記載・同行使の罪で罰金刑の略式命令を受けたものの、その他の被疑事実については不起訴処分となった原告が、その間に北朝鮮スパイとして新聞報道され名誉を毀損されたとして、右記事を報道機関に配信した通信社である被告...
《解 説》
亡A(七〇歳)は、昭和六二年七月八日午後四時三〇分ころ、約二メートル下の河原に転落して左胸腹部、頭部、左腕を打撲し、同日午後五時七分ころ、救急車でY1経営の救急病院に搬入されY1の診察を受けた。Y1は、亡Aについて、左第一〇肋骨にずれのない亀裂骨折が認められる以外に内臓には異常...
《解 説》
一 本件は、Y設置の新居浜商業高等学校において、暑熱環境下でのバスケットボール部のクラブ活動の練習中により、脱水、熱中症状を来たして急性心不全により死亡した女子生徒Aの両親であるXらが、右死亡事故は、同クラブ活動の指導を担当したB教諭が練習中の生徒の心身の状況に応じた適切な措置...
《解 説》
本件は、東京都区内を走っている環状六号線道路を拡幅し、その地下に自動車専用道路と地下鉄を走らせる都市計画事業のうち、道路拡幅事業と自動車専用道路建設事業(以下「地下道路事業」という。)に関し、都市計画法(平成三年法律第三九号による改正前、以下「法」という。)五九条に基づいて建設...
《解 説》
Mが本件建物を所有していた当時、Xは本件建物に第一順位、Yが第三順位の抵当権の設定を受けていた。Mはその後、敷地である本件土地の所有権をも取得し、右敷地についてYが第一順位、Xが第二順位の抵当権の設定を受けた。本件土地建物について不動産競売手続が開始され、執行裁判所は、本件建物...
《解 説》
一 本件は、Xが一般の通行の用に供されているYらの所有の土地について通行権(通行地役権・通行の自由権)確認を求めるとともに、通行に妨害となる行為の禁止を求めた訴訟である(請求は、主位的請求から四次的請求まである)。
Xは請求の根拠として、①通行地役権設定の合意があった、②使用...
《解 説》
本件は、Y1の運転する大型貨物自動車に追突された普通乗用自動車が道路の側溝上に横転し、脱出しようとしたXが、側溝に転落して腰髄損傷等の傷害を負い、下半身の運動・知覚麻痺等の後遺障害が残存したとして、Y1及び運行供用者であるY2に対して、民法七〇九条ないし自賠法三条に基づく損害賠...
《解 説》
一 Xは、平成元年二月当時、京都市立山ノ内小学校の四年生であったが、同月二日、教室内において、掃除のため机と椅子を移動させていたところ、暖房用ガスストーブのゴムホースに足を取られて体のバランスを崩し、ストーブの上の金ダライに触れたため、熱湯をかぶって熱傷を負った。
そこで、X...
《解 説》
一 Xは、Yの不動産につき仮差押命令の発令を受け、その執行として強制管理の申立てをした。執行裁判所は、右申立てに基づき強制管理開始決定をするとともに弁護士であるAを管理人に選任し、その後、Aに支給すべき報酬を初回の平成五年一一月は月額八万円、同年一二月以降は月額五万円とするとの...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤の自己使用事犯について、尿の採取過程に令状主義を没却する重大な違法があって、検察官が申請した右尿の鑑定書には証拠能力がないとしてこれを却下し、被告人を無罪とした原判決(本誌八〇九号二三〇頁)に対する控訴審判決である。
二 本件判決によると、本件事案の概要は...
《解 説》
本件は、使用者が労働組合に対し、違法争議行為を理由とした損害賠償を求めた事案である。すなわち、遊技場等を経営する会社Xが、Xの従業員の一部によって組織されている組合支部Yとこの上部組織Yとを相手に、Xが右営業のために所有しているビルの正面玄関等にYらが争議行為の一態様として多数...