《解 説》
一 本件は、玉突き追突事故で頚椎捻挫等の傷害を負った妊娠中の女性(A)が事故から約二か月後に男児(原告)を出産したが、妊娠第八月の早産で仮死状態で出生した原告に難聴及び精神発達遅滞の後遺障害が生じたとして、加害車両の運転手とその所属会社(運行供用者)に対し右障害に伴う損害の賠償...
《解 説》
一 本件における併合罪の個数(いわゆる主文がいくつになるのかという問題)を検討するのに必要な事実経過をある程度単純化して示すと、以下のとおりである(時の経過に従って配列)。
○Aの犯行(窃盗)
○Bの犯行(道路交通法違反等)
●Aの裁判確定(小山簡裁)
○Cの犯行(本件...
《解 説》
一 所得税法五九条一項一号の規定によれば、資産が法人に対して遺贈された場合には、その資産がその時における時価で譲渡されたものとして、譲渡所得に対する課税が行われるものとされている。贈与や遺贈のように対価を伴わない資産の譲渡が行われた場合には、資産の譲渡による収入金額が存在しない...
《解 説》
一 大阪市は、市営住宅の建て替えに際して、地元の二つの町会から、市営住宅の敷地内に地蔵像を建立し、また、付近の私有地内に建立されていた地蔵像を市有地に移設することを認めて欲しいとの要望を受け、市営住宅の建替事業を円滑に進めるとともに、地域住民の融和の促進を図るためにも、右要望を...
《解 説》
本判決は、先に本誌七七九号二八三頁で紹介した原判決(大阪地裁平3・11・7第一二刑事部判決)の控訴審判決である。本件は、かねてより弁護士資格を僣称していた被告人が、自己と同姓同名の実在する弁護士の氏名を偽って、同弁護士の所属弁護士会名等の肩書を付した「弁護士報酬金請求について」...
《解 説》
一 本件は、妻に対する生命保険金目あての殺人容疑で起訴された刑事被告人であるX(原告、被控訴人)が、新聞社の取材に応じてXに対して死刑判決が下る旨のコメントをした刑法学者Y1(被告、控訴人)と右コメントに基づく記事を掲載した新聞社Y2(被告、控訴人)を相手方として、右コメント及...
《解 説》
一 Xは、全国的規模で貨物運送取扱事業等を営む会社であるが、元同社の社長であった訴外Aが、平成二年九月六日、元同社の会長であった訴外Bの紹介で知り合った宝塚歌劇団出身の女優兼歌手Yに対し、経済的援助をするために手渡した現金一億三〇〇〇万円について、右現金の交付は貸し付け金の交付...
《解 説》
サラブレッドの繁殖牝馬Aの所有者であるXは、競走馬の生産・飼育のための牧場主であるYとの間で、YにAを種付けを目的として預託した。Xの主張によれば、Aから産まれる子馬はXYの共有とする合意をしたのに、Yはこれを無断売却し、中央競馬のレースに出走して獲得した繁殖牝馬所有者賞金も着...
《解 説》
一 原告は、本訴において、被告が製造販売するM3ピンつき部分かつらが、原告の有する本件特許権を侵害していること(直接侵害)を理由として、被告製品の製造販売の差止めと損害賠償を求め、更に、被告製品を構成するM3ピン単独についても、これが特許法一〇一条一号にいう「その物の生産にのみ...
《解 説》
一 本件事案は、以下のとおりである。請求人は、被害者Aらに対する業務上過失傷害罪により略式命令を受けて確定したが、その後、右事件は、請求人とAらが共謀のうえ、請求人所有の自動車につき締結された自賠責保険の保険金を騙取するため、Bが請求人所有の自動車を運転し、請求人がこれに同乗し...
《解 説》
一 Yは、指定商品を第一類に属する化学品、薬剤及び医療補助品とする「ダイエー」の文字からなる商標等(本件登録商標)の権利者であるところ、Xが本件登録商標につき不使用取消審判(商標法五〇条)を請求した。なお、Xは、以前、指定商品を第一類に属する商品として、「ダイエー」との文字から...
《解 説》
一 X1とX2は、平成二年二月一五日、Y銀行福岡支店に対し、据置期限を同年五月一五日として、各自二五〇万円の定期預金をしたので、据置期限経過後にその払戻しを求めたが、Yが、右定期預金はX1、X2に対する融資の担保になっているとしてその払戻しを拒否したため、右定期預金の払戻しを求...
《解 説》
一 Y国は、平成二年一月一九日、即位の礼委員会において、即位の礼を国事行為として同年一一月一二日に実施することを決定するとともに、大礼委員会において、大嘗祭を公的な皇室行事として同月二二、二三日の両日にわたって行うことを決定し、総額八一億円の国費を支出して、別表のとおり即位の礼...
《解 説》
一 本件には、不動産業者である原告兼反訴被告・控訴人は戦前から所有する東京都品川区の本件土地を区分して賃貸し、借地人が建物を建て自ら居住し又は建物を更に賃貸する等していたが、その中央部に私道である幅員二米前後の本件道路が貫通し、沿道居住者・周辺住人の通行に使用されていたが、戦後...
《解 説》
本件は、画家の遺族の一人であるXが、合掌造りの建物をあしらった図柄の土産物用暖簾を製造していたY1、これを土産物業者に卸売していたY2を被告とし、右暖簾の図柄が亡父の描いた素描画を無断で複製したものであるとして、亡父から相続した素描画の著作権の侵害に基づく暖簾の製造販売等の差止...
《解 説》
本件は、いわゆる東京佐川急便事件に関連する接見等禁止一部解除決定に対する抗告申立事件の抗告審決定である。
被告人は東京佐川急便の社長であったが、いずれも商法違反(特別背任)の事実により、勾留中でかつ接見等を禁止されたまま起訴及び追起訴を受けた。ところが、衆議院予算委員会は、被...
《解 説》
一1 本件は甲社発行の週刊誌Aの雑誌記事により名誉を棄損されたとするX1大学・同総長X2が共同申立人としてA誌編集長Yを相手方として五億円の慰謝料請求権のうち五〇〇〇万円及び弁護士費用等五六一四万円強の金銭債権を被保全権利として、Yの甲社に対する給料・賞与・退職金債権の仮差押を...
《解 説》
一 法人Xは、平成元年度の法人税の確定申告をしたところ、税務署長Yから更正処分を受けたので、Yのした更正処分のうち、一部の従業員の慰労のために居酒屋や中華料理店で飲食して支払った代金(以下「本件支出」という。)を福利厚生費及び会議費として認めずに交際費等に該当するとして損金不算...