《解 説》
一 本件は、宅地開発区域の隣接地の住民であるXらが、右の開発行為の許可、開発区域における建築物の建築に係る建築確認等の各種処分及び右各処分に対する審査請求を却下又は棄却した裁決の取消しを求めた訴訟である。上告審においては、以下の各争点につき、いずれも消極に解した原審の判断の適否...
《解 説》
一 本件は、結合商標の類否が問題となった事案である。
Xは、指定商品を時計及び眼鏡等とする判決別紙商標目録記載(一)の出願商標(=本願商標)の出願をしたところ、特許庁は、本願商標は、指定商品を同じくする同目録記載(二)の登録商標(=査定引用商標)と類似するとして拒絶査定をした...
《解 説》
一 監獄の在監者に対する懲罰処分については、監獄法(以下「法」という。)五九条が「在監者紀律ニ違ヒタルトキハ懲罰ニ処ス」と定めており、これを受けて、法六〇条が「叱責」から「重屏禁」までの一二種類の懲罰を定めている。もっとも、このうち「重屏禁」は、昼夜暗くした罰室に屏居させ、しか...
《解 説》
一 思想及び良心の自由の不可侵を定めた憲法一九条の規定や表現の自由を保障した憲法二一条の規定等との関係で、監獄在監者の文書閲読の自由に対する制限が許容される限界をどのように考えるべきかについては、種々の議論があるところである。この点については、よど号乗っ取り事件の新聞記事の抹消...
《解 説》
一 本件は、都市計画法三二条所定の同意及び協議が、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当するか否かが争われた事案である。都市計画法によると、開発許可の申請をしようとする者は、開発行為に関係のある公共施設の管理者の同意を得、かつ、当該開発行為等により設置される公共施設を管理することに...
《解 説》
一 XはF市学校給食公社の調理員として学校給食の調理業務(調理材料の運搬、大型の器材による調理、配缶、洗浄、食缶・食器の格納等)に従事してきたが、入社後五年目ころから腰痛を自覚するようになり、七年目にして腰痛が持続的なものになり、ついに激痛のため就労できなくなって、腰痛症と診断...
《解 説》
XはAに二〇〇〇万円を貸し付け、A所有名義の不動産について譲渡担保を原因とする所有権移転登記を経た。しかし、その約二か月前にAは母Bに無断で右不動産について売買を原因とする所有権移転登記を得ており、後にBからAとXに対して各所有権移転登記の抹消登記手続が請求され、XはBから和解...
《解 説》
本件は、兄Xから弟Y1に対し、本件土地(一)の所有権に基づき地上建物三棟の収去及び土地明渡しを求めた第一事件と、Y1からXが代表者であるY2社に対し、本件土地(二)の所有権に基づき建物一棟の収去及び土地明渡しを求めた事件が併合審判されたものである。そのいずれの事件においても当該...
《解 説》
XはAの自筆証書遺言により遺言執行者に指定され、その職務を遂行したとして家庭裁判所に報酬の付与を申し立てたところ、報酬額を五〇〇万円とする審判が下され、確定した。しかし、右審判には執行力がないため、相続人Yに対し、その相続分一八〇分の五七に応じた額である一五八万三三三三円の支払...
《解 説》
Xは、京都府に事務所を有する法人格のない社団であるが、平成二年六月五日、Y知事に対し、平成元年度の知事交際費の使途明細を内容とする公文書の公開を求めた。Yは、同月一九日、元年度の「交際費に係る資金前渡金受払表」がその文書であるとして特定し、資金前渡金受領毎の年月日及び金額、支払...
《解 説》
債務者である四国旅客鉄道労働組合は、四国旅客鉄道株式会社及びその関連事業会社の従業員によって組織された法人格を有する労働組合であり、最高議決機関としての本部大会、これに次ぐ議決機関としての本部委員会及びこれらの決定の執行等を行う本部執行委員会が置かれている。債権者である四国旅客...
《解 説》
本件は、市立幼稚園長(係長級)であった控訴人が、市教育長の専決により受けた市立郷土資料館主幹補(係長級)に補する転任処分が違法であるとして、本件処分の取消し及び本件処分による精神的苦痛の慰謝料を請求した事案である。なお、訴訟係属後、控訴人は定年退職して市職員たる地位を失ったので...
《解 説》
一 Xは、平成三年八月、Yから一一〇万円を借り受けたが、その際、訴外A会社から所有権留保で買い受けた自動車を、Yに譲渡担保に供し、Yに引き渡した。
しかし、Xは、平成三年九月、Yに対し、元利金の支払いの申立をし、平成四年一〇月、元利合計一二九万五七三九円を供託したので、右譲渡...
《解 説》
一 本件三事件は、新聞社Y1が取材・編集し、発行する新聞紙上に掲載した新聞記事が、信徒多数を有する宗教法人であるXの名誉を毀損したとして、Xが、不法行為に基づく損害賠償等を求めた事案である。
このうち、①事件は、「Xが農地法等に違反して、農地にプレハブ棟を建設している疑いがあ...
《解 説》
一 はじめに
本件は、野村證券の取締役である被告らの行った損失補填の責任を追及する株主の代表訴訟である。本判決は、①いわゆる経営判断の法則を採用して取締役の善管注意義務、忠実義務違反は認められないとし、②当時の証券取引法は損失補填を禁止してはいなかったとするとともに、③本件損...