《解 説》
一 判示事項一について
覚せい剤取締法上の営利目的とは、一般に、犯人自ら財産上の利益を得又は第三者に得させることを動機・目的とする場合をいうと解されている(最一小決昭57・6・28刑集三六巻五号六八一頁、本誌四七三号一四三頁、判時一〇四五号七四頁)。
覚せい剤所持の事案では...
《解 説》
一 本件は、建築業者である甲(原告・控訴人)が、乙銀行(被告・被控訴人)の行員Aから、乙銀行が融資する予定のビル建築工事を斡旋するから右融資を円滑に行うために建築主B名義で乙銀行に預金をして欲しい、ともちかけられて、これを信じ、約一年の間に、計九回にわたり、乙銀行の本店営業部応...
《解 説》
YはXに対し、コンベアバックホー試作機一台の製作を代金一四六〇万円で発注し、内金七〇〇万円を支払った。Xは右試作機を完成し、その後もYの指示により改造・改良工事をしたと主張し、Yに対し残代金等九五八万円余の支払を求めた(本訴)。これに対しYは、右試作機の完成及び追加発注の事実を...
《解 説》
一 Xは、木造二階建の建物を所有し、それに居住する者である。Yは右建物の南側に隣接する所有土地上にZに依頼して鉄筋コンクリート造三階建(地下一階)共同住宅(以下「本件建物」という)を建築する計画をしていたところ、Xは、本件建物が完成するとXが全面的に享受していた日照が冬至日にお...
《解 説》
本件は、昭和六一年二月一一日静岡県賀茂郡東伊豆町のホテル「大東館」で発生した火災事故についての第一審判決である。
ホテル「大東館」は、伊豆熱川温泉のコンクリート建ての旅館が立ち並ぶ密集した温泉旅館街にあり、建物施設は、本館、別館山水、ロイヤルホテルの三つから構成されていた。別...
《解 説》
一 K(商品包装用等の紙箱の製造加工業者)は、昭和四六年分ないし同四八年分の各事業所得につき、税務署長に対して所得税の青色申告をしたが、税務調査に際し、民主商工会の事務局員の立会いが認められない限り帳簿書類の提示要求に応じられないとして、税務職員の臨場調査に協力をしなかった。そ...
《解 説》
一 Xは、昭和五八年七月当時左官業を営んでいた者であるが、同月二〇日、軽貨物自動車を運転して山口県宇部市内を走行し、宇部線恩田踏切前に停車して電車の通過待ちをしていたところ、Y運転の普通乗用車に追突され、外傷性頭部・頸部症候群に加えて股関節部挫傷の傷害を負い、その結果、両側変形...
《解 説》
一 事案の概要
Xら(宮城県牡鹿郡女川町及び同県石巻市在住の合計一四名)は、女川町に原子力発電所を設置・運転(一号機は昭和五九年六月から営業運転中、二号機は本決定時点で建設中)するY(東北電力株式会社)を被告として、一号機の運転及び二号機の建設工事の差止めを求める訴えを仙台地...
《解 説》
一 被相続人甲は、昭和五七年一〇月ころに脳動脈硬化性痴呆症で入院しその後は退院することなく昭和六二年七月一六日に死亡した。甲は、昭和六二年二月二四日に相続人の一人であるX1を代理人として乙銀行から一八億二〇〇〇万円を借り入れたうえ、同日、本件土地を代金一六億六一〇〇万円で買い入...
《解 説》
旧国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は旧国鉄の分割・民営化に反対し、昭和六〇年一一月二八日から二九日にかけて第一波、同六一年二月一五日に第二波のストライキを打ち、これにより千葉方面の列車ダイヤが大幅に乱れた。旧国鉄当局は第一波ストについて解雇二〇名の、第二波ストについて解雇八名...
《解 説》
一 Xは、神奈川県横須賀市で店舗の設計・施工業を営んでいる者であるが、昭和六〇年一二月二六日、同市秋谷の交差点において、横断のため自転車から降りて待機していた際、Yの従業員の運転する普通乗用車に接触され、頸椎捻挫、腰部挫傷等の傷害を負った。
そこで、Xは、その後長期間入通院し...
《解 説》
本件は、平成五年度に中学校に進学予定の児童及びその父兄が、同年度の中学校用の社会科(歴史)教科書について、被告文部大臣のした教科用図書検定の無効確認又は取消しを求めた事案である。その理由とするところは、検定の対象となった教科書には、第二次大戦中日本軍が南京占領当時多数の中国人を...
《解 説》
一 事案の概要等
本件当時、北海道では、それまでの北海道発展計画を見直した新長期総合計画の作成が検討されていたが、本件は、北海道の幹部職員甲が、右計画の一環である昭和六〇、六一年度の戦略プロジェクトに関する調査業務の発注に絡んで、コンサルタント業者に対して、受注額の一部を割り...
《解 説》
Xら八名の所有する各家屋は、京都市右京区内の風致地区付則第二項地域に近い第二種住居専用地域に所在するものであるが、隣接地上にYが地上七階建てのマンションを建築したため、建築中は粉塵、振動、騒音、悪臭の発生、交通の危険、プライバシー侵害、完成後は日照、眺望の侵害、災害の危険、プラ...
《解 説》
一 構内自動車については、自賠法一〇条により、同法五条(責任保険の契約の締結強制)の適用が除外されている。しかし、運行供用者責任を規定する同法三条の適用は除外されていない。そして、自賠法七二条一項後段は、「三条の規定によって損害賠償の責に任ずる場合(その責任が一〇条に規定する自...
《解 説》
一 本件は、いわゆる家永教科書裁判第一次訴訟の上告審判決である。
二 事案の概要
1 Xは、昭和二四年から東京教育大学教授の職にあり、昭和二七年以降高等学校日本史用教科書「新日本史」を執筆し、検定済教科書として発行してきた。昭和三五年に学習指導要領が改正されたため、Xは、「...
《解 説》
Y市の市議会議長宛に消費者団体と連名で「婦人会館の運営等に関する陳情」を提出したXは、委員会でこの陳情が審査された際A市議会議員からXを誹謗中傷する発言がされ、本件陳情が誠実に処理されないと考えて陳情を取り下げた。本件は、XがAの発言は名誉毀損に当たり、請願権を侵害するものであ...