《解 説》
Xは、米国の医療業界に関する外国人の講演会を開催し、自らその通訳をした。医療関係の業界誌を発行するYは、右講演会を取材して、その発行する雑誌にXのした通訳内容のほぼ全部を記事として掲載した。XがYを相手どって、通訳内容の複製権の侵害を理由に損害賠償を求めたのが本訴である。
本...
《解 説》
本件は、両親が子の親権者を父と定めて協議離婚の届出をなした直後、監護権を有しない母親が親権者たる父親の意に反して子を連れ去ったので、父親が人身保護法に基づき子の引渡を求めたものである。
本件においては、親権者を父と定める合意の存在自体も争点となったが、本判決は、右合意が存在し...
《解 説》
一 本件は、公正証書に請求権が記載されていないとして、その債務名義性を否定したものである。
この公正証書には、抗告人ほか一名が国有地などを売ること、買主から売買代金を受領し、その一部を売主・買主共同名義の預金とすること、抗告人ほか一名は、国有地の払下を受け、買主への所有権移転...
《解 説》
本件は地方銀行において週休二日制を導入したことに伴い、週の始めと月末の勤務時間を延長した就業規則の変更の効力が争われた事案であり、A少数組合に所属するXら三〇名はY銀行に対し、旧規定に基づき時間外勤務手当を計算し、残額を請求しているものである。
Y銀行とA組合との間において、...
《解 説》
一 本件は、ヨットの操縦訓練を通じて情緒障害児らを立ち直らせることを標榜して集めた訓練生ら多数名に監禁・暴行・傷害等を加え、その結果内四名を死亡させたとしてヨットスクールの校長はじめ同スクールのコーチらが起訴された、いわゆる戸塚ヨットスクール事件の統一公判組一〇名に対する第一審...
《解 説》
一 本件は、東京拘置所に在監中であるXが、東京拘置所長により、(1)外国語図書の閲読制限、(2)信書発信方法の制限、(3)性表現図書の閲読制限の各処分を受けたことにより精神的苦痛を受けたとして、Yに対し、国家賠償法に基づき合計六七万五五二〇円の損害賠償を求めた事件である。
な...
《解 説》
一 Y1は、私設市場におけるパラジウムの先物取引等を行うことを業とする株式会社であり、Y2はその代表取締役、Y3及びY4はその取締役であり、Y5及びY6はその従業員であり、Y9ないしY11はその設立発起人である。Y7は、パラジウムの私設市場を開設していた株式会社であり、Y8はそ...
《解 説》
一 A、B、CはX会社(JR東日本)の従業員であり、新宿車掌区において、Aは内勤車掌、B、Cは列車乗務の車掌として就労していたが、いずれも国鉄労働組合(国労)の組合員であった。
旧国鉄の分割・民営化によりX会社が発足して間もない昭和六二年六月、車掌区長がAの職務を内勤から電車...
《解 説》
一 Xは、主婦であるが、肩をはじめとして全身の痛みに悩まされていたため、昭和六三年七月一九日、Y3会社の経営する鍼灸院に赴き、同院においてY1から鍼治療を受けたが、その際、Xの項部に挿入された鍼が折れて約三センチの鍼が右部に残置されたため、日大病院にて鍼を摘出する手術を受けたも...
《解 説》
Xは、Y会社の建設し所有する近隣の事務所ビル(地上二五・五メートルの八階建て)のためにテレビに電波障害が発生し、ゴーストが生じて映像が極めて悪い状態となる被害を被った。そこで、Xは、ケーブルテレビを利用することによって対処することにし、Yに対して、ケーブルテレビの加入料・工事費...
《解 説》
一 X1は、平成元年九月、不動産仲介業者の仲介により、訴外A所有の土地を代金一億六〇二〇万円で買受けることになり、X1自らが三〇〇〇万円を、X2が一億円を準備したが、国土法所定の手続が完了していなかったため、X1が売主Aに対して貸し付けることとし、その貸金債権を担保するため右土...
《解 説》
本件は、女子高校生を読者層として発行されている月刊漫画雑誌の題号「別冊フレンド」が、商標登録のための具体的登録要件(登録阻却要件の有無)をみたすかどうかが争われた事案で、日刊紙上の話題ともなった。
特許庁は、本願商標「別冊フレンド」からは、自他識別標識の機能を持たない「別冊」...
《解 説》
一1 本件は、加害者である原告(控訴人)X1・その自動車の運行供用者である原告(控訴人)X2から被害者である被告(被控訴人)Y宛てに対する交通事故に基づく損害賠償債務の不存在確認訴訟である。Xらの主張によると、X1運転の普通乗用車が平成三年九月一六日の深夜東京都内明治通りの歩行...
《解 説》
一 本件は、「他人の住居に侵入して家人二人(甲の妻及び長男)をビニール紐で順次絞殺して現金一四万円在中の手提げ金庫を強取した上、犯跡を隠ぺいするため、室内に灯油をまくなどして台所に放火し、家屋の一部を焼いた」という住居侵入、強盗殺人、現住建造物放火の事実につき、被告人両名と犯人...
《解 説》
一 南千住スカイハイツの所有者で構成する管理組合は、平成二年四月、総会決議に基づき、右ハイツの改修工事を行うことになり、その工事を建築会社に請負わせたが、右管理組合の理事長Yは、契約に反し、工事完成前に、右建築会社に対し、工事代金として一億七三〇〇万円を支払ってしまった。
そ...
《解 説》
本決定は、行政事件訴訟の主観的・客観的併合の場合の訴額算定に関する事案で、過納手数料還付申請却下決定に対する抗告という形で現れたものである。
本案訴訟の内容は、本決定自体からは明確でないが、建設大臣から東京都が受けた環状六号線の拡幅を目的とする都市計画決定の認可処分(都市計画...
《解 説》
一 韓国人であるY(本訴被告、反訴原告)は、平成二年一〇月三日から、X(本訴原告、反訴被告)の経営する東京都新宿区にあるクラブ(以下「本件クラブ」という。)にホステスとして勤務したが、その際、Yは、(1)本件クラブ勤務中に毎月三〇万円ずつ分割返済する、(2)XとYの雇用契約が解...
《解 説》
一 Xは石油のいわゆる業転取引を行う株式会社、Yは総合商社である株式会社である。
石油の業転取引では、石油商品を調達しようとする者と供給する者との間に、複数の業者が入り、連続した転売の形をとるが、このとき原発注者と最終売主とが一致して環状を形成してしまうことがある。本件で問題...
《解 説》
一 本件は、運転免許取消処分をするに当たり、その処分理由となった違反行為を行った時に責任能力があることが必要なのか否かが問題となった事案である。
事実関係は、次のとおりである。すなわち、山口警察署所属の警察官Aは、交差点で直前に停止していたX運転車両が、尾灯を破損している上に...
《解 説》
Xは平成三年四月に施行された蒲郡市議選に立候補し、八二三票を得て当選した(次点者の得票は八一七・四七一票とされた)。右当選について二名から異議の申出がなされ、市選管は異議申出を棄却する旨決定したが、右二名からY(県選管)に審査の申立てがなされた。その結果、YはXの当選を無効とす...