《解 説》
一 本件は、平成三年七月一一日午前一〇時に破産宣告を受けた会社Aの破産管財人であるX(原告)がY(被告)に対し、Aの設定した根抵当権につき破産法七二条一号又は四号による否認を理由として、右根抵当権設定登記について否認の登記手続を求めたものである。
Aは、Yとの間で、平成三年六...
《解 説》
一 本判決は、日本赤軍に所属する被告人が、昭和四八年と五二年の二回にわたって日航機をハイジャックし、その結果として、超法規的措置として受刑者など六名が釈放されたことから、事件発生当時、社会の耳目を集めた事件の第一審判決である。
二 本判決が認定した犯罪事実の要旨は、以下のとお...
《解 説》
一 本件の経過は大要次のようなものであった。
1 X3、X4は昭和六二年一月二二日(以下、年の記載を省略するときは同年を指す。)暴力行為等処罰に関する法律違反の被疑事実で警視庁新宿警察署に逮捕された被疑者であり、二月一二日までX3は新宿署の留置場に、X4は中野署の留置場にそれ...
《解 説》
一 本件は、胎児摘出処置のため入院していた妊婦が子宮破裂により失血死した事案につき、妊婦が激しい腹痛を訴えていたにもかかわらず胎児摘出処置にともなう痛みにすぎないと軽信して診察を怠った点に産婦人科医師らの過失を認めた事案である。
二 訴外亡A子は、昭和六二年八月一八日、第二子...
《解 説》
本件は、被告人が急性覚せい剤中毒に陥って救急車で病院に搬入され、病院からの通報により来院した警察官が被告人から事情聴取をして尿の任意提出を受け、これを鑑定に付したところ覚せい剤が検出されたことから、被告人を覚せい剤使用容疑で逮捕し、被告人が、当初、「パチンコ店で声をかけてきた見...
《解 説》
一 本件は、当時Y市立中学校三年生であったXが、柔道の授業において負傷し、Yに対し、国家賠償法又は債務不履行に基づき合計四八七三万二四九二円の損害賠償を求めた事案である。
Xは、これまでに柔道を学んだ経験がなく、三年生に進級して初めて体育実技の授業で柔道を学ぶようになったもの...
《解 説》
一 甲は、平成元年三月二二日から名古屋刑務所に服役し、同刑務所の第五B工場に配属され、同工場において銑鉄溶解作業に従事していた者であるが、平成二年八月一五日午後、同工場出入口付近の屋外の鉄板上に置かれた工場用扇風機(電圧―三相交流二〇〇ボルト、使用電力―三〇五ワット)を片付ける...
《解 説》
一 Xらは、東京国際郵便局の職員であり、外国郵便課に勤務していたものであるが、所属する組合が計画した庶務会計課への要請行動に参加すべく、当日午後一時間の年休を事前に時季指定したのに対し、局長及び各所属課長が時季変更権を行使し、Xらに勤務を命じた。しかし、Xらが欠務したため、Y(...
《解 説》
一 マンション分譲業者Yは、Xらに本件マンションを販売する際、マンション各室からの眺望をセールスポイントとし、その眺望を阻害する建物が建築されるおそれはないと説明したため、Xらはこれを信頼して購入した。他方、Yは、本件マンションの南側隣接地をすべて取得し、Xらの右信頼を確実に保...
《解 説》
本件は、いわゆる佐川急便事件のうち平和堂グループへの不正融資に関する事件の第一審判決である。
平和堂グループの代表者である被告人Aは、東京佐川急便のW社長から融資を受けて株取引や不動産投資を行い、その見返りにWに裏金を提供していたが、不動産投資や株取引などがうまくいかなくなり...
《解 説》
Xは自然食品の販売等をする会社であるが、Y放送局の関連企業で広告代理業を営むAとの間でテレビのスポットコマーシャルの放映委託契約を結び、Yに一五秒のスポットコマーシャルを一か月六本の割合で放映させていた。Xは、XとA、AとY間の契約は無期限であるところ、Yは「原発バイバイ」との...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Xが①住民訴訟として、甲町がXを名誉毀損罪で告訴する件について必要な費用としてされた乙弁護士に対する五〇万円の支出が違法であるとして、甲町の町長であるYに対し、主位的にXに、予備的に甲町に五〇万円の支払いを求め、併せて甲野に対し、地方自治法二四二条の二...
《解 説》
一 本件第一審判決は、強盗が既遂の強盗強姦未遂罪において、有期懲役刑を選択し未遂減軽をした上懲役四年の判決を言渡した。これは、この場合の処断刑の範囲が懲役三年六月以上七年六月以下であることを前提とするものである。ところが、これでは、強盗は既遂に達しているのに強姦が未遂なるが故に...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
一七歳の高校生Aは、昭和六二年一〇月一〇日夜、体表前面に熱傷(やけど)を負って被告Yが運営する病院に搬入され、入院して治療を受けていたが、一一月一日に敗血症によって死亡した。
Aの相続人(母)であるXがYを相手取り、四六〇〇万円余の損害賠...
《解 説》
一 本件は、被告会社四社の各従業員らが、各会社の業務に関し、社会保険庁が発注したいわゆる目隠しのシールの入札において、落札業者及び落札価格等を予め談合し、独禁法三条所定の不当な取引制限をしたとして、右四社が、同法九五条一項、八九条一項一号所定の両罰規定により、起訴された事案であ...
《解 説》
土地三筆をAから賃借し、同地上に建物を所有していた有限会社Yは、その全持分及び営業一切が旧代表者Bから新代表者Cに譲渡された後、右土地所有権の譲渡を受けたXらから建物収去土地明渡しの訴えを提起された。Xらは、右持分譲渡により土地賃借権の無断譲渡があったと主張し、仮にそうでないと...
《解 説》
一 XとY1は、昭和六三年二月婚姻し、その間にA(昭和六三年七月生)とB(平成元年七月生)を儲け、神戸市内の県営住宅に住んでいたが、平成四年八月、Y1は、A、Bを連れて右住居を出てY1の両親Y2、Y3の住居に身を寄せたため、その後XとY1は別居状態にあり、Y2、Y3とともにA、...