《解 説》
Xは古稀の記念として句集を自費出版することとし、平成四年四月一三日、Yに書籍一〇〇部の印刷製本を九〇万四〇〇〇円で請け負わせた。Xは同年五月二九日、目的物を受け取り、代金を支払ったが、書籍の表紙が波打つような状態となったため、消費者センターに相談した。同センターの照会を受けたY...
《解 説》
X2・X3夫婦の子X1は、Y国立病院での出産の過程(牽引娩出術を試みた後、帝王切開が行われた)において臍帯脱出があり、そのため循環障害を来し、低酸素虚血症により重篤な脳性麻痺を後遺するに至った。Xらは、担当医師Aに過失があったと主張し、Yの使用者責任を追求して、総額一億〇四七二...
《解 説》
一 Xは、昭和五四年七月当時、京都市立洛南中学校二年に在籍し、野球部に所属していたが、同月二三日、同校運動場において、野球部のクラブ活動としての紅白戦の審判(主審)をしていたところ、打者の打ったファールチップのボールが左眼に当たり、左前房出皿の傷害を負った。
そこで、Xは、同...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六〇年四月、岩槻市高齢者事業団に入会し、Y1会社に派遣されて同社の作業場においてキャリーの組立作業に従事していたものであるが、昭和六二年六月二五日、コンビテナーを組立作業現場まで運搬するよう命じられたため、作業場の前庭の鉄製ラックに近づいたところ、突然コンビテ...
《解 説》
1 本件交通事故は、Y1が駐車車両の運転席ドアを開けたため、県道を足踏自転車に乗って走行してきた女子高校生がそのドアに衝突して車道に飛ばされ、折から、後方より進行してきたY2運転の大型貨物自動車に接触した上はね飛ばされて死亡したというものであり、被害者の相続人らがYらに対し、死...
《解 説》
一 現行の相続税法では、各相続人に課される相続税の額は、相続の対象となる総財産を相続人の全員が民法の定める法定相続分及び代襲相続分に応じてそれぞれ取得したものとして計算した相続税の総額(一六条)を、各相続人が現実に取得した財産の価格に応じて各相続人に割り振るという方法(一七条)...
《解 説》
一 Xら四名とYの父であるAは本件不動産をYに遺贈したのであるが、Xらはかつてした遺留分の放棄が錯誤により無効であると主張し、本件不動産について遺留分減殺を原因とする所有権の一部移転登記を求める訴えを提起した。なお、本件不動産については相続を原因としてXら及びYに対する所有権移...
《解 説》
一 Xらは、本件に先立って二度にわたり、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づく損害賠償請求訴訟を提起し、東村山市長であるYを被告として、同市が固定資産税額に満たない額の報償費を各所有者に支払って借り受けていた体育施設用地について、Yが非課税用途に供されている固定資産に当たると...
《解 説》
本件は、道路上にはみ出して駐車中のフォークリフト前部の鋼鉄製フォークに、その存在に気づかずに走行してきたバイクの運転手が激突し、死亡したという事故について、フォークリフトの運転手が業務上過失致死罪に問われた事件である。
被告人は、材木問屋の従業員であったが、フォークリフトのフ...
《解 説》
一 Xは、A協会(個人経営)の会員として、被告らがそれぞれ制作したテレビ番組等にエキストラとして出演していた。本件は、Xが、「A協会は有料職業紹介業の許可を得ているだけで、Xのエキストラ出演は、XとYらの間で暗黙に成立した各雇用契約によるものである」と主張し、Yらに対してそれぞ...
《解 説》
一 一審の訴訟手続について被告人が心神喪失の状態にある間は公判手続を停止すべき旨を定める刑訴法三一四条一項の規定は、控訴審の手続にも準用される(同法四〇四条)とするのが、判例であり(最三小判昭53・2・28刑集三二巻一号八三頁、本誌三六一号二二八頁)、多くの学説も同様である(渡...
《解 説》
一 原告らは被告経営の平安高校の高校生であった。平安高校のもと教論が成績評価に水増しした評定値を学習評定一覧表、生徒指導要録に記載し、内申書にもその旨改ざんして特別推薦制度を受けているR大学に提出した。これが発覚して同大学から特別推薦制度が打ち切られ、原告らはこれを利用すること...
《解 説》
本判決が認定した事実によると、本件係争土地は、Yらの共有に属するが、その南側に沿って存在する公道と一体となって、昭和二五年一一月二三日(建築基準法の施行日)以前から三・八メートルの幅員を有して一般の通行の用に供され、道路の形態が整い、道路敷地が明確であって、昭和三〇年七月三〇日...
《解 説》
Xは昭和五〇年一月、Yに対し、東京都渋谷区にある本件建物の三、四階のうち、合計一五六平方メートル余を賃料月額二一万円で賃貸した。右賃料月額は、当事者の合意により、同五六年九月から二五万円、同五九年九月から二七万円、同六二年九月から三三万円に増額された。Xは平成二年九月以降の賃料...
《解 説》
本件は、千葉大学医学部助教授で、同学部付属病院の中央放射線部部長であった被告人Aが、大型高額医療用機器である全身用X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)一式の導入に関し、その販売業者の営業担当者らから、米国旅行費用などとして合計四三〇万円余の賄賂を収受したとして、贈賄側ととも...
《解 説》
一 本件は、刃物の製作、販売業者が、日本料理の包丁儀式(いわゆる「包丁式」)に使用するための儀式包丁を製作、所持した行為が、銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」という。)の禁止する「刀」の所持にあたるとされためずらしい事案である。
二 日本料理の世界においては、古来の伝統的...
《解 説》
本件は、東京都の住民である原告(判文からすれば、当該定時制高等学校の職員であった者のようである。)が、東京都に代位して、同都立のある定時制高等学校に勤務していた教職員に対し不当利得の返還等を求める地自法二四二条の二第一項四号の住民訴訟である。
その主張によれば、当該定時制高等...