《解 説》
一1 本件は、家永教科書検定訴訟の第三次訴訟の控訴審判決である。控訴審段階で初めて損害賠償請求を認容したもので、しかも第一審判決が棄却した請求も一部認容したものとして注目されよう。
2 X(家永三郎元東京教育大学教授)は、昭和二七年以来、三省堂が検定申請者兼発行者である高等学...
《解 説》
AとBは昭和五五年八月、連帯債務者としてYから九五〇万円を借り受け、AとB共有の区分所有建物と敷地権に第一順位の抵当権を設定した。Aは、平成元年一〇月、Xから一〇〇〇万円を借り受け、右建物と敷地権のうちAの持分に第二順位の抵当権を設定した。Xは、Aの各持分について競売を申し立て...
《解 説》
本判決は、すでに公判期日において証人として尋問を受けた者が検察官の取調を受けて証言と異なる供述をしその旨の供述調書が作成された後、改めて証人として喚問されていたところ証言前に死亡したという事案において、右調書に刑訴法三二一条一項二号前段を適用することができるとしたものである。
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《解 説》
本件は、夫婦双方からそれぞれ離婚、子の親権者の指定及び慰謝料の支払を求めた夫婦関係調整調停事件において、夫婦を離婚し、子の親権者を父と定め、妻に対し慰謝料の支払を命ずる旨の家事審判法二四条一項の審判(参考審判)がなされたところ、この審判に対し、夫から異議申立てがなされたという事...
《解 説》
一 Xは昭和五四年頃から、ゴルフスクール事業を営んでいる。その事業は、Xと提携契約を締結したゴルフ練習場に対して、ビデオ教材及びスクール看板を貸与し、「ナショナル・ゴルフ・スクール」(原告営業表示(三))、「NATIONAL GOLF SCHOOL」(原告営業表示(四))の表示...
《解 説》
一 富山の薬売りで有名な薬の行商については、行商人が得意先である各家庭に、予め相当量の各種の薬を預ける形で配置しておき、年に一ないし二回配置先の各家庭を回って、使用した分につき補充すると共に、その代金を回収するという形の営業がなされている。このため、このような行商を行う業者は、...
《解 説》
一 本件は、平成三年四月七日施行の統一地方選挙における愛知県の県議会議員の選挙に関する定数訴訟である。
原判決(名古屋高判平4・8・5本誌七九二号二六四頁)は、愛知県議会の議員の定数並びに選挙区及び各選挙区の議員の数に関する条例(昭和三八年愛知県条例第二号。以下「本件条例」と...
《解 説》
一 Xの所持する本件約束手形には、振出人がA(分離前の共同被告)、振出日が平成二年四月一〇日、満期が同年九月二日、支払場所が広島県信用組合尾道支店、受取人兼第一裏書人がB(共同被告・被上告人)、第二裏書人がC(分離前の共同被告)、第三裏書人がD(共同被告・被上告人)である旨の記...
《解 説》
一 宗教法人Aの信者であるXら三名は、Aが取得し、開発・造成したN村所在の土地へ転入したとして、同村に転入届を提出したところ、同村の村長であるYは、(1)転入届に基づく住民票への記載は、転入者が届出地に生活の本拠たる「住所」を有しているかどうかの認定が必要であるが、Xらは予め任...
《解 説》
一 A町の町長であるY1は、町の遺族会に補助金を支出したり、右遺族会の靖国神社参拝旅行に町の職員Y2ないしY7を同行させて旅費等を支給した。A町の住民であるXは、Y1の右行為が憲法二〇条一項・三項、八九条に違反するとして、Y1に対して右支出に係る補助金の、Y2ないしY7に対して...
《解 説》
本件は、生活保護の廃止決定が違法であるとして、生活保護を受けていた者の相続人及びその債権譲受人から生活保護を支給していた市及び国に対して賠償金の支払を求めた事案である。事案の経過を要約すると次のとおりである。
Aは平成元年四月五日以降、Y2市から生活保護を受けていた。Aは、同...
《解 説》
一 本件は、昭和六〇年一一月二三日に皇居において行われた新嘗祭に献納する新穀の生産、収穫に際して行われた各種行事(新穀献納行事)につき、その費用として滋賀県が六〇万円、近江八幡市が四八八万円を補助金として支出したことが、政教分離原則に違反し違憲・違法であるとして、地方自治法二四...
《解 説》
一 本件は、暴力団幹部であった被告人が、その所属する組織の幹部間の確執にからみ、最高幹部Cに次ぐ勢力を持つAに対する殺人未遂、Aの配下Bに対する殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反に問われた事件である。一審において、被告人及び弁護人は、Aに対する殺人未遂の訴因につ...
《解 説》
本件は、月刊誌「宝石」昭和六三年三月号に掲載された「自然保護の美名の下でおしすすめる『日本野鳥の会』のあこぎな金集め」と題する新聞記事について、記事の対象となったX財団法人日本野鳥の会から執筆者Yに対し、名誉毀損を理由として、全国紙への謝罪広告の掲載と損害賠償金五五〇万円の支払...
《解 説》
一 はじめに
本件は、北海道留萌市に居住する肢体不自由者の女子中学生が、同市の市立中学校への入学に際して、学校長から特殊学級に所属させるとの処分を受けたのは、子どもが普通学級で教育を受けることを自ら選択する権利を侵害するものであるとして、学校長の行った右処分の取消し等を求めた...
《解 説》
Xら三名は亡B(昭和六三年死亡)の妻及び子らであり、Yら三名はBの母及び兄弟であるが、いずれも亡Bの父亡A(昭和三四年死亡)の遺産の範囲等について争いがある者である。Xらは、係争中の九筆の土地につき、亡Bが亡Aの遺産を売却してその代金で別の不動産を買うことを繰り返して最終的に取...