《解 説》
一 XはYに対し土地を売却したが、Yは約定の期日が経過しても売買代金を支払わないとして、合意に基づき売買代金額の二〇パーセントの違約金を請求したのに対し、Yは第一に売買契約は成立していないこと、第二に本件合意は売買価額による国土利用計画法(以下「国土法」という。)上の不勧告通知...
《解 説》
一 本件の経緯の概略は次のとおりである。Xは国学院大学の元教授であり、Y1とY2は京都大学名誉教授であって、いずれも東洋史ないし中国史の研究者であり、Y2はY1の恩師に当たる。日本学士院が、昭和六三年三月、Y1の五〇年来の研究成果である「中国塩政史の研究」(本書)に対して恩賜賞...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年二月当時、埼玉県与野市立八王子中学校二年一組に在籍中の学生であったが、同月一七日、体育の授業としてサッカーの試合中、同級生Aとこぼれ球を蹴りあった際に、腹部をAの膝で蹴られ、外傷性膵炎、腹膜炎等の傷害を負った。
そこで、Xは、(一)専門の体育教諭はおろか、...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年二月当時、栃木県立宇都宮南高校に在学し、同校野球部に所属していたものであるが、同月一七日午後、同校野球部練習場において、A監督立会指導のもとで野球部の練習に参加し、ハーフバッティング投手として投球したところ、打者Bが打ち返したボールを右側頭部に受け、頭蓋骨骨...
《解 説》
一 X1は、昭和六一年三月ころから、Yの経営する美容院に勤務していたところ、昭和六二年春ころ右美容院を退職したが、Yは、退職後の昭和六二年八月ころから、X1に対し、在職中に貸付けた金員の返済を迫るとともに、Yと情交関係をもつならば、一回五万円の割合で返済したことにするなど申し向...
《解 説》
一 本件は、函館市長が同市内に存する旧谷地頭小学校校舎(以下「本件建造物」という。)の取壊しを計画し、同市議会がそのための予算を議決したことから、同市の住民らが、本件建造物には文化財的価値がありこれを保存して活用すべきであるとして、その取壊しを防止するため、同市長を債務者とし、...
《解 説》
Xら夫婦の娘Aは、交通事故で死亡した場合に遺族に一〇〇万円の見舞金を給付するとの内容のYの主催する交通災害共済に加入した。その後Aは、Bの運転する自転車の荷台に同乗していたところをCの運転する乗用車に追突され、転倒して死亡した。XらがYに対し見舞金の支払いを求めたところ、Yは、...
《解 説》
一 本件の事実関係は、本決定自体に相当詳しく摘示されているが、要するに、潜水指導者として潜水技術の指導業務に従事していた被告人が、昭和六三年五月の午後九時ころ、和歌山県串本町の海岸近くの海中で、指導補助者三名を指揮しながら、本件被害者を含む六名の受講生に対して夜間潜水の講習指導...
《解 説》
本件は、いわゆる多摩川水害訴訟の差戻後の控訴審判決である。事件の経過の概要はおよそ次のとおりである。
昭和四九年八月三〇日から降り続いた豪雨により一級河川である多摩川左岸の狛江市緒方地区地先宿河原堰を越えた流水が同堰左岸取付部護岸に作用し、護岸及びこれと一体構造となっていた小...
《解 説》
一 Xは、平成四年七月に執行された参議院議員通常選挙において愛知選挙区から立候補したものの、当選しなかった者であるが、同選挙に民社党公認候補として立候補して当選したA議員は、自己の当選を得る目的をもって、明治大学に入学したこともないのにかかわらず、同大学に入学した旨の虚偽の学歴...
《解 説》
一 X(昭15・7・30生)は、アルコール症患者として、Y1病院に入院中、同じく入院中のアルコール症患者であるY2から、殴る蹴るの暴行を受けて傷害を負い、その結果、後遺症等級第二級に相当する視力障害が残った。そこで、Xは、Y1に対して、入院中自傷・他害の事故を惹起することないよ...
《解 説》
一 本件は、偽造された土地登記簿を信頼したためいわゆる地面師から金員を騙取された会社が、国に対し、登記簿の偽造は登記官の登記簿閲覧監視義務違反によるとして国家賠償法に基づく損害賠償を求めた事案であり、本判決は登記官の過失を認めたうえ、被害者の過失を九割と判断して過失相殺をし、請...
《解 説》
一 本判決は、具体的な額が定められた取締役の報酬を、株主総会決議によって一方的に変更することの可否が争点となった取締役報酬請求事件について、具体的に定まった取締役報酬を一方的に無報酬に変更することができないことを判示した最高裁の判決である。
原告は、被告株式会社の取締役であり...
《解 説》
Xは大阪府民であるが、平成元年六月、大阪府公文書公開等条例に基づき、府選挙管理委員会Yに対し、政治資金規正法二一条二項により何人にも閲覧が認められている政治資金に関する収支報告書の公開を写しの交付の方法により請求した。これに先立ち、自治省選挙部政治資金課長は、各都道府県選挙管理...
《解 説》
一 交通事故(傷害事故)の加害者である原告が、被害者に二三八一万円余の損害賠償債務を負担したとして、自動車保険契約に基づき、保険会社である被告に対し、右金員相当の保険金の支払を請求した事案。一、二審とも、本件事故については、原告に確定的故意こそなかったが、傷害の未必の故意があり...
《解 説》
一 本件は、予防接種(種痘、インフルエンザ・ワクチン等)により後遺障害を負った被害児又は死亡した被害児の家族(X)ら一五九名が国(Y)に対し、集団的に安全配慮義務違反に基づく損害賠償、厚生大臣等の過失に基づく国家賠償、憲法二九条三項等に基づく損失補償を選択的に請求した訴訟である...