《解 説》
一 Xは、昭和五八年七月当時左官業を営んでいた者であるが、同月二〇日、軽貨物自動車を運転して山口県宇部市内を走行し、宇部線恩田踏切前に停車して電車の通過待ちをしていたところ、Y運転の普通乗用車に追突され、外傷性頭部・頸部症候群に加えて股関節部挫傷の傷害を負い、その結果、両側変形...
《解 説》
一 事案の概要
Xら(宮城県牡鹿郡女川町及び同県石巻市在住の合計一四名)は、女川町に原子力発電所を設置・運転(一号機は昭和五九年六月から営業運転中、二号機は本決定時点で建設中)するY(東北電力株式会社)を被告として、一号機の運転及び二号機の建設工事の差止めを求める訴えを仙台地...
《解 説》
一 被相続人甲は、昭和五七年一〇月ころに脳動脈硬化性痴呆症で入院しその後は退院することなく昭和六二年七月一六日に死亡した。甲は、昭和六二年二月二四日に相続人の一人であるX1を代理人として乙銀行から一八億二〇〇〇万円を借り入れたうえ、同日、本件土地を代金一六億六一〇〇万円で買い入...
《解 説》
旧国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は旧国鉄の分割・民営化に反対し、昭和六〇年一一月二八日から二九日にかけて第一波、同六一年二月一五日に第二波のストライキを打ち、これにより千葉方面の列車ダイヤが大幅に乱れた。旧国鉄当局は第一波ストについて解雇二〇名の、第二波ストについて解雇八名...
《解 説》
一 Xは、神奈川県横須賀市で店舗の設計・施工業を営んでいる者であるが、昭和六〇年一二月二六日、同市秋谷の交差点において、横断のため自転車から降りて待機していた際、Yの従業員の運転する普通乗用車に接触され、頸椎捻挫、腰部挫傷等の傷害を負った。
そこで、Xは、その後長期間入通院し...
《解 説》
本件は、平成五年度に中学校に進学予定の児童及びその父兄が、同年度の中学校用の社会科(歴史)教科書について、被告文部大臣のした教科用図書検定の無効確認又は取消しを求めた事案である。その理由とするところは、検定の対象となった教科書には、第二次大戦中日本軍が南京占領当時多数の中国人を...
《解 説》
一 事案の概要等
本件当時、北海道では、それまでの北海道発展計画を見直した新長期総合計画の作成が検討されていたが、本件は、北海道の幹部職員甲が、右計画の一環である昭和六〇、六一年度の戦略プロジェクトに関する調査業務の発注に絡んで、コンサルタント業者に対して、受注額の一部を割り...
《解 説》
Xら八名の所有する各家屋は、京都市右京区内の風致地区付則第二項地域に近い第二種住居専用地域に所在するものであるが、隣接地上にYが地上七階建てのマンションを建築したため、建築中は粉塵、振動、騒音、悪臭の発生、交通の危険、プライバシー侵害、完成後は日照、眺望の侵害、災害の危険、プラ...
《解 説》
一 構内自動車については、自賠法一〇条により、同法五条(責任保険の契約の締結強制)の適用が除外されている。しかし、運行供用者責任を規定する同法三条の適用は除外されていない。そして、自賠法七二条一項後段は、「三条の規定によって損害賠償の責に任ずる場合(その責任が一〇条に規定する自...
《解 説》
一 本件は、いわゆる家永教科書裁判第一次訴訟の上告審判決である。
二 事案の概要
1 Xは、昭和二四年から東京教育大学教授の職にあり、昭和二七年以降高等学校日本史用教科書「新日本史」を執筆し、検定済教科書として発行してきた。昭和三五年に学習指導要領が改正されたため、Xは、「...
《解 説》
Y市の市議会議長宛に消費者団体と連名で「婦人会館の運営等に関する陳情」を提出したXは、委員会でこの陳情が審査された際A市議会議員からXを誹謗中傷する発言がされ、本件陳情が誠実に処理されないと考えて陳情を取り下げた。本件は、XがAの発言は名誉毀損に当たり、請願権を侵害するものであ...
《解 説》
一 本件は、抵当権実行により競落された不動産の占有者に対し、不動産引渡命令が発令された事案である。執行実務上、競売物件を占有し、不当な利益を得ようとする執行妨害が問題となっており、占有者が占有権原として、本件の相手方のようにいわゆる短期賃借権ないし転借権、留置権を主張する場合が...
《解 説》
Xは市であるYが施行した土地区画整理事業の換地処分取消訴訟の原告であるが、昭和五一年一一月一日付けの建設省都市局区画整理事業課長の「土地区画整理補助事業の実施細目について」と題する通達に基づいてYが作成した本件事業の実施計画書が民事訴訟法三一二条三号前段又は後段に該当する文書で...
《解 説》
本件は、一般旅券の交付を受けていた女性が、外務大臣からその返納命令を受け、これを返納させられたので、その命令の取消と、違法な公権力の行使によって、精神的被害を被ったとして、その損害の賠償とを求めた事案である。その返納命令の理由は、右女性が、外務大臣において、著しくかつ直接に日本...
《解 説》
一 本判決は、内閣総理大臣の靖国神社公式参拝に関する国に対する損害賠償請求訴訟(播磨靖国訴訟・神戸地姫路支判平2・3・29)の控訴審判決である。
中曽根康弘元首相は、在任中の昭和六〇年八月一五日、公用車で靖国神社に赴き、拝殿で「内閣総理大臣中曽根康弘」と記帳したうえ、本殿で内...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年九月、Yと婚姻し、その間に長男をもうけたが、平成三年六月、Yとの婚姻生活に耐え切れないとして、長男を連れて実家に帰るとともに、Yとの離婚を求める訴えを提起したが、その離婚理由として、Yは、婚姻当初からXとの夫婦生活を嫌い、特に平成二年ころからは全く夫婦生活を...
《解 説》
一 本件は有料道路となっている若戸大橋を日常的に通行している周辺住民が、平成元年六月一四日に通行した際徴収された料金は、道路整備特別措置法(道特法)三条一項二号が規定する選択性の要件を充足しておらず、不当利得に当たるとして、その支払を求めるものである。
二 道特法三条一項は、...